英語

ポリグロットの英語

 カウフマン氏のチャンネルに、また新しい動画がアップされていました。

 この談話は別の二人のポリグロットの対談が下敷きとなっており、その動画へのリンクがついていました。

 ここから更にリンクを辿り、この動画で対談している二人のポリグロットのブログとチャンネルの存在も知りました。

 情報って、こうやって芋ズル式に見つかっていきますよねー。先日のカウフマン氏の動画もたしか、別のところから辿り辿って見つけたのだったと思います。最初はDuolingoのフォーラムかどっかに貼られていたリンクじゃなかったかと思いますが、なんかもう、最近は見たい動画、読みたいブログが溜まり過ぎで、嬉しい悲鳴を通り越して、もう、「ど、どうしよう?」って感じ。

 たぶんこの先も、また際限なく繋がっていくんだろうなあ・・・。ああ忙しい。

ポリグロットの英語は分かりやすい

 外国語学習に関してブログ記事を書いたり動画にアップしたりしているポリグロット(多言語話者、マルチリンガル)は多く、いろんな言語で記事を書いたり、動画で話したりしていますが、メインはやはり英語です。

 そして、今回見つけた3人のポリグロットを含め、ポリグロットの動画・ブログには一つ共通点があるように思う。

 それは、英語が非常に分かりやすいことです。

 彼らの英語はとにかく読みやすい、聞き取りやすい

 TEDや、英語で発信されている一般的なyoutubeに比べ、ポリグロットの動画はなんて分かりやすいんだろうと思います。ブログもしかり。TEDのスクリプトは辞書がないとわたしにはちょっと厳しいけれど、ポリグロットの記事はほぼ辞書なしで読める。

 TEDは、一時期けっこうよく見ていたのですが、一度ではよく分からず、スクリプトを読んだり何度も見たりしているうちにだんだん億劫になり、いつの間にか見なってしまいました。

 最初にTEDを知ったのは2012年の秋ごろ。つまり今から3年半くらい前のことなので、今ならもう少しラクに見られるかなと思って、今でもたま~に見たりするんですが、まだだいぶ背伸び感があります。

 それに比べると、ポリグロットの動画はだいぶ敷居が低いと感じます。

 TEDとポリグロット動画。その難易度にどれくらいの差があるかというと、普通の映画とディズニー映画くらいの違いかな? あくまでイメージですが。

 一般的な映画の英語は、作品にもよりますが、わたしには難しい。スラング満載の大人向けの映画はもとより、ハリポタでさえ細かい部分はよく分からない。ジョークとか、全然分からなくて悲しい。一般に、映画は「分かるところもある」くらいの感じでしょうか。

 でもディズニー映画は分かる。けっこう分かる。「分からないところもある」くらいの感じです。

 ポリグロットの動画やブログも、ディズニー映画に通じる分かりやすさがあります。まさに「分からないところもある」くらいのレベル。だから気楽に見られる。内容以前にまず、「英語が分かる!」という嬉しさがあります。

なぜポリグロットの英語は分かりやすいのか

 ではなぜポリグロットの英語は分かりやすいのでしょうか。

 一言でいうと、それは彼らがポリグロットだからだと思います(笑)。

 具体的には

  1. 話のテーマが外国語学習だから
  2. 外国語学習者向けに発信しているから

だと思います。

話のテーマが外国語学習だから

 これは彼らというより、自分側の理由とも言えますね。動画の内容が、視聴する側であるわたしの興味に合致し、よく知っている内容だから分かりやすい。これは一つあると思う。

外国語学習者向けに発信しているから

 外国語学習者というのはもちろん英語学習者を含むわけで、相手は英語ネイティブとは限らない。だから視聴者の英語力が必ずしも高くないことを想定し、彼らは努めて、誰にでも分かりやすいよう、ゆっくり、丁寧に話してくれているのだと思います。

 ポリグロットが発信する動画にはスクリプトがついている場合も多く、特にSteve Kaufmann氏の動画はLingQの教材も兼ねている。だから分かりやすい。

 今回見つけたLuca Lampariello氏も、ブログにスクリプトが書かれているものがあり、スクリプトがなかったとしても、この動画(Why and how adults can learn languages better than kids)なんかはもう、すごく分かりやすい。TEDと同じスピーチの形式なので、よけい違いがよく分かり、その分かりやすさに感動しました。

 氏はイタリア人で、英語は母語ではありませんが、決して「ネイティブのように話せない」わけではない。分かりやすく話すことを選択し、意識的に心がけているのだと思います。 

 つまり、とにかく多くの人に伝えたいと思って工夫している。だから分かりやすいのだと思います。

 これはもう、すごく爽やか。見ていて気持ちが良い。

ひけらかしの英語と伝える英語

 わたし、日本人というのは世界一、英語が苦手な種族だと思っているのですが、その理由の一つは、日本人の多くが目指しているのがひけらかしの英語だからだと思っています。

 多くの場合、日本人の「英語が喋れるようになりたい」という欲求は「世界の人々と英語で話ができるようになりたい」からではなく、「流暢、ペラペラという称号を手に入れたい」だけ。

 だからいつまでたってもうまくならない。だって「外国人に通じる英語」じゃなく「日本人から褒められる英語」を目指しているのですから。褒められることが大事で、伝わるかどうかは二の次。伝わらなければ「なんだ、こんな表現も知らないのか」と相手を馬鹿にし、伝わらない責任を相手におっ被せて終わりなんだから、伝わるわけがない。

 でも先のWhat is fluency in a foreign language?でもう一方のAnthony Lauder氏がいみじくも述べている通り、対話というのは語学力の雌雄を決する場ではなく、双方が歩み寄って初めて成立する場だと思います。

Even I speak Czech well, when I’m in a group of Czechs, they adjust the level cutting down on the slang, cutting down on the upskilled cultural references as we naturally owe all the conversations to flow; we don’t want it to be painful, so both sides are trying.

What is fluency in a foreign language?

(僕はチェコ語が堪能だけど、それでもチェコ人たちのグループに混じっていると、彼らはスラングや文化依存度の高い話題はなるべく避けて、僕のレベルに合わせてくれる。だって僕らは当然、会話をスムーズに運ばなくちゃならないからね。会話が苦痛であってほしくないから、双方が努力するわけです)

 ポリグロットの動画からは一様に、「なるべく平易な言葉で、なるべく多くの人に伝えよう」という努力が伝わってきます。おそらくそうした意識が生まれるのは、外国語が分からなくて苦労した経験を彼らも持っていて、それを忘れていないからでしょう。彼らは言語スキルをひけらかすのではなく、むしろ視聴者の未熟な語学力に歩み寄ってくれる。

 そしてそれが本当の語学力だと思う。本当の語学力というのは、人を突き放すのではなく、歩み寄ること。難しい言葉を操って人を感心させることではなく、相手に合わせて言葉を選び、伝えるスキルではないのかな、と思います。

タイトルとURLをコピーしました