アラビア語

アラビア語の語順

 アラビア語の語順は日本語の語順とほぼ正反対。アラビア語では単刀直入、大事なことから先に言いますが、日本語は「大事なことほど後回し」にします。子どもが小さいとき「あのね~、昨日ねえ~、○○ちゃんのね~お父さんがね~」と話し始めたのを、「うん、それで~?」とのんびり気楽に聞いてたら、最後に「死んだんだって」と来て、「そりゃ大変!」と居住まいを正したことがあります。

 これがもしアラビア語だったら、まず「死んだ」が最初にきます。で、次に「お父さんが」。そして「○○ちゃんの」「昨日」と続きます。

 この場合、最大の関心事は「(誰かが)死んだ」こと。アラビア語ではその最大関心事が最初に確認できます。次に「お父さん」という固有名詞以外の単語で、死んだのが直接の友人ではないことを確認し、「○○ちゃんの」で故人と自分を繋ぐ人の名が明らかになります。「昨日」という時間はこの場合さして重要ではないので、途中で話が途切れて聞き逃しても大丈夫。

 ところで日本語とアラビア語で逆なのは語順だけではありません。文字を書く方向も逆です。近年の日本語は西洋言語に倣って左から右に書きますが、アラビア語は右から左に書きます。

 で、この二つの「逆」を掛け合わせると・・・。同じ語順になります。つまり、左から読めば、アラビア語も日本語とほぼ同じ順序に単語が並ぶことになるのです。

.مات   أبو   تارو  أمس

昨日 太郎の お父さんが 死んだ

 以下のように長い文章でも、そのままの順番で日本語訳がつけられます。

.يعمل مطار ناريتا الدولي وإدارة مدينة ناريتا على توفير خدمات مجانية لمساعدة السياح الأجانب العالقين في انتظار عودتهم إلى أوروبا

欧州への帰国待機中の足止め外国人観光客支援無料サービス提供成田市政国際成田空港実施中

 まあ細かくみると「成田国際空港」が「国際成田空港」になっていたりと若干ヘンな部分もありますが、だいたいうまく繋がっているでしょう? この文が特別ではなく、語順を逆手にとればきれいに訳がつけられる場合のほうが多いです。日本語もアラビア語も、主語と目的語の順番が固定されていないのも、訳がうまくいく理由の一つです。

 但し、「だから」とか「しかし」などの接続詞は日本語でもアラビア語でも文の最初にきますし、数表現も数が前にきますので、そこだけは配慮が必要です。

 NHKのアラビア語ニュースを聞くようになってから、ますますアラビア語の面白さに気づきはじめました。

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