Fiji  マナ島とフィジアン

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【 木陰のランチ 】

ランチ

プールで30分も遊んだだろうか、お昼も過ぎたので、お腹が空いた。 プール脇のレストランが屋外スペースに並べた料理の数々を見たら、矢も盾もたまらず、 値段も聞かずにランチビュッフェをルームチャージで4人分頼んでしまった。 頼んだ後になって、子供の分はタダなのを確かめ、ホッとしてみたりなんかして。

料理は、簡素な屋根の下の台に並べられ、その脇の木の上では、小さな黒い鳥が

フィッ、フィッ、フィッ、フィッ、フィジーーーーーーー!

とさえずっていた。
ビュッフェの近くに陣取り、丸井ガラスのテーブルの上に取ってきた料理を並べると、 虫が皿の回りをブンブン飛び交った。
この素朴な感じは、なんだか懐かしいぞ。 ――そうだ、オーストラリアのグリーン島のランチビュッフェもこんな感じだった。 今朝フィジーに到着したばかり、ほんの1時間前にチェックインを済ませたばかりなのに、なんだか寛いでしまう。

それにこの料理! 簡素なパンや生野菜のサラダなど、手の込んでいない料理ばかりだし、 品数もそんなに多くはないのだが、どれもとってもおいしい。 それに、オレンジ色のメロンや黄色いグレープフルーツや真っ赤なプラムなど、色とりどりの豊富な果物に、 フチの青いお皿。その色彩が楽しい。

中でも特においしかったもの、それは、大きな鉄板の上でジュウジュウ音を立てている肉! ポークソーセージやビーフステーキもあったが、それより何より美味しかったのはラムステーキだった。 太いホネが入っているので、見た目は大きくとも、あまり食べるところがない。 それで、みんなで代わる代わる何度もお代わりをしにいった。 あんまり何度も取りにいったので、肉を焼いているコックが、「ヤミー(おいしい)?」と聞いた。 もちろん、「イエース!」と元気よく答えた。

虫を手で追い払いながら、口の回りをベタベタにして、夢中でラムのリブ肉にしゃぶりついていたら、 自分の中の几帳面な日本人が、溶けてなくなっていくような気がした。虫がとまった肉も、構わず口へ。 「腹八分」なんて言葉も忘れた。まして「お行儀」なんて、知りませ〜ん。

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