Fiji  マナ島とフィジアン

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【 エピローグ 】

今回の旅行はすごく楽しかった。一瞬一瞬が、とてもしあわせだった。
景色はすばらしかったし、食事もおいしかった。

けれど、フィジーで一番よかったもの、それはやはり人間かもしれない。 生粋のフィジアンのあの素朴さ、インド系の人々のあの笑顔。 それが美しい景色にも増して、観光客を引きつけて止まないフィジーの一番の財産なのかもしれないと思った。

今回の旅行で得たこと、それを言葉にするのは難しい。 フィジーに行く前と帰ってきた後では、人生観までがどこか変わってしまったような気さえする。 けれど、だったらどこが?と聞かれても、うまく説明する自信がない。 ただ、右に左に注意を払い、過去を反省しては未来に向けての準備を怠らず ――といった生き方ばかりが正しいわけではない、と感覚的に悟ったような気がするのだ。

フィジーではほんとうに気楽に過ごしてしまい、うさぎとしたことが(?)メモはあんまり書かなかったし、 写真はここぞという場面を何度も撮り損ねる始末だった。 そして、そのお気楽モードは日本に帰ってきてからも、ずっと続いている。 あんまり人の目が気にならなくなったし、先行きのことを心配しなくなった。
どうしてこんなに気楽なのか、それは分からない。 けれど、その原因はやはりフィジーという国にあるような気がしてならない。 雑事を忘れさせるような青い空、青い海。 のんびりとしたフィジアンの国民性――それらに触れたせいとしか思えない。 ‥やっぱりフィジーはこの世の楽園なのだ。

今回の旅で唯一の後悔は、カバの粉を買ってこなかったこと。 カバの効用は二度までも身をもって体験し、おみやげ屋さんで簡単に手に入ったのだが、 買わずに帰ってきてしまった。なんだかそれはフィジーでしか効かないもののような気がしたからだ。 フィジーでは魔法の薬だったものが、日本に持って帰ってみたらタダの粉でした ――なんていうオチを見たくなかったのだ。

でも、胃痛を起こすたびに思う。

「やっぱりカバを買ってくれば良かったかも」

と。

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