2012年11月、DELE A2を受検し、合格しました。
DELEはスペイン文部省認定のスペイン語能力試験です。10月に受けた日本の文科省認定のスペイン語能力試験(通称:西検)との違いを体感したいというオタク心の発露で、西検・DELE、両方同時に申し込みました。
A2(初級)は6段階のうち、A1(入門)に次ぐ下から二番目の級です。 海外の検定試験は受験料が高いのがネックで、これまで受検したことがなかったのですが、ギリ一万円以内だったので思い切りました。
これまで日本の外国語検定はいろいろ受けてきましたが、海外の検定試験は今回が初めてで新鮮でした。試験直後、印象が新鮮なうちに書き留めたメモを元に、体験を振り返ります。
筆記・リスニング
受検会場は上智大学でした。和製スペイン語検定に比べると会場が少ないとはいえ、受験者数が意外と多いのに驚きました。
なんとA2だけで150人近く!! B1やB2に至ってはもっと多い。その9割以上が学生と思しき若者でした。しかもみんな、勝手知ったる感じ。構内案内図を見てるの、わたしだけでした。 もしやみんな上智大学の学生さんだったとか? それともDELEの常連だったりして?
先日の西検がそうだったので、試験官が全員スペイン語ネイティヴであったことには、今回は驚きませんでした。でも西検のときは、試験官のジョークに誰も笑っていなかったのに、今回は笑っていた!! レベル高っ!
人が笑っているジョークが自分には分からないって、なんとも寂しいものですね。こういうときです。スペイン語がもっと分かるようになりたい!と切実に思うのは。
DELE A2は、最初が読解(lectura)+聴解(comprensión)(60分+35分)、休憩ののち、作文(escrito)(50分)。午後に10分離れたインスティテュート・セルバンテスに移動して、約15分の口頭試験(oral)という時間割でした(人によっては翌日)。
読解はかなりのボリュームで、サクサク解いていかないと、時間が足りなくなるかも~、な量でした (過去問題サンプル参照)。過去問題サンプルでお分かりのように、試験問題はオールカラーですが、 せっかくゴーカな試験問題も、回収されちゃって持ち帰れないのがガッカリ;;
あ、ちなみにこれから受けられる方、当日は腕時計をお忘れなく~~!(携帯使用不可) ほかの持ち物は受験票に書いてありますが、時計は書いてないんです。でも時計がないと精神的にかなり辛いと思う。
わたしにとって一番問題なのは聴解。とにかく心配だったので、読解で余った15分は、読解の復習ではなく、すべて聴解の予習に投入。つまり、選択肢を予め読んでおきました。
それでも聴解、難しかったーー。とにかく速い!! メチャクチャ速い!
A2は、グループ1(読解25点+作文25点=50点満点)、グループ2(聴解25点+面接25点=50満点)がそれぞれ別々に計算され、そのどちらか片方でも33点(66%)を割ったら、合計点が良くても合格にならないようです。
ちなみにDELEのリスニングは生じゃありませんでした(笑)。
読解+聴解が終わると休憩時間がありますが、正味10分くらいで、トイレは長蛇の列。個室が2つしかない1階の女子トイレでは到底順番が回ってきそうになかったので、4階まで遠征しました。上智大学12号館の女子トイレは4階が穴場です(個室が8つくらいある)。
作文で特筆すべき点は、筆記用具がボールペンに指定されていること! なんとエンピツ不可!
わたしはここで驚いたのですが、 周りはまったく驚いていないのが、また更なる驚きでした。むう、やはりおぬしたち、タダモノではあるまいて。
ところで、ボールペンということは、消せません。フリクションも持っていたけれど、答案にこれを使う勇気はなく、普通のボールペンで書きました。下書き用の紙を一枚渡されましたが、下書きはもう、グチャグチャ。
答案用紙でさえ、ワード数制限を越えてしまい、横線で消した一文も。こういうの、アリなのかな?と心配しましたが、それでも受かったので、たぶんアリだったのでしょう。
作文の制限時間は50分。これもちょっときつい。30~40語の短文ひとつ、70~80語の文を二つ書かなければならないのですが、最低限盛り込まなくてはならない内容の指示があり、すべてをこの短い語数内に入れてまとめるのはけっこう大変。どうしても語数オーバー気味になり、余分な部分を削るのに時間がかかる。
また、意外と時間を食うのが語数数えです。数えては削り、削ってはまた数え、書いては削り、削りすぎてはまた書き足し・・・なあんてやってると、すぐ5分10分経ってしまう。スペイン語のDELEのサイトには、「語数制限はストリクトに守らないと~」みたいなことが書いてあるので、1ワードの多すぎ少なすぎが命取りになるやも、と思い、何度も数えなおしました。
しかしこの訓練は、日本語を含め、文章力全体のスキルアップに役立ちそう。とかく冗長になりがちなわたしの文章・・・。 これからはなるべく引き締められるよう、ガンバローーー!(・・・って、早速冗長ですが(笑))
ちなみに今回のお題は、「行かれなくなったコンサートチケットをネットで売るときの紹介文」、「海外留学中に送るメール」、「人生における特別な日」、の三つでした。
