前回は、フランスで自分ができたこと、できなかったことについて書きました。今日は、実地の会話に何が役立ったか、役立たなかったかを書きます。
単語よりフレーズ
単語がいまいち役に立たない。・・・これは一番痛切に感じたことです。単語を知らないせいで言いたいことが言えなかった場面より、パーツ(単語)は揃っているんだけど、それを文に組み立てる時間がなくて諦めた場面のほうが多かった。
単語を組み合わせて一から文を組み立てるのって、ターイヘン!! 文章を書くのと違って、会話は一瞬で文章を作らなければならないので、間に合わない。単語って、バラバラに知っていても、会話ではいまいち機動性がないんだな、と思いました。
それに引き換え、使えたのが、丸ごと一文覚えた「フレーズ」です。これは役に立った。スピーディな会話では時間的に、丸ごと覚えたフレーズの単語を一つ入れ替えるくらいの猶予しかないんだなあ、と痛感しました。
うろ覚えのものは使えない
フレーズが使えたとはいうものの、使えたのは、完全に覚えたフレーズのみでした。
覚えているはず、と思っていたフレーズが、いざ口に出してみたら、記憶が曖昧だった、ということもあり、そうすると急に自信がなくなり、自然に声が小さくなってしどろもどろになりました。すると途端に通じなくなる。きちんと通じさせるためには、自信を持って言うことが必要だし、自信を持つためには、フレーズを完璧に覚えていることが大事だと思いました。寝言で言えるくらいじゃないと使えないなあ、と。
ちなみにわたし、発音には全く自信がないのですが、今回、発音が悪くて通じなかった、ということはなかったです。日本語にないような母音の発音など、絶対ヘンに違いないと思うのですが、最近文字の読み方をおさらいしたので、「こういう発音のときは、こう」みたいな、自分なりの規則性はあったと思うし、ヘンでも何でも、その音を出そうという努力はしていた。だからもしかしたら、聞いている人が「この人はこの音をこう発音するんだな」というパターンをつかんでくれたのかも、と思っています。
通じさせるためには、発音よりも、言いたいことを自信を持ってきちんと言うことが大事だな、と思いました。
聞いただけのものは口に出せない
せっかく覚えているフレーズも、耳から聞いただけのものは、意外と口から出てこないなあ、と感じました。頭の中では完璧に言えてるつもりでも、口に出そうとすると、うまく舌がまわらない。そして「あれれ、言えない」と思っているうちにフレーズが死んでしまう。一回死んだフレーズは途中から続けてもダメな気がして、最初から言い直すのですが、でも二度目もちゃんと言えるとは限らないんですよねー・・・。
途中でかみそうなフレーズは速度を落として言ってみたらどうかとも思ったのですが、やってみたら、これもイマイチでした。覚えているフレーズって、速度も含めて、そっくりそのまま覚えているので、速度を緩めると、途中でわけがわからなくなっちゃう。
だから速度から何から何まで、聞いた音を口で真似するトレーニングが大事かも、と思いました。
聞き取りも、単語よりフレーズ
今回、話すこと以上に難しかったのが、聞き取りです。質問してみたものの、それに対してダーーーーッと返答を返されて、頭ン中、真っ白・・・という場面が何度もありました。
フランス語は短い単語が多く、それがくっついて、どこまでが一つの単語かがわかりづらい。一文一文、間を置いて話してくれれば、聞こえた音を単語ごとに分解して理解して~・・・という作業もできますが、ダダダダダ・・・・・と機関銃のように言われちゃうと、もう、どこから取り掛かっていいのやら分からず、苦笑いするしかない^^;。
でもこれも、単語レベルではなく、フレーズとか、一まとまりのパーツごと(たとえば冠詞つきの名詞とか)で覚えると、少しラクになるのでは、と感じました。
たとえば、わたしが苦手なのが「オレンジジュース」。「jus d’orange」(ジュドランジュ)って言われても、orange(オレンジ)のjus(ジュース)に分解することができず、「そんな単語、知らないっ!!」って思っちゃう。でも最初から「ジュドランジュ」=「オレンジジュース」って覚えればいいのかな、と^^。
フランス語は難しい単語ほど英語と似ているので、そんなに語彙数がなくてもなんとかなりそう、と思いました。たとえば「catastrophe(大惨事)」という単語は、英語でもフランス語でもスペルは全く同じ、発音もかけ離れてはいないので、意味がとれました。
あと一歩
全体として、今回感じたのは、フランス語は非常に定型が強い言語だということです。よく使われる表現のバリエーションが少ない。使われる単語のバリエーションも少ない。
だからなのかな? 自分で言うのもなんだけど、けっこう「惜しい!」と思ったんです。「手も足も出ない」場面より、「惜しい! あと一歩!」という場面が意外と多かった。あと一歩足りないのが悔しかった。だからまずはその「あと一歩」を積み上げようと思います。
では今後何を積み上げたら「あと一歩」が達成できそうか。それはまた次回書こうと思います。