Hawaii  オアフ島ワイキキビーチ

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【 申し込みに一苦労 】

ジャーマンズ・ルアウのツアー申し込みにはいろんな苦労があった。

まず大変だったのが、英語で電話して予約をいれなければならなかったこと。 電話をする前からパパは、「英語で電話なんてできるの?」と言っていたけれど、 なんだかんだといってこのツアーをやめさせようとする魂胆のような気がしたので、 ママはわざと平気な顔をして胸を叩いた。
「あら、たかが英語じゃないの。電話だからって、それが何?  ただ自分の名前とホテルのルームナンバーを言えばいいだけでしょ」って。

ところが。実際にはこれが結構大変だった。 フリーペーパーに載っていた"なんとかトラベルエージェンシー"に電話したのはいいけれど、なんか様子が違う。
「明日のジャーマンスルアウに申し込みたいのですが」って、ママが何度言っても、相手は分かってくれない。 あたしの英語ってそんなにひどい発音かしら、ってショックを受けながらも、しつこく言ってみたけれど、全然ダメ。 インシュアランス(保険)がどうのこうの、って相手の女の人は言うばかり。

これはいくらなんでもおかしいぞ、ひょっとして電話番号を間違えたのでは‥と途中で気付いて、
「あのー、そちらは××トラベルエージェンシーさんですよね?」と確認をした途端、相手の女の人が笑い出した。
「な〜んだ、××トラベルエージェンシーに用があったのね! ちょっと待ってて、今電話を切り替えるから」って。
どうやらこの電話、保険の代理店か何かと共同で使っている電話だったみたい。

ところが、電話を切り替えようとして、その人は気付いて言った。
「あら、今誰もいないわ。またあとで掛け直して」と。
ママはがっくりした。でもこの苦労から解放されて、ホッともした。 たかが電話しただけなのに、ママは額と手にびっしょり汗をかいているのに気がついた。 でも、こんなことで必死になってたなんて、なんか格好が悪い。 ママは、怪訝そうな顔でこっちを見ているパパに、こともなげな様子を取り繕ってさらりと言った。
「なんか今、係りの人がいないんだってさ。またあとで掛け直そう」って。

このあたりから、ほんとは内心、ママは不安になっていた。 専用電話も引いていないようなツアー代理店って、一体どういう会社かしら、って。 オールカラーのフリーペーパーで広告を見たときには、何となくメジャーな感じがしたけれど、 なんかとんでもなくマイナーな会社に電話しちゃったんじゃあないかしら、って。 でも、パパの前で平気な顔をしちゃった手前、もう後には引けない気がした。 それで、〔ツアーさえしっかりしていれば、代理店が小さかろうと大きかろうと、同じよ。 小さいとこの方が値段が安い分、得なだけじゃないの〕って、むりやり納得することにした。 ハワイに来たのだって、代理店はABロードに一行広告を載せるのがやっとのような会社だったけど、 ツアー会社が直接売るより値段が安いだけで、内容は同じだったじゃない。 全く何の支障もなく、わたしたちはハワイで楽しんでいるじゃないの――。ママはそう自分を納得させた。

で、きのうの夕方、二度目に電話したときは、旅行代理店の方に直接繋がった。 男の人が電話に出て、代金と引き換えに参加チケットを渡すから、明日のお昼ごろ受け取りにくるように、と言った。 なんだ、電話だけじゃ用は済まないのね。ママはちょっと面倒だな、と思ったけれど、指示通りにすることにした。

それで今日、パレードの合間にチケットを受け取りに行ったわけなのだけれど、これがまた大変だった。 なにしろ、3回も代理店に足を運んだのだから。

ハワイは住所に通りの名前が付いているから、代理店は小さな雑居ビルの2階に入っていたけれど、 その場所はすぐに分かった。 けれど、はじめの二度は留守で、三度目の正直でやっと代理店の人に会えた。 なにしろこの会社、たった一人のおじさんが、 他の会社と共同で借りた部屋にたった一つのデスクを置いてやっている代理店だったのだ。 この人がいなければ、当然チケットが受け取れるわけがない。まあ、それでも無事チケットが受け取れてよかったけれどね。

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