フランス語

フランス語の綴りの読み方

 ここ数日「フランス語の綴りの読み方」というテキストを読んでいます。

 一年前、英語のフォニックスを学んだ経験から、フランス語の読み方も一度きちんと学びたいと思い、そのものズバリな題名のこの本を選んで学び始めたわけですが、やって正解でした。まあいかにいままで無茶苦茶に読んでいたかが分かりました。

 フランス語は英語よりも例外が少なく、法則性がはっきりしているので、経験則で読んでも大抵は当たるのですが、きちんと理解していないと知らず知らずのうちに自己流になってしまう部分や、英語の読み方に流されてしまう部分があるんですねえ・・・。

 たとえば、beau(美しい)という単語。よく見る単語なだけに、これは直感的に「ボ」(或いは「ボー」)と読めます。

 ところが、beauté(美)という単語を目にした途端、beauty(ビューティ)という英語の読みに引きずられて「ビューテ」と読んでしまったりするのです。「」という語尾がくっついただけで、もう「beau」を「ボ」と読むことを忘れてしまう。

 特に意外な盲点だったのは、聞いたことのある単語の読み方ですら間違えるということです。

 たとえば「accueil(もてなし)」。これ、ずっと「アキュエィユ」と読むんだと思っていました。だって「ccu」は「キュ」と読むし、「eil」は「エィユ」と読むし。だから疑ったこともありませんでした。

 ところがこの場合はちょっと特殊で、「アクーィユ」と読むのだ、と今回知りました。

 「まあしょうがない。ネットではよく見かける単語だけれど、音を聞いたことがないのだから」。そう思いかけて、ふと立ち止まりました。――音を聞いたことがないって? とんでもない! お気に入りのCDに「Son accuel était aimable(彼女のもてなしはいい感じでした)」という一節があるじゃないか!と思い出しました。確かにそこでは「アクーィユ」と言ってたような・・・。

 つまり、正しい音を聞いたことがある。それでも間違えるのです。

 それはなぜか。

 たぶん、この音が日本語にはない、割と聞き取りにくい音だからです。

 聞き取りにくい音って、何度聞いても、どんな音が発せられているのか、よく分かりません。だから「こう発音しているはず」という先入観があると、そう聞こえてしまうのです。「確かにそこでは『アクーィユ』と発音していた」と思うのは、『アクーィユ』が正しい、と、いま本で読んだからであって、『アキュエィユ』が正しいと思っていれば、『アキュエィユ』に聞こえてしまう。

 「確かにこう聞こえた」と確信が持てるほど良い耳を持っていれば良いのですが、あいにくわたしの耳はそこまで良くないので、どうしても先入観に負けてしまう。だから正しい先入観をもつ必要があるのです。

 あと、フランス語の綴りの読みには、外来語以外、あまり例外はないものだと思ってきましたが、そうでもないんですね。フランス語にも案外、例外が多いと知りました。特に短い単語ほど、そしてよく使われる単語ほど、例外が多い。

 そして、そこに『経験則』の落とし穴があるのです。よく目・耳にする単語ほど例外が多いということは、例外が経験として蓄積されやすいわけで、誤ったルールを自分で作り上げてしまう可能性が高いということ。狭い経験で培った経験則は危うい。誤ったルールを信奉していると、本当のルールから大きくズレてしまいますから。

 英語の干渉と、頼りにならない耳と、危うい経験則・・・。暗い森には怖いオオカミがいっぱい。

 でも今後は、今学んでいる「綴りのよみかた」が、わたしの足元を明るく照らしてくれることを期待しています。

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