Australia  ハミルトン島とケアンズ

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【 昼のケアンズ散策 】

横断歩道

ホテルにチェックインできるのは2時半以降。 それまでどこかで時間を潰さなくてはならない。 そこでうさぎたちはゆるゆるとケアンズ市内を散策することにした。

ケアンズの街は道幅が広い。行き交う人影も疎らで、車の数も少ない。 100年ほど前にはゴールドラッシュで賑わったこともあると聞くが、 現在ではこれといった産業もなく、 唯一グレートバリアリーフやレインフォレストへの玄関口として観光業で栄える町だ。 ホテルを除けば、建物はせいぜい3階建てと低層で視界が広く、 アメリカっぽい開放感がある。

ケアンズの街で最も印象的だったもの、それは歩行者信号を置いて他にはない。 手押し式のそれは、ボタンを押すと

テッ・テッ・テッ・テッ‥

という電子音が鳴り始める。そして、信号が青に変わると同時に

きゅん!!

という音がして、

テテテテテテテテ‥

というせわしない音に変わる。 歩行者はその音にせきたてられるように横断歩道を渡るのだが、 信号の間隔がこれまた非常に短い。 信号が青に変わった瞬間に足を踏み出しても、 横断歩道を半分渡った頃には、赤い信号が点滅しはじめる。 そして、小走りになりながらようやく道を渡りきってしばらくすると、 もう信号は完全に赤になっているのである。

歩行者信号が青から赤に変わるとき、日本では「青」が点滅するが、 ここでは「赤」が点滅する。 それは一見、単なる方式の違いと受け取れるが、さにあらず。 メッセージ・インパクトが違う。「青」の点滅は

そろそろ渡る時間は終わりですよー

という"指示"と受け取れるが、「赤」の点滅は

オラオラ、あぶねーぞ!! さっさと渡らんかい!!

という"怒号"に思える。要するに、この街では歩行者の論理など通用しない。 この街の主役はあくまでも車なのだ。

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