英語

財布がない

 風邪は相変わらず。喉の痛みが治まった代わりに咳が出てきた。

 でも不思議と体より先に気力が復活。そんなことってあるのねえ。健全な精神は健全な肉体あってこそと思っていたのに。

 数日ぶりに外に買い物に行こうと思い立った。

 ところが財布が見つからない。どこだどこだと10分以上も探し回った挙句、思い出した。そうだ、日曜に夫に買い物を頼んで以来、返してもらっていない。

 もうがっかり。出鼻を挫かれるとはこういうこと。せっかく出かける気満々だったのに財布がないなんて。

 図書館のカードも財布の中なので、予約した本さえ受け取りに行かれない。ああ、なんてついていないんだろう。もう服だって着替えちゃったのに。

 でもいいんだ。今日はいいことがあったんだ。

 朝一番のオンラインレッスンが、面白かった。だから財布が見つからないくらい、どうってことないよ。

 朝の英語レッスンは、体調不良の話から始まった。

 「最近どう? 元気?」

 「いやそれが。実は風邪引いちゃって」というところから、抗生剤の話になり、バクテリアの突然変異から連想したのか、先生がこんなことを言い出した。

 「人間もさ、今は癌でたくさん人が死んでるけど、俺なんかの若い世代は、いつも携帯やパソコンからの放射線に晒されているから、耐性ができて癌になりにくいんじゃないかな」

 「・・・は?!」

 思わず自分の耳を、というより、自分の英語理解力を疑った。「癌になりやすい」の間違いじゃなくて?!

 「楽観的ねえ」と恐る恐る言うと、

 「そうかなあ? だって、直射日光の強い地域に住めば自然に肌の色が濃くなって、太陽光線の影響受けにくくなるでしょ? アフリカ人とかさ。ノルウェーなんかは日射量少ないから人の肌真っ白じゃん。放射線だって同じだと思うんだよね」

 ・・・うーん、なるほどー。説得力あるわ。

 でも都合が良すぎやしないか? 遠い未来の話ならともかく、今の若い世代がそんな耐性を身につけているというのはどうかなあ。

 でも面白い。

 「それって今西ナントカ論みたい。何だっけ? ダーウィンの説」

 「進化論(theory of evolution)?」

 「そう、それ! 知ってる? 今西進化論て。ダーウィンの進化論みたいに強い種が生き残るんじゃなく、種全体がいちどきに変化するっていう説」

 「へえー、知らない。ちなみにダーウィンの進化論は『強い(strongest)』かどうかじゃなく『適応性の高い(fittest)』のが生き残るんだよ」

 「あ、そっか」と思い、もう一度英語で言い直す。

 ・・・と、ここまで書いたところで、娘が勤めから帰ってきた。

 早速「買い物に行きたいのに財布がない」という行き場のない怒りをぶつける。

 その途端、なぜか突然思いついた。そうだ、コートだ。夫のコートのポケット。財布はそこにあるに違いない。

 さぐってみると、案の定、あった・・・!

 まだ図書館の閉館に間に合う。

 ・・・というわけで、買い物にも図書館にも無事行かれました^ ^。

 いやー、うまくできているものだ。財布が見つからずふてくされてるうちに、今日もブログが書けてしまったじゃないか。

 世の中こんなにうまく回るなら、先生の新説もありうるかもしれない。

 なんだかそんな気がしてきました。

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