フィンランド語

フィンランド語で喋ってみた

 行ってきました、フィンランド! 長年の憧れフィンランド! 予定通り、サンタクロース村のサンタさんとも喋ってきました。

 アイスランドとエストニアにも立ち寄りましたが、アイスランド語を使ったのはtakk(ありがとう)を一度だけ。エストニア語に至ってはすっかり忘れていたという体たらく( ̄▽ ̄;) どこも英語が通じるので、強靭な意志がないと現地語を使うのは難しいですね。

サンタクロース村のサンタさん

 フィンランドの北極圏の入り口に位置するロヴァニエミという街には「サンタクロース村」というところがあって、ここでは「本物のサンタさん」に会うことができます。わたしは6日間の滞在中サンタさんに9回、ミセスサンタ(サンタさんの奥さん)と1回会いました。

 サンタさんとの面会は無料です。ただし個人のカメラやスマホでの撮影は禁止となっていて、写真は有料。ミセスサンタとの面会は一人€5(800円くらい)でした。

 サンタさんに会えるところは村内に二か所あります。「サンタクロース・オフィス」と「ミート・サンタ」。サンタクロース・オフィスは人気があるため並びます。一方ミート・サンタは穴場で、ほとんど待ちませんでした。ミート・サンタのほうが営業時間も長く、空いているせいか、面会時間も若干長めです。

 初めてサンタさんと会話するのは何も難しくありません。サンタさんは英語が流暢ですし、カタコトの日本語も話します。サンタさんのほうからいろいろ質問してくれるので、何を話そうかとこちらが考える必要もありません。

 但し、わたしのように何度もサンタさんに会いに行ったり、日本人のくせにフィンランド語で会話したいとなると、ちょっと工夫が必要です。

何度もサンタさんに会うときの注意点

 「本物のサンタさん」は一人ではなく影武者がたくさんいます。そもそも「本物のサンタさん」が村内に同時に二人存在するわけですし、それぞれのサンタさんも日替わりです。わたしの経験では、だいたい二日毎に交代するようです。

 すると何が起きるかというと、いま目の前にいるサンタさんが初対面なのかどうかが分からないという事態になります。

 これ、地味にけーっこうストレスです。初対面なのかどうかが分からないと、どういう気持ちで接して良いのか分からない。「はじめまして」と挨拶すべきなのか、再会を喜ぶべきなのか。

 しかもすでに会ったことのあるサンタさんかどうかを外見から判断するのはほぼ不可能。お顔は白いお鬚で覆われているし、体は一様に大きいし。

 となると、取れる手段は一つだけ。サンタさんにこちらを見分けてもらうしかありません。そこでこんな帽子をかぶることにしました。

孫用に買ってあった100均の帽子

 これは我ながら良いアイデアだったと思います。サンタクロース村は日本人を含め、東洋人旅行者が多く、見分けてもらいにくいのですが、この帽子をかぶっていると「やあ、昨日も来たね」と言ってもらえ、サンタさんのお手伝いをするエルフたちにも受けが良かったです。

フィンランド語で話すときの注意点

 サンタさんはフィンランド語を話します。英語も流暢です。簡単な挨拶なら10~20言語くらい話せるようです。

 いかにも東洋人の風貌の人がサンタさんの部屋に入ると、まず「どこから来たの?」と英語で聞かれます。サンタさんではなく、お手伝いのエルフがあらかじめ尋ねることもあります。そこで Japan と英語で答えてしまうと、カタコトの日本語を交えながら、英語で会話を続けることになります。

 そこで、フィンランド語で会話するためには「Where are you from?(どこから来たの?)」と英語で尋ねられても、敢えてフィンランド語で答える必要があります。「Olen japanilainen(わたしは日本人です)」と。そうすることでフィンランド語で話したい意思が伝わります。

 でもこれ、けーっこう難しいです。英語で聞かれて、英語よりも慣れた言語(たとえば日本語)で答えるのはそんなに難しくありませんが、英語で聞かれて、英語よりも不慣れなフィンランド語で返答するのはめっちゃ難しい。でもそこを敢えてやらないと、英語で会話して終わることになります。

サンタさんと交わした会話

最初の会話

 初日は張り切っていて、サンタさんに会ったあとすぐ会話の内容を詳しくメモったので、記録に残っています。

(英語で)Where are you from?
(どこから来たのですか?)