面接
面接のあるインスティテュート・セルバンテス(セルバンテス文化センター)は、日テレ近くのビルで、上智大から歩いて10分くらい。一階奥にセルバンテス書店、7階にはスペインバルがあり、面接の前にここのテラスで昼食をとりました。
バルではちょうどスペインフェスタをやっており、スペイン風オムレツと海産物のサラダでスペイン~な気分を盛り上げ、いざ面接へ。
面接は4つの課題があり、裏返しのカードを引いてテーマを決めます。 1から3までの課題については、構想を練る時間が全部で約15分ありました。
- カードに書かれた5つのテーマからひとつを選んで語る(最低3分)
- カードに書かれた写真を見て、描かれている状況を語る
- 写真中の人物になりきって、試験官とロールプレイをする
- 友人同士の意見の食い違いを調整するロールプレイ(試験官と自分が友達同士と仮定)
いずれも面白かったです。1番目は、パーティー・祝日がテーマのカードが当たり、その中から「自国の最も重要な祝日」を選んで正月について話しました。 話す内容の目安はカードに書かれていたので、それに沿って話しました。 おせち、お雑煮といったお正月特有の料理の紹介、家族や親族との伝統的な過ごし方をベースに、 ホテルでのんびりする人もいるという最近の過ごし方、グアテマラの祭日についても触れました。
2番目と3番目は同じ写真を使用。たいてい買い物シーンのようで、試験官が売り手、受験者が買い手になります。 DELEの問題集にも、薬屋と靴屋の買い物シーンが例として掲載されていました。
ところがわたしがひき当てたのは、なんと「家を買う」シーン。「どんな家をお探しですか」と聞かれたので、「子供が生まれるので、家を買おうと思っている。寝室は3室、庭はあるに越したことはないが、こだわらない。駅から近いのは必須。車には乗らないのでガレージは要らない」と言いました。
すると不動産屋(試験官)いわく「それならこの家はおあつらえ向き。価格は100万ユーロ(一億円)」とのこと(笑)。「実はあまり貯金がないのです。なので銀行からお金を借りる必要がある」と言おうとして、「銀行からお金を貸す必要がある」と言ってしまった(汗)。でも無事話がまとまったからまあいいか。ドンマイ^^;。
4番目は、夜ディスコに行こうと誘う友達(試験官)と、昼間に外食と散歩をしたい自分との間で歩み寄るロールプレイでした。「翌日旅行に行くので、早く寝ないといけないから夜は無理」と主張。本当は自分から積極的に歩み寄るべきだったのでしょうが、グズグズしているうちに試験官のほうが歩みよってしまい、そこで合意して終了。でも「踊るのは好きだけど、今週は無理」という争点を明らかにしたので、まあまあだったかな。
最後の課題が一番面白かったかも。いままで考えたことなかったけれど、二者が歩み寄るときって、こういうプロセスを経るんだな、とわかって。お互い譲れないところはどこか、譲れるところはどこかを探りながら、妥協点を見つけていくんですね。スペイン語に限らず、普遍的なコミュニケーションの基本を体験することができました。
ちょっとしたポカはいっぱいやりましたが、言葉に詰まってピンチ!という場面はなく、ゲームみたいで面白かったです。 どんな成績がついてくるものやら見当もつきませんが、とりあえず今の自分なりに精一杯話せたので、満足です。
試験対策について
今回、対策らしいことをしたのは、試験前2日間でやった「DELE試験対策問題集 A1・A2」のみです。 ずいぶん早くからこの問題集を買ってあったのですが、なんだかおっくうでグズグズしているうちに、試験直前になってしまった^^;。
まあ、A1とA2の問題がそれぞれ2回分入っているだけだったので、たった二日でも一通り終えられました。時間配分のイメージなどが掴めたので、サラッとにせよ、やっておいてよかったと思います。
ちなみにDELE A2の問題集は他にもあるにはあるのですが、 他は全部洋書で、日本語の解説がついているのはこれ一冊だけのようです。
高かったので、もし過去問題サンプルがネットで公開されていることを先に知っていたら買わなかったかも?ですが、 問いが日本語訳で確認できたこと、日本語でコツなどが読めたのは、やはり安心でした。
その他、スペイン語に関してやってきたことは西検体験記に書きましたが、特にDELEに役立ったと思うのは、スペイン語の本やテキストをたくさん読んだことです。
また、面接でまがりなりにも喋れたのは、ひとえにオンライン会話レッスンSpanisimoのおかげです。毎日約1時間×2ヶ月。これをやっていなかったら、面接は合否以前に、まったくお話にもならなかったと思います。
特に前日のレッスンのとき「明日DELEなんだけど、聴解が不安だーー」と言ったら、先生が急遽、DELE聴解・会話対策をやってくれたので、ビックリ! スパニシモに、実はそんな裏メニューが?!(笑) ・・・って、それは冗談ですが、先生の臨機応変さと優しさが身にしみました。
これから受検されるみなさまの参考になれば幸いです。
※ 2016年にB1にも合格しました。