今日は、昨年受けていたスパニッシモのスペイン語レッスンで、ある先生から聞いたことを書きます。
スパニッシモで受ける最後のレッスンだったので「外国語上達の秘訣って、なんだと思う?」と尋ねたのです。
すると、答えは以下の通りでした。
- No traducir 訳すな
- Tener mucho vocabulario ボキャを増やせ
- Leer mucho たくさん読め
- Hablar mucho sin temor 怖がらずにたくさん話せ
- Tener máscara para cambiar su personalidad 仮面を被り、人格を変えろ
1から4までは、まあ普通ですね。5だけ「??」って感じ。
Tener máscara para cambiar su personalidad
仮面を被り、人格を変えろ
・・・って、どういうこと??
説明を求めると、要は「スペイン語を喋るときには、ラテンアメリカ人になりきれ」ってことだそうです。日本人のままではいけない、と。
これまでいろんな国の人を教えてきて気づいたのは「日本人は仮面をかけ替えない」ということだそうです。他の国の人は多かれ少なかれ、スペイン語を喋るときにはラテンアメリカ気質になる。ところが日本人だけは、スペイン語で喋っても、表情は日本人のまま。真面目な日本人の人格を脱ぎ捨てない。
たとえばあるとき、スカイプレッスン中にグアテマラで地震が起きた。周りのものがグラグラ揺れて、「わ-! 地震だーーー!! 逃げなきゃ! でもどこへ・・・?!」と先生はパニクり、一人でワーワー騒いでいたそうです。
幸い数分後には揺れが収まり、やれやれと一息ついて画面を見ると、日本人生徒が、さっきと変わらない真面目くさった顔で、こっちを見ている。
「ありゃ、またスカイプの映像、固まっちゃったよ」と思い、音は繋がってるかと思って手を振りながら、「オラー」と呼びかけてみた。すると静止画の口が僅かに動いて、「オラー」と返事が返ってきた。
なんと、映像は固まっているのではなかった。相手が表情ひとつ変えず、身じろぎもしなかったから、静止画に見えただけだ、と気づいた。
その瞬間、ドッと汗が噴き出したそうです。「自分がギャーギャー大騒ぎを演じている間、この生徒はずっと、この冷静な顔でこっちを見ていたのか」と。
この話にはもう大爆笑! さもありなん。
グアテマラの先生からすると、それくらい日本人は無表情に見えるんですね。静止画かと思えるほどに。
で、このクソ真面目な日本人の仮面を外さないことには、スペイン語の上達は見込めない、とこの先生は主張するわけです。スペイン語話者のメンタリティまでコピーしてこそのスペイン語習得だ、と。
「だから、スペイン語を喋るときは、日本人の仮面を脱ぎ捨てて、ラテンアメリカーノの仮面を被らなきゃ」という先生。
「あ、でも君の場合は別ね。君は仮面替える必要ないね。もともとラテンアメリカーナだから」
・・・ハイ?? わたし、ラテンアメリカーナなんですか??
「だって君は、いつもコロコロ笑い転げてて、僕らと変わらない。とても日本人とは思えないよ」
・・・って、それが、毎回着物を着てレッスンを受けているわたしに言うセリフですか~?
スペイン語習得のために敢えてラテンアメリカーナを一時的に演じているだけとは思わんのかい!
・・・って、自分でも自信ないですが(;^_^A
ちなみに、静止画に見えようが、ウェブカメラをつけている人はまだ気を許している証拠。会った事がある(ウェブカメラをつけて顔を見せてくれたことがある)のは生徒の6割程度。あとの4割の生徒は顔を見たことがない、と聞いたことがあります。
それは極端な例だろうと思い、別の先生にも尋ねてみたら、やはりそんなものだというので、驚きました。
ついでにレアジョブをやっている人に頼んで数人の先生に聞いてもらったら、なんとレアジョブでは8割の生徒がウェブカメラをつけないというので、のけぞりました。
スカイプってそういうもの?! ビデオ通話がデフォだとばかり思ってたわ。日本人、どんだけシャイなんですかー!!
今回始めたDMM英会話はどうなんだろう?? これもレアジョブと同じかな?
トルコ語ではそんな難しいことはまだ聞けないので、今度英語のレッスンとったときに聞いてみよう。
ちなみに日本語では、ビデオのオンオフにかかわらず、スカイプで話したことがあるだけでは「会ったことがある」とは表現しない気がしますが、スペイン語では、スカイプであっても顔を見たことがあれば「conocer(会ったことがある=知り合いである)」を使うようです。ビデオがオフの状態でしか話したことがなければ「no lo conozco(彼には会ったことがない)」と表現する。この会話のとき、気づきました。
トルコ語では、電話で話すだけでも「görüşmek(互いに見る=会う)」。言語によって意味が少しずつズレていて、面白いですね^^。
ついでにもうひとつ余談。
先生が話していた例のグアテマラの地震、実はわたしもたまたま別の先生とスカイプレッスン中で、経験しました。突然先生の顔が消え、天井近くの棚の上の映像に変わった。一体何事?!思ったら、今度はゴロゴロいうような音が聞こえて、棚の上のものがグラグラ揺れ始めた。
「地震?!」と先に叫んだのは、先生よりわたしのほうでした。地震の揺れで、ウェブカメラが滑り落ちたらしい。モノの揺れ具合から察するに、震度4くらいと見ました。
若い豪傑な女の先生は冷静で、椅子から立ち上がりもせず、ウェブカメラの位置を戻すと、泰然自若として笑みを浮かべ、平気な顔でレッスンを続けようとするので焦りました。
「もうレッスンなんていいから! 危なくなったら逃げて!」と言おうとして、でもパニクってしまい、言葉がうまく出てこない。「エスタビエン? エスタビエン?(大丈夫? 大丈夫?)」ばかり繰り返してました。
懐かしい、スパニッシモ時代の思い出です。