Olen japanilainen.
(わたしは日本人です)

Puhutko suomea?
(フィンランド語が話せるのですか?)

Joo, mutta vain vähän. Opiskelen suomea.
(ええ、でもちょっとだけです。フィンランド語を勉強しています)

Missä asut? Asutko suomessa?
(どこに住んでいるの? フィンランド?)

En. Asumme Japanissa.
Olemme kotoisin Tokioista, mutta asumme nyt Yokohamassa.
(いいえ、日本に住んでいます。出身は東京ですが、今は横浜に住んでいます)

(夫に)Do you speak Finnish too?
(あなたもフィンランド語を話せるのですか?)

No no, I don’t speak Finnish.
(いえいえ、わたしはフィンランド語を話しません)

(うさぎに)Miksi opiskelet suomea?
(なぜフィンランド語を勉強しているの?)

(英語で)Um… because I wanted to come here and converse with you in Finnish.
(ええと・・・ここへ来てあなたとフィンランド語で会話がしたかったからです)

 なぜフィンランド語を勉強しているのか、という問いは想定外で、答えを用意していなかったので、英語で答えました。

 そのあと一緒に写真を撮り、お別れの握手をしました。その握手の手がものすごく大きく、ふっくらと分厚かったので驚きました。サンタさんの手と比べると、夫の手がまるで子どもの手のよう。思わず「You have so big hands!(大きな手ですね!)」と思わず英語で言ってしまいました。

Oli hauska tutustua. Nähdään pian, kiitos!
(お会いできてよかったです。近いうちにまた。ありがとう!)

Hauska tavata. Nähdään.
(お会いできて嬉しいです。またね)

会話の反省

 サンタさんとの会話で使ったフィンランド語は kotoisin ~sta(~出身)を除き、全てDuolingoフィンランド語コースに出てきたものです。Duolingoだけでもそこそこ話せてひとまず満足^^。でも反省点もありました。

なぜフィンランド語を学んでいるのか

 一番の反省点は「なぜフィンランド語を学んでいるのか」という答えを用意していなかったことです。英語で言ったように「ここであなたとフィンランド語で会話がしたかったから」と咄嗟にフィンランド語で言えたら良かったのですが、「あなたと」と言う言い方がまず分からないし過去形の作り方もまだ学んでいないので無理でした。

 でもきっと同じ質問をこれからも他のサンタさんに聞かれるだろうなと思い、自分が言える範囲の別の答えを二つ用意しました。

Koska suomi on kaunis maa ja suomea on kaunis kieli.
(フィンランドは美しい国で、フィンランド語は美しい言語だからです)

Koska harrastan kielten opiskelua.
(言語学習がわたしの趣味だからです)

 一つ目はDuolingoの例文のまんまパクリ。二つ目は格変化を加えました。後日同じ質問を他のサンタさんから訊かれ、無事このように答えることができました。

 後日「どこでフィンランド語を学んでいるのか」と訊かれたこともありました。これには以下のように答えました。

Opiskelen suomea Japanissa. Yksin kotona. Minulla ei ole opettajaa.
(日本でフィンランド語を学んでいます。家で一人で。わたしには先生がいません)

わたしたちは日本人です

 次に気になったのは「わたしは日本人です」は「Olen japanilainen」だけど、主語が「わたしたち」になったらどうなるんだろう?ということです。

 「Olemme(~です)」はいいとして、「日本人」も複数にしなくちゃならないのかな。なら「Olemme japanilaiset」かな?と思ってGoogle翻訳にかけてみたら「Olemme japanilaisia」と返ってきました。なんですとーーーー?! 複数になったら -nen を -set にするんじゃないのおお??

