Malaysia  ペナン島

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【 ペナン出発 】

ホテルを出て一時間ほどで、バスは空港についた。 サムさんは、うさぎたちの荷物をセーフティチェックに通したり、搭乗券を取ったりと、大忙しである。
ここでは、荷物用のセーフティチェック機がフロアの真ん中に突然あり、 それからだいぶ離れたところに手荷物預かりカウンターがあった。 これだと、セーフティチェックにかけてない荷物でも預けられるような気がするんですけど‥?

サービスカウンターで搭乗券を受け取ると、それを皆に配りながらサムさんが言った。

「皆さん、くれぐれもクアラルンプールでの乗り継ぎには注意して下さい!
飛行機を降りてから、成田行きの搭乗まで15分しかありません。
免税店に寄る時間はないですよ!!」

サムさんの注意に身が引き締まり、また乗り継ぎかと思うと気が重くなる。

ペナン空港は平屋建てのこぢんまりとした空港で、なのに搭乗まであと一時間もあった。 サムさんの話を聞いたバスの中の30分がとても充実していたので、もう少し彼の話を聞きたいと思ったのだが、 手続きが終わると、体よく入場ゲートへと追い立てられてしまった。 サムさんは速やかに自分の仕事を終わらせてしまいたいらしく、最後の最後まで、

「乗り継ぎ時間は15分ですよー。くれぐれも免税店には寄らないように‥!
乗り遅れたら、航空券代が6万かかりますよー!!」

と言いながら、皆を入場ゲートに押し込んだ。

入場ゲートをくぐると、うさぎたちは免税店を捜し、それを見つけた。ここがお土産を仕入れる最後のチャンスだ。 キャンディーショップ、ビスケットショップ、錫製品の店、タバコや酒の店、それにブランド品の店が何軒か並んでいた。

キオスクに毛が生えたくらいのこぢんまりとしたビスケットショップは、どの商品もまとめ売りになっていて、 同じ種類のクッキーが3箱組〜10箱組になっていた。 きりんは店内を隅から隅まで眺め回し、意を決してドリアンクッキーをレジに持っていった。

――ところが。

「これはすごく不味い。やめたほうがいいわ」

と、箱を見るなり、レジのお姉さんは顔をしかめて言った。
きりんとうさぎは顔を見合わせた。あんなに楽しみにしていたドリアンが食べられなかったので、せめてお土産くらい、 と思ったのだが、人にそこまで言われて買う勇気はない。
「じゃ、どれがオススメなの?」と尋ねると、お姉さんはパイナップルクッキーを指さした。

パイナップルかぁ、なんか新鮮みがないなあ。
そう思いながらも、うさぎたちはその5箱組に決めた。 そして、マレーシア、シンガポールの定番土産となっているプラウンロール (エビのロール状スナック) の4箱組と一緒に買った。

結果的にそれは正しい選択だった。 のちに食べてみたパイナップルのクッキーは大変おいしく、プラウンロールも後をひく味だった。 こんなに美味しいのなら、もっと買ってもよかったなあと思ったくらい、どちらもおいしかった。 あのドリアンクッキーを買っていたら、どうだったのだろう?

クアラルンプール行きの飛行機のゲートは、入場ゲートのすぐ近くだった。 搭乗を待っているのもヒマなので錫製品のお店をブラブラして、ロイヤル・セランゴールの写真立てをつい買ってしまった。

けれど、買い物を終えて荷物を持った途端、うさぎは後悔した。 錫の写真立てはナリは小さいがずっしりと重く、大量のクッキー類は軽いがやたらかさばる。 これを狭い機内に持ち込むのかと思うと憂鬱になったのだった。

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