アラビア語

アラビア語学校の日常3 アラビア語学習者の「客層」

 今週末からイードルアドハ(犠牲祭)の休暇で学校は三週間のお休みです。この休暇を利用して海外に出かける人も多く、「リフラ サイーダ」(よいご旅行を)をいう挨拶を交わして級友たちと別れました。休暇後のお土産話がいまから楽しみ♪ ここは旅行好きの人が多いので、話が合います。

変わった趣味を持っているからといって、変わったヤツとは限らない

 学校に入る前のわたしの一番の関心事は、「アラビア語を学ぶ人たちって一体どんな人たちなんだろう? 一体どんな理由でアラビア語を学ぶに到るのだろう?」でした。そして実は、自分のことは棚に上げて、きっとえらく変わったヤツが多いんだろうと、勝手に想像していました。

 でも、結果から言うとみんなごく普通の日本人でした。わたしのクラスは他のクラスから見るとかなり賑やかなほうだそうですが、わたしの目から見ると、みんな、おとなしい~~! おとなしいといっても、気難しかったり陰気だったりはせず、適度に陽気で適度に快活、それぞれ適度な個性をほのかにまといつつ、決して奇抜な部類には入らない、おっとりとした、実に感じのよい人々です。たとえば、先生が何か間違いをしても「先生、そこ間違ってます」と指摘したりはせず、隣の人と顔を見合わせて苦笑して終わり。そういう温厚な人々です(笑)。

アラビア語を学ぶ二つの理由

 では、この普通の人々がなぜアラビア語を学ぶに到ったのか。

 わたしのリサーチによれば、ごく大まかに、二通りのタイプに大別できます。すなわち

  1. アラビア語」の「アラビア」の部分に惹かれたか
  2. アラビア語」の「」の部分に惹かれたか

です。

アラブ好き

 前者は、アラブ音楽、ベリーダンス、砂漠の民ベドウィン、イスラム教など、切り口はさまざまですが、とにかくアラブ文化への関心が高じてアラビア語を習うに到ったタイプ。連れ合いがアラブ人であったり、アラブ諸国で生まれた人もいますし、モロッコ、エジプトなど、どこかアラブの一国が好きな人もいれば、アラブ圏全体に惹かれている人も。みなそれぞれ事情は様々、思いも様々ですが、とにかくアラブが好き、だからアラビア語を学びたい!という人は多い。

語学好き

 もう一方は、とにかく語学全般、大好き!という人です。別の言語(英語以外)を学んでこの道にハマり、かじった言語は片手じゃ足りない猛者もチラホラ。その習得の度合いは人それぞれ、学んだ言語も人それぞれですが、不思議とフランス語だけはたいてい踏んでいて、「最初にやったのはフランス語」、「いろいろかじったけど、一番真面目にやったのはフランス語」と言う人が多い。どうもフランス語は、語学好きにとっては特別な言語、言い換えればフランス語は語学オタクへの第一歩のようです。

 そして、よく聞くのが「アラビア語はフランス語に似ている」というセリフです。わたしもそう思う。単語が似ているとか文法が似ているというわけではなく、「面白さが似ている」と言えばよいのでしょうか。単語同士の結びつきが強いところが似ている。アラビア語はフランス語よりも更に品詞間の関係が整然としており、ひとつ動詞を覚えると名詞から形容詞から自由自在に作り出せるところが、たまらない魅力です。

アラビア語は滅多に必要に迫られない

 関心が主にアラブに向いているか、語学に向いているかの違いはありますが、いずれにせよアラビア語を学ぶ層というのは、英語のように必要に迫られてという人は稀で、好きだからアラビア語をやるというのが大多数。言い換えれば、アラビア語は滅多に必要に迫られないのでしょう。

オタクは共振により増幅する

 とどのつまり、ここに通う面々はアラブヲタもしくは語学ヲタ、つまりどのみちオタクであります。週に20時間もの時間(通学および予復習の時間まで入れたら、確実にその倍以上)を、アラビア語に当てている。これをオタクを呼ばずして、なんと呼ぶのでしょうか。ま、いわゆる秋葉原系では全くありませんがね。これだけ若者が集まっていて秋葉原系が一人もいないというのが逆に不思議です。

 また、たとえば語学オタクがアラブの文化に触れることにより、アラブオタクにもなってゆくという複合オタク現象がここでは見られます。同好の士が集うことにより起こるオタク共振現象およびオタク増幅構造も見逃せない側面です。旅行好きが多いのも、その現象の好例と言えましょう。

 かくして、私自身、自分の中のオタクが縦に横に、深く広く育ってゆくのを日々感じる今日この頃。

 幸せです♡

東京ジャーミー
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