 ・・・うーむ、これは歯が立たない。今更知らないことを言おうと思っても言えないので、夫の存在はガン無視し「Olen japanilainen」と自分のことだけ言い続けることにしました。

大きな手

 「大きな手ですね!」というのもできればフィンランド語で言いたかった。でも「手」という単語はDuolingoに出てこなかったし、まして複数形なんて知るわけがない。でもこれはぜひ言いたいと思ったので調べて覚えました。

Sinulla on niin isot kädet!
(あなたの手は大きい!)

サンタさんらしい返答集

 サンタさんとの会話が楽しいのは、サンタさんらしい答えが返ってくるところです。たとえば最初のサンタさんは翌日お会いしたとき、こんなことを言ってくれました。

Jouluna minä tulen tonakailla Yokohamaan.
(クリスマスにはトナカイに乗って横浜に行きますよ)

 トナカイだけ日本語なのがカワイイ^^。この返答にウケて、もっといろいろ面白いことが聞けないかなと思い、いろいろ質問しました。

Mitä rakastat?
(趣味は何ですか?)

Rakastan pilkkiä. Kalassa soudan lohta.
(趣味はアイスフィッシング。釣りでは手漕ぎボートで鮭を釣ります)

Kesässällä mitä teet?
(夏は何をしますか?)

Kerään marjoja.
(ベリー摘みをします)

Montako kieltä osaat?
(何か国語できるのですか?)

Puhun kaikkia kieliä jouluna, vain jouluna.
(クリスマスにはあらゆる言語を話しますよ。クリスマスの時だけね)

 ミセスサンタはおしゃべりしながらずっと編み棒を動かしていました。

Rakastatko neuloa?
(編み物がお好きなのですか?)

Olen tykännyt tätä jo monta sata vuotta.
Olen melkein 300 vuotta vanha.
(もう何百年もこれが好き。わたしはもうすぐ300歳なの)

 neuloa(編み物)という単語はDuolingoに出てきました。「ベリー」や「釣り」も。Duolingoって偉大!!

ミセスサンタと。

最後の会話

 サンタクロースオフィスで3回、ミート・サンタで3回、6日間で合計9回、5人のサンタさんにお会いしました。

 わたしが一番気に入ったのは、初日にミート・サンタで出会った手の大きなサンタさんです。二日目も同じサンタさんで、

Joulupukki, mitä kuuluu?
(サンタさん、お元気ですか?)

と挨拶すると「ああ、日本の横浜から来た人だね!」と覚えてくれていました。

 その後もミート・サンタに毎日通いましたが、サンタさんは3日続けて別の方。最初のサンタさんにもう一度会いたいなと思っていたら、その願いが通じたのか、最終日に再会することができました。

 二度目に会った時

Asumme täällä Holiday Villagessa viisi yötä ja kuusi päivää.
(このホリデービレッジに5泊6日滞在します)

と言ったことを覚えていてくれたようで「今日日本に帰るんだね」と言ってくれました。

 最後に会ったとき、ここ数日考えていた自分の思いをサンタさんに伝えました。

Joulupukki, sinulla on isot kädet.
Täällä on muutama eri joulupukki, mutta sinä olet minun joulupukkini.
(サンタさん、あなたの手は大きい。ここには他にもサンタクロースが何人かいますが、あなたがわたしのサンタです)

 自作の文なので間違えているかもですが、一応伝わったみたいです。

大きな手のサンタさんと。

サンタさん以外との会話

 会話というほどではありませんが、サンタさん以外と交わした言葉を書きます。

ブルーベリージュースをお願いします

 フィンランド航空にはブルーベリージュースがあります。なので往路の機内では早速フィンランド語で注文しました。「Vadelmamehua, kiitos」と。mehu(ジュース)をちゃんと分格にまでして完璧✨と内心ドヤってました。

