アラブ料理教室に参加してきました。教えてくださったのは、ヨルダン出身のディアブ・ガッサン先生です。年に一度、武蔵野市民会館で開催される講座で、今回は3回目の主催。わたしが参加するのは2回目です。
ディアブ先生は、本業は翻訳家ですが、料理がお好きで、アラブ関係のイベントでコックとしてよく腕をふるわれている方です。学生時代には毎日50人分の食事を作っていた時期があるとか。在日されて30年以上たつので、日本で手に入りにくい素材や器具を他のもので代用するアレンジもお得意です。
アラブ料理DVDも2巻出されてます。マクドゥース編とクスクス編。マクドゥース編にはわたしもちょこっと映ってるらしい^^;。
今回のメニューはホンモス(ひよこ豆のサラダ)など、野菜が中心。昨年末、大徳寺というお寺で行われたガザ法要(イスラエル侵攻で命を落としたパレスチナの方を弔う法要)の際、精進料理としてふるまわれたメニューだそうです。お寺・・・精進料理・・・だから野菜。ヘルシーでした。
ではでは、作った料理をご紹介~。
どど~~~~ん
ほほほ・・・豪華でしょ?
これを作った・・・っていっても、わたしはほとんど、先生が作るのを見ていただけなんですけどね^^;。家でもよく作るホンモス以外は、見学に徹しました。だって先生が作ったもののほうがおいしいんだもーん。
アラブ料理ってものすごく香辛料を使います。クミン、パプリカ、ガーリック・・・。胡椒や砂糖もすごい量。でも日本人は怖くてそんな量の調味料はとても振れない。どうしても控えめにしてしまいます。
実際出来上がってみると、しっかり香辛料を振ったほうが、味のバランスがとれていておいしい。香辛料を控えると、なんだか気の抜けたような味。
でも、そう分かっていても、やっぱりいざ作るとなると、どうしてもスパイスを控えめにしてしまうのが日本人の性。なので少なくとも味付けは、「ええ~~~! そんなに入れるんですか~~~?!」と驚愕しつつ、先生にお任せが吉。2回目の今回は、それで見学に徹したというわけです。
ではひとつひとつの料理について軽くご紹介~。ディップが多いのは、ピタパンにつけて食べるからです。
アラブ風焼き鳥
玉ねぎと香辛料でマリネした鶏モモ肉を半分に切り、250度のオーブンで30~40分焼く。ピタパンに挟んで食べる。オーブンで焼くと皮がパリッパリッになって、すごくおいしい!!
アラーイス(アラビア語で「عرائس 花嫁たち」という意味)
鶏挽肉に野菜を混ぜたものを薄くピタパンに挟み、フライパン(本来はピザ焼き窯)で焼いたもの。栄養満点で精がつくので、結婚式のとき花婿に食べさせるんだそう(笑)。
そら豆のサラダ
水からゆでた冷凍のそら豆(業務スーパーに売っている)に、玉ねぎのみじん切り、パセリ、おろしにんにく、レモン汁・各種スパイスなどを加えたもの。あんまりアラブアラブしていない、あっさりしたお味です。
かぼちゃのディップ
柔らかく蒸しあげたかぼちゃをマッシャーでつぶし、あついうちに、塩コショウ、ゴマペースト、おろしにんにく、レモン汁、スパイス類を加えたもの。クミンを入れるとアラブ風^^。パセリやオリーブを飾るとかぼちゃの黄色が映えます。
ホンモス(ひよこ豆のサラダ)
ひよこ豆の缶詰(カルディで売っている)を水から茹で、ミキサーでつぶした豆に塩コショウ、ゴマペースト、おろしにんにく、レモン汁を加え、さらに撹拌してなめらかにしたもの。皿に盛ってオリーブオイルをまわしかけ、パプリカ、ピクルス、オリーブやパセリを飾ると色が華やか。
ババガンニュージュ(ナスのヨーグルトサラダ)
皮をむいたナスを柔らかく蒸しあげ、マッシャーでつぶしてヨーグルトと混ぜる。ナス2本につき、ヨーグルト1パックくらいの勢い。ガーリック。塩コショウをし、最後にオリーブオイルをかける。さっぱりしていておいしい。
オクラとトマトのディップ
タマネギのみじん切りを炒め、オクラの輪切り(業務スーパーの冷凍もの)、カットトマト缶・トマトペーストを加えてとろりとするまで5~10分煮つめ、粉末状のチキンスープ、塩コショウで味を調えてできあがり。
ラヤーリー・ルブナーン(アラビア語で「レバノンの夜」)
小麦粉の代わりにデュラムセモリナ粉を使って作ったカスタードクリームの上にバナナの輪切りを並べ、その上にホイップクリームをたっぷりかけ、バナナや缶詰フルーツ・ドライフルーツなどを飾ったデザート。セモリナ粉のカスタードクリームはモチモチした食感。クリームの香りづけにローズウォーターを使うと、アラブっぽい香り。
トルココーヒー
最後は「القهوة العثمانية(オスマン風コーヒー)」。濃く煮出してカルダモンと砂糖をた~っぷり加えたものです。
飲み終えるとカップの底にはコーヒーのどろりとした沈殿が残る。そういえばトルコではこの沈殿物で占いをするんだって聞いたことありますねえ。
先生は、いろんな料理を作りながら、しょっちゅう味見をしておられました。日本人はよくレシピ通りに調味料を測って入れるけれど、味見をしつつ、その場で味を決めるのがアラブ風なんですと。アラブには、「毒でさえ味見をせよ」ということわざがあるのだそう(笑)。
料理の説明はほとんど日本語。でもときどきアラビア語も混じるので、わたしにはそれが楽しかったです。ここしばらく英語にハマっていて、アラビア語は浦島状態でしたが、料理教室に参加したことで久々に、アラビア語への愛を思い出しました。
それからもうひとつ。こういう催し物の楽しみは、いろんな方に出会えることです。今回も、アラビア書道を習ってらっしゃる方、アラブに留学されてた方など、「アラブ」をキーワードに、さまざまな出会いがありました。
とはいえ、これには不思議な部分がある。普通は新たな出会いによって、「世界が広がる」かんじがするものですよねえ。ところがキーワードがアラブの場合は、「世界が濃くなる」かんじがする。外へ外へと広がっていくというより、内へ内へとディープに掘れていくかんじがするのは、一体なぜなのでしょうねえ・・・。
・・・というわけで、またまたわたしはアラブ~な雰囲気をディープに掘ってきてしまいました。楽しかったです^^。
ディアブ・ガッサン先生。
ご自分の頭を指さしながら、
「大坊主(坊主頭と言いたいらしい)ってアラビア語でなんていうか知ってる?」
「ラー・アーリフ(知りません)」と答えると、「أقرعだよ」ですと。
そうかー、禿げ頭はカボチャ(قرع)頭なのか。納得。
この単語、たぶん一生忘れない(笑)。