Philippines  セブ・マクタン島

<<<   >>>

【 夜のプール 】

夜のラグーン

午後4時、プールサイドに戻ると、そこは大盛況だった。今日の昼前までとは打って変わった盛況ぶり。 よく見ると、昨日まではとんと見かけなかった南方系の顔立ちの人々が増えているのに気がついた。 週末のひとときをここで過ごしにやってきたフィリピーノ、フィリピーナに違いない。 若い女の子たちの7〜8人のグループだけでも2組あり、 プールの中やらダイブロックでいとも楽しそうに歓声を上げていた。 中にはプールの中までカメラを持って入り、仲間に向けて写真を撮っている子も。 うっかり足を滑らせでもしたらどうするんだろ。

彼女たちの話し声に聞き耳を立てると、その会話は英語だった。但し、あんまりうまくない英語。カタコトっぽい。 難しいことは言わないし、発音も"?"。話す前に微妙な沈黙の間合いがあり、頭の中で翻訳機が動いているのが分かる。 まあうさぎの英語に比べたらちっとはマシかもしれないが、どうみてもネイティブではない。 なのに、仲間内で話すのに、わざわざ英語。その理由はなんとなく分かる。要するに、精一杯カッコつけているのだ。 なぜって、ここは外国人がたくさんいる高級ホテルだから。 彼女たちにとっては、このリゾートの主役は外国人なのかもしれない。 でもね、うさぎから見れば、あなた方のほうがここの主役なのよ。

それはさておき、早速きりんと子ども達もプールの中で鬼ごっこをはじめた。 しばらくすると、ママも一緒にということになって、うさぎも水に入った。 鬼ごっこのルールは、泳いでも歩いてもいい、だけど深いところに行っちゃダメ、子どもたちがストップと言ったら、 うさぎときりんは10秒立ち止まる、というもの。 この10秒立ち止まるというルールがうさぎにはとてもきつくて、一度鬼になったらいつまでも鬼のままだった。 チャアが見るにみかねて、一緒に鬼をやってくれたので、やっと鬼から脱却することができた。

でもこの鬼ごっこ、逃げる方でもすごく疲れる。うさぎはいくらも経たないうちにクタクタになってしまった。 それで、ネネとチャアにプールの中のバーに腰掛けてカクテルを飲むように勧めた。子ども達は大喜びでこの提案に従った。 4種類のノンアルコールカクテルのうち、頼んだのは「シャーリーテンプル」と「サーファーズパラダイス」。 前者は真っ赤で、後者はオレンジ色だ。 シャーリーの方は苦い感じがして、どちらもあまりおいしいとは思えなかったけれど、 水の中に浸かりながらカクテルを飲んだ、ということに意味があったとしよう。

カクテルを飲み終わると、ネネは水から上ってデッキチェアで眠ってしまったが、チャアはまだ遊び足りないらしい。 それで、うさぎとチャアだけで遊ぶことにした。

最初は、ジャグジー巡り。プールの中に8ヶ所あるジャグジーを順に巡っていくだけ。
そのあとは、フロート巡り。これまた、フロートをくまなく探して触っていくだけ。
そうこうしているうちに、あたりが暗くなり、ついには夜になったので、最後はプールの中のライト巡りをした。 プールの縁のあちこちに取り付けられ、真っ暗な水の中で光るライトを順に触っていくのだ。 あたりの気温はすこし下がってきたようだが、プールの水はまだ温かかったので、水の中にいる分には寒くない。 ライトに触れると、更に暖かくて気持ちがよかった。ライトは普通の白熱灯だったが、水の中では黄緑色に光ってみえた。

夜のプールに入っているのは不思議で素敵な気分だった。 レストランやプールバーの屋根にぐるりとつけられたイルミネーションが真っ黒な水にうつり、とてもきれいだった。

プランテーションベイでは、24時間いつでもプールやラグーンに入っていいことになっている。

監視員がいるのは夜8時までですが、その後も遊泳可能です
スタッフが気づくよう、なるべく大騒ぎしながら泳いでくださいね
ラグーンは広大ですから、なるべく明るい波打ち際にいてください
くれぐれも暗い隅などには行かぬよう
いちゃいちゃしているカップルを邪魔しちゃ悪いですからね

とは、部屋にあった案内書の言葉。こんなところでもこのリゾートは茶目っ気を忘れない。

<<<   ――   4-5   ――   >>>
TOP    HOME