 一応伝わってブルーベリージュースが出てきたのですが「●×△mehuのこと?」と聞き返されたので、ん?と思い、辞書で確認したら、vadelma はラズベリー。ブルーベリーは mustikka でした(;^_^

 その後日本人CAさんが続き、往路ではリベンジが果たせませんでしたが、帰国便で無事「Mustikkamehua, kiitos(ブルーベリージュースをお願いします)」と正しく言うことができました。メデタシメデタシ。

フィンエアのブルーベリージュース

良い一日を!

 日本ではこう言う習慣がないので、英語でも「Have a nice day」と言うのを忘れがちですが、ヘルシンキの空港に降り立ったとき、免税店でお客さんが店員さんに「Mukavaa päivää !(良い一日を!)」と言っているのを聞き、感じがいいなあと思ったので、お店やレストランを出るとき、わたしも忘れずに言うようにしていました。

 ちなみに先方から言われたら、返答は「Samoin, kiitos(ありがとう。あなたもね)」と返答すると良いようです。

この本を探しています

 愛読書「がまくんとかえるくん」のフィンランド語訳を買って帰りたかったのですが、アカデミア書店で尋ねると絶版だとのこと。中央図書館 Oodi で尋ねると「この図書館にはない」とのこと。でも所蔵している図書館を教えてくれたので行ってみました。

 そこはPasila地区の図書館でした。子ども向けの本がたくさんあり、目指す本は一体どこにあるのやら。とても自分では探せないので受付で書名を書いた紙を見せながら本のありかを尋ねることにしました。

Anteeksi, etsin tätä kirjaa.
(すみません、この本を探しています)

 するとパソコンで本の詳細を調べ、貸し出し中でないことを確かめた上で棚まで案内してくれて

△×●★❤
(翻訳者の苗字がPで始まるから、Pの棚を探してください)

Se on jossain tässä lähellä?
(どこかこの辺にあるのですね?)

Kyllä.
(そうです)

Kiitos paljon, Yritän etsiä.
(ありがとうございます、探してみます)

Yrität etsiä.
(探してみてね)

 とっても親切な方で、ブレずにフィンランド語だけで会話し続けてくれました。わたしが言ったことを人称を変えてオウム返しに言ってくれるところとか、先生か?って感じ! ありがたや~。アフリカ系のお顔立ち。移民なのでしょうか。ご自分もフィンランド語を意識して学ばれたから、わたしのフィンランド語を手伝ってくれるのかな。


 結局、ガマくんはPの棚を探したけれど見つからず、絵本・児童書の棚を全部探しても見つかりませんでした😿 その後、古本屋を6軒回って探しましたが見つからず。残念でしたが、探し回ったこと自体がいい思い出だったと思うことにします。

今後

 反省点は多々ありますが、ほんの数か月やっただけにしてはまあまあ喋れたのではないかなと思っています。わたしが知っている単語や表現の99パーセントはDuolingoに出てきたもの。Duolingo だけでこんなに話せるんですねえ!

 今後もフィンランド語は続けるつもりです。今もDuolingoフィンランド語コースのデイリーリフレッシュ(復習)を続けているし、旅行前に読めなかった入門書も読もうと思います。

 いつもは旅行が終わったらまた別の言語に移るのですが、どうもフィンランド語は様子が違う。軌道に乗った感じがします。いずれ一軍言語の仲間入りをするでしょう。ロシア語以降、大きくハマる言語がありませんでしたが、久々に来たかな、と言う感じ。Duolingoフィンランド語コースの拡充が待ち遠しいです。

 フィンランドにも来年以降、もう一度行きたいと思っています。わたしは割と薄情で、何度も同じ国に行くことはあまりないのですが、フィンランドにはまた行きたい。次回は夏か秋。ベリー摘みかキノコ狩りをしたいです。

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