チュニジアの先生に、数字とアルファベットが入り混じった、暗号のような、謎の表記を教えてもらいました。
こういうの↓
3lech tes2el ?
さーて、これ、どう読むのでしょうか。なんと書いてあるのでしょうか。
アラビア語学習者のみなさん、挑戦してみてください。
ちなみに、フスハではなく、チュニジア方言で書いてあります。
答えは↓
عَلاش تسأل ؟
でーした!
「 تسأل は分かるけど、 عَلاش って何?」と思われた方、チュニジア語の記事に書いた表を参考にしてください。チュニジア語の عَلاش は、フスハでは لماذا (なぜ)の意味です。
つまりこの一文は、フスハに直せば、
لماذا تسأل ؟ (なんでそんなこと聞くの?)
って感じでしょうか。
でも、なぜ عَلاش تسأل ؟ が「3lech tes2el ?」と表記されるのでしょうか。
まず、フスハのaの音は、チュニジア方言では e っぽい発音になりがちで、そういうときは e で表記されるようです。つまり「tes2el」の部分は、フスハでは「tas2al」と発音される。
「tas2al」に直せばほら、ちょっと「 تسأل 」との関連性が見えてきた気がしませんか?
ただ唯一の問題は、「 أ (ハムザつきアリフ)」の位置に数字の「2」があるということですよね。
でもアリフの台をとって「 ء 」(ハムザ)だけにすると、ほら、なんとなく「2」に形が似てないですか? 左右の向きが逆ではあるけれど。
つまり数字の「2」は「 ء 」を表しているのです。
では次、なぜ「3lech」=「 عَلاش 」なのか。これも e を a に変えると「3lach」。
「 3 」=「 ع 」(これも左右が逆)
「 la 」 = 「 لا 」
「 ch 」=「 ش 」
「え、 ش はどうして『sh』じゃないの?」と思われた方、チュニジアが旧フランス領であることをお忘れなく。フランス語では「ch」と書いて「シュ」と読むのです。
これで解説おわり~^^。 ね? 面白いでしょう??
実は前から、アラビア語関連で検索をかけると、ときどきこういう謎の暗号みたいなのが書いてあるページがひっかかってくることがあって、これは一体なんなんだろう?とずっと思っていました。今回その謎が解けてすっきりしました。
わたしは上下に点だの「’」だのが山ほどついたラテン文字によるアラビア語の表記が読みづらくて嫌いなのですが、これは実にすっきりしていて気持ちがいい^^。
メールなど、アラビア文字が打てない環境(もしくは打つのが面倒)な時に使うそうです。出来る限り音の似た文字に置き換え、どうしても表記できない音に、似た形の数字を当てているらしい。
dh = ض
tt = ط
q = ق
2 = ء
3 = ع
5 = خ
7 = ح
8 = غ
また、面白いのは、区別しない文字があること。
s = ص، س
th = ث، ذ، ظ (英語同様、適宜、清音と濁音を区別して読む)
これらは文脈で、どちらか判断するそうです。たとえば
「sabe7」 = 「 صباح (朝)」
「sabba7」 = 「 سبّاح (水泳選手)」
正確を期そうと躍起になって点だの何だのつけないところが、シンプルでいいですね~^^。
こういう表記の存在を知った上で改めて調べたら、アラビア語wikiに記載が見つかりました。
- wiki: عربيزي (英語版:Arabic chat alphabet)
先生の書き方と少し違うようですね。自然発生的なものなので、地方によって、あるいは人によっても少しずつ書き方が違うのでしょう。
9 = ص
なんて、面白いと思う。確かに、立てると9に似てますね^^。
では最後に練習問題。なんて書いてあるか、当ててください。リンクをクリックするとアラジン辞書で答えが分かります。
どれも先生がわたしに出してくれた問題です。