多言語

くどいのが好き1 畳語

 トルコ語が好き。ほんとに好き。その魅力のひとつは、繰り返し表現が多いことです。

 わたし、しつこい表現って大~好き。ギャグでも、同じセリフを何度も畳みかけるギャグが好きですが、普通の言葉でも、「パラパラ」「サクサク」などの擬音語・擬態語や、同じ言葉を繰り返す表現が、なんか面白くて大好き~♪ そういう表現が多い言語はひいきしてしまいます。

 繰り返し表現のうちのひとつは畳語。「たたみご」だとばかり思っていたら、「じょうご」って読むんですね^^;。

くどいトルコ語

 日本語にも、「村々」とか「木々」「人々」など複数を示す言葉や、「パラパラ」「フラフラ」「テクテク」などの擬音語・擬態語、「堂々(と)」「時々」「順々(に)」などの副詞によく見られますが、トルコ語もそういう表現が豊富です。

 たとえば、

  • tekrar tekrar (何度も何度も)
  • sık sık (ちょくちょく)
  • ciddi ciddi (よくよく)
  • aynı aynı (別々に)
  • yan yana (となりどなりに)
  • şöyle böyle (まあまあ)
  • seve seve (嬉々として)
  • güle güle (精々、ニコニコ → 楽しんで行ってらっしゃい)
  • yapıp yapıp (どうにかこうにか)

などなど。かわいくないですか~? 特にsık sık (ちょくちょく) は、「スクスク」という音で、日本語に似ているから、大好き。まだたくさんは知らないのだけれど、新しいのを見つけるたびに、大喜び^^。

 これは畳語とは呼ばないかもしれませんが、

  • beyaz = 白い bembeyaz = 真っ白々な
  • kırmızı = 赤い kıpkırmızı = 真っ赤々な
  • top = 円い  tortop = まん円な

のように、形容詞の出だしがタブるのも好き。

 形容詞は

  • uzun uzun yol (長い長い道)

のように、強調したいときは日本語同様、二つ繰り返してもいいみたい。

くどい英語

 そういえば英語でもlong long way とか long long time agoなど、longを二つ続けることってありますね。

 英語には畳語的な擬音語も多い。

  • drip drop (ポタポタ)
  • flip flap (パタパタ)
  • ding dong (ゴーンゴーン 鐘の音)
  • ting a ring a ring (チャリンチャリン キンキラリン? ティンカーベル語)
  • super-duper (どえらい)
  • zig zag (ジグザグに)
  • humpty-dumpty (卵人間の名前)

などなど。商品名やミュージックバンドなど、固有名詞にも多いですね。通常、最初にくるのは普通の単語で、後ろのはそれ自体では意味を成さないゴロあわせ、というのが多い。単語一つだと覚えられないのに、二つくっつくと、なぜかすぐに覚えられるから不思議です。

くどい中国語

 昔、中国からやってきたパンダの名前も、康康(カンカン)と蘭蘭(ランラン)というので、すぐ覚えてしまいました。中国では二つ音を重ねてニックネームにすることが多いようですね。飛飛(フェイフェイ)なんて名前、すごくカワイイ~^^。

 あんまり中国語ってやったことがないので、たくさんは知らないんですが、他には

  • 看看(ちょっと見る)

というのがありました。二つくっつけると意味が強まって「じっくり看る」かんじになるかと思いきや、「ちょっと~してみる」と、逆に意味が軽くなるのが面白いですね。

 「喧々囂々」「戦々恐々」「三々五々」などの漢語は意味が強まりますが、これも中国から来たのかなあ?

くどいインドネシア語

 インドネシア語はもう、畳語の宝庫。日本語同様、二回続けることで複数形になるのをはじめ、ほかにもた~くさん! (詳しくは「インドネシア語における重複語の研究」参照)

  • anak anak (子供たち anak=子ども)
  • orang orang (人々 orang=人)
  • orang-orang (カカシ orang=人)
  • abu-abu (灰色)
  • jalan jalan (ジャランジャラン 散歩・ブラブラ歩き jalan=道)
  • baru baru ini (最近)
  • kira-kira (おおよそ)
  • mana-mana (どこにでも)
  • sama sama (お互いさま sama=同じ)
  • hati hati (お気をつけて hati=心)
  • sedikit-sedikit (ちょっとずつ sedikit=少し)

ああーー、またインドネシア語やりたくなってきた。

くどいアラビア語

 実はアラビア語にもたーくさんあるんですよ~。四語根動詞の多くは畳語的な音の繰り返しです。

  •  زلزل (グラグラ揺れる) 
  •  غرغر (ガラガラうがいをする)
  •  وسوس (ヒソヒソ呟く) 
  •  بربر (ペチャクチャ喋る) 
  •  قمقم (ブツブツ不平を言う) 
  •  ولول (オイオイ泣く) 
  •  قرقر (腹がグウグウ鳴る ゲラゲラ笑う) 
  •  بلبل (イライラさせる) 
  •  تكتك (グラグラ煮立つ) 

 アラビア語では形容詞はあまり重ねない気がしますが、その代わり جدًّا(とても)をすごく重ねます。これはもう、しつこいほど、好きなだけ重ねる。

 たとえば「長い長ーーーい道」だったら、

 طريق طويــــــــــــــل جدًّا جدًّا جدًّا (すごくすごくすごく長ーーーーーーい道)

みたいな言い方をします。

二つ返事

 畳語とはまた別かもしれませんが、返事も重ねることがありますね。

 「二つ返事」という言葉もあって、これは「喜んで」といったポジティブな意味合いが強いですが、実際に「はいはい」と「はい」を二回重ねて言うと、ちょっと不真面目な印象になり、「『はい』は一度でよろしい」なんて叱られてしまいます。

 でも人の話を聞くときは、真剣に聞けば聞くほど、「うん、うん」とか「そう、そう」って何度もうなづきますよね。否定するとき「いえいえ」とも言う。

 英語でも「yeah yeah」とか、フランス語でも「oui」や「non」を二回重ねるのをよく聞きます。

 アラビア語なんかنعم نعم نعم نعم(そうそう、そうそう)って4回重ねることもある。そういえば人差し指を左右に振りながらلا لا لا لا(いやいや違う違う)も4回な気がするな。なぜだろう?

 スペイン語に至っては、「Sí—–! sí sí sí sí sí sí sí sí!」「No——–! no no no no no no no no!」みたいな感じ。これも4回で一セット。それを二回言う感じ^^。テンション高いわーー。

 スペイン語を始めてから日本語もくどくなり、気づけば、たいしたことないことでも「いやいやいやいや、そんなことはないです」みたいに全力で否定?してたりします(笑)。

 トルコ語も、Hayır(いいえ)を重ねるのはまだ聞いたことがないけれど、Evet, evet(そうそう)はつい言ってしまいます。

ルピナス
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