Philippines  セブ・マクタン島

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【 ルームサービス 】

朝食

朝の6時半。目が覚めると、昨夜は感じた部屋の香りを感じなくなっていた。
もう他の3人は起きており、きりんなんぞは海でもう一仕事終えてきたらしい。 ゆうべ生水を飲んでしまったチャアも元気だ。よかったー!

今日の朝食はルームサービスで。 部屋にあったメニューには、コンチネンタル、アメリカン、フィリピーノ、 チャイニーズの4種類の朝食メニューが載っており、そのうちのフィリピーノとチャイニーズを取ることにした。 中華粥に期待して無難にチャイニーズを選んだうさぎに対し、きりんが朝っぱらからフィリピン料理に挑戦とは泣かせる。

英語のメニューを片手にルームサービスに電話すると、オーダーの詳細を尋ねられた。 お粥にのせる肉はチキンにしますかビーフにしますか、パンの種類はどれになさいますか、卵はどうなさいますか‥。 「チャイニーズとフィリピーノを一つづつ」だけでオーダーが済むと思ったら大間違い。やれやれ‥。

電話を切ってから10分ほどで、若い女性のスタッフが大きなバスケットに入った食事を持ってきた。 居間のテーブルの上にきれいにセッティングしてくれるのが嬉しい。
テーブルの上に並んだ料理は、スライスパンの入ったバスケット、たくさんの小さな魚の開きとスクランブルエッグ、 長粒米と黄色い漬物の乗った皿、イチゴヨーグルト、フルーツの載った皿。 コーヒーポットとカップ&ソーサー、大きな白いボウルに入ったプレーンなお粥と、別皿に盛られたそのトッピング。 それに太麺の固焼きそば。そのほかにバターやらジャムやら調味料やらがいちいち別の小皿に盛られている。 これでテーブルは華やぎ、うさぎたちは豪華な気分なった。

うさぎは自分の頼んだチャイニーズブレクファストに満足。 中華粥には全く味がついていなかったが、ゆで卵やら肉やらをトッピングして塩を振ると、期待通りの味になった。 えびやイカがたくさん入った固焼きそばから漂うナンプラーの香りがどこかエスニックなチャイニーズである。 うさぎは遠慮したが、お粥のトッピングにはカラマンシー(すだちのような柑橘類)もついてきた。

きりんは自分の前に置かれた大皿と格闘していたけれど、卵以外はきっと口に合わなかったのではないかと思う。 魚の開きには塩味しかしなかったから、日本のメザシとどこも変わらない味だったのだけれど、 じゃあメザシが好きかというと、そうでもないらしく、あまり食が進んではいない様子だった。

子供たちは、というと、あれこれすこしづつ試したネネはまだしも、チャアに到っては、スイカとヨーグルトとパン以外、 食べられるものがなかった。お粥を勧めてみたものの、これもほんの一匙しか食べない。 「普通の味だね」とは言いつつ、「どうしてお米の形をしていないんだ」などと言っていたところをみると、 「騙されて何かよからぬものを食わされては」という警戒を解くことができなかったとみえる。

ともあれ、心地よい外の空気の中で、木の葉の陰に広い薄みどり色のラグーンを眺めながら取る朝食は楽しかった。
食事のあと、冷蔵庫に昨夜HISからもらったマンゴーが入っているのを思い出し、 ナイフが手元にあるうちにと皮をむいて食べた。 人懐こい甘さの中にほどよい酸味、熟れ具合がちょうどいい。 ここでマンゴーに開眼したきりんは、バナナのように尖った先のほうから皮をむいて食べるという方法を編み出した。 なんという贅沢な食べ方! でもこうすると、確かに手間もかからず手も汚れず、しかも無駄なく食べられるのであった。

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