2016年2月、英語の通訳案内士資格を取得しました (一次試験は2015年8月、二次試験は12月)。
この体験記は、通訳案内士資格取得に向けた英語学習の記録です。 邦文試験は、スペイン語で同資格を取得していたため免除でした。
このページには一次試験に関してのみ書きます。 二次試験に関しては、以下のページをご覧ください。
今後受検をお考えのみなさんのご参考になれば幸いです。
英語に関する歩み
試験対策に入る時点で英語とどれくらい関わっていたかを参考までに記します。
わたしは52歳(受験時)で、子育てを終えた主婦です。 子ども時代にアメリカへひと夏、ホームステイに行った以外に海外で暮らした経験はなく、 年に一度、一週間程度の海外旅行には出かける以外、普段の生活で英語を話す機会はありません。
英語は特に得意でも苦手でもなく、学校の英語の成績は万年「4」。 「5」は一度もとった覚えがありません(10段階評価を除く(笑))。
子どもが中高生の頃、子どもに付き合い、2003年に英検二級、2007年に準一級を受験、取得しました。 英検一級やTOEICは受験したことがなく、よって今回、英語の一次試験は免除になりませんでした。
2010年11月に、英語多読を始めました。 多読用のグレーデッドリーダーズがたまたま図書館のリサイクル棚においてあるのを見つけて家に持ち帰ったのがきっかけです。 易しく読める児童書を中心に、2015年までに470万語くらい読みました。
2014年4月にはDMM英会話に入会。 これはオンラインの個人レッスンで、一日2レッスン(1レッスン25分)始めました。 DMM英会話を始めたのは、実は英語力向上のためではなく、 様々な国の講師がいることに目をつけ、トルコ語やアラビア語で話せると考えたからですが、 結果的には英語で話す機会も多く、英会話力向上にも役立ったのではと思っています。
意識的に一次試験対策を始めたのは試験日の2ヶ月前からで、それ以前は一日50分のオンラインレッスン(そのうち25分は英語以外)が ほぼ唯一、英語に触れるチャンス。他には特にこれといって英語学習はしていませんでした。
オンラインレッスンの内容は、フリーカンバセーションと教材を使ったレッスンが半々くらい。 教材は、初級編から上級編、トラベル会話など、様々なタイプ、様々なレベルのものを使いました。
対策1:日本紹介本
試験の申し込みしたのは6月初頭ですが、1ヶ月ほどグズグズしていて、やっと試験対策のはじめの一歩を踏み出したのは試験の2ヶ月前、6月の最後の日でした。 とりあえず前年度の問題をやりました。 出来は、採点の甘さにもよりますが、ちょうど合格ラインくらい。 全然できないってほどでもないけれど、楽観もできない感じでした。
7月に入っても、なかなか試験対策に本腰は入れられませんでしたが、何もしないのはよくないと思い、とりあえず本だけは読んでいました。 「日本のことを1分間英語で話してみる」と 「英語で日本紹介ハンドブック」です。 この手の英語で日本を紹介する本は他に何冊も出ていましたが、この二冊に絞り、何度も読みました。 毎日50分のスカイプレッスンでは、その日に読んだ内容を先生に話しました。
前者「日本のことを1分間英語で話してみる」は比較的平易で、 読んだのは1、2度ですが、CDが付属していたので、iPodに入れて寝しなに何度も聞きました。途中で眠ってしまうことも多かったですが・・・(笑)。
後者の「英語で日本紹介ハンドブック」は前者より少し高度で、ボリュームたっぷり。 こちらは一次試験までに繰り返し読みました。読み方は様々です。
- 1度目は内容を考え、関連事項を調べつつ黙読
- 2度目は類似表現や反意語などを文の余白にメモしながら精読
- 3度目は発音とアクセントの位置を辞書で確認しつつ、音読
- 4度目は内容を考えず、英語の音に集中して音読
- 5度目は気になる部分のみスポット的に速読
5度目は、気になる表現・単語をノートにも書き写しました。 気になる表現にはすでにアンダーラインが引いてあったのでラクでした。 本に出てこなかった単語も、別の単語で言い換えや、連想で思い出したもの、同義語・反意語など、調べたものを書き留めました。 たとえば「Constitution(憲法)」に関連して「起草」「審議」「採択」「制定」「発布」「改定」など。 これらはすでに余白に書き入れてあったので、新たに調べなおす必要はありませんでした。
6度目は、5度目につくったノートの文字が乱雑で見づらかったため、別の紙に見やすく纏めなおしました。 これは試験当日に持っていき、電車の中で読みました。
対策2:過去問
2015年からそれまでの記述式から形式が変わり、完全マークシートになるということでしたが、 重視される内容はきっと変わらないだろうと思ったので、 無料で手に入れられる限りの過去問(17年分(1998~2014年))をやりました。
過去問は、複数の予備校サイト( ハローアカデミー、 CEL、 PEP、 富士通訳アカデミー) からダウンロードし、プリントアウトして使いました。
記述式だったので、出来はよく分かりませんが、 英作・英訳はスカイプレッスンで先生方に見せてチェックしていただきました。 英作・英訳までやる必要があったかどうかはわかりませんが。 わたしが受けた2015年からすべてマークシート形式になり、英作はなくなったので。
対策3:弱点強化
過去問をやったことで、自分の苦手がよく分かったので、試験の2週間くらい前からは選択問題に照準を合わせ、苦手の正誤問題と並び替え問題を重点的にやりました。
新傾向の通訳案内士用問題集などはまだ出ていなかったので (※2016年5月に出たようですね「通訳案内士試験「英語一次・二次」直前対策」)、 大学受験用の問題集を2冊買ってきてやりました。 駿台の「英文法道場正誤・整序問題300選」と 河合塾の「英語整序問題精選600」です。
いずれも通訳案内士の整序問題に比べると比較的簡単でしたが、倒置など、チョコチョコ間違えました。 間違えた問題だけあとからやり直しましたが、何度やっても同じ間違いをしてしまう問題がありました。
答えは使い古しのコピーの裏紙に書き、丸つけをしました。300選のほうは5~6時間、精選600は12時間くらいかかりました。
本番でも、文法の正誤問題・整序問題はバッチリ出たので、やっておいてよかったと思います。問題形式に慣れ、処理速度が上がったと思います。
対策4:語彙対策
語彙力のなさも気になっていたため、 これも大学受験用の単語集「 英単語ピーナッツシリーズ」と、 英検用の語彙問題集をやりました。
英単語ピーナッツは、日頃から気に入って使っているものです。一つの単語ではなく、2つの単語が合わさっているところが(だからピーナッツ)、なんとなく覚えやすい気がします。難易度に応じて金・銀・銅(金が一番難しい)の三分冊に分かれているところも気に入っています。
英検単語問題集は、 準一級用と 一級用をやりました。1級用はともかく、昔何度もやったはずの準1級用が意外にできなくて、ショックでした。でも問題集形式なのでサクサクこなせ、過去問やとかぶっている単語もけっこうあったので、やってよかったです。一冊8時間くらいかかりました。
当日
当日の試験会場は北先住の東京電機大学でした。
行きの電車の中では「英語で日本紹介ハンドブック」から抜き出した単語で作った自作単語帳を1時間かけてじっくり眺めました。何度も目にしている単語ばかりなので、全く知らないような単語はありませんでしたが、記憶が新たになったので、見ておいてよかったです。本番試験に「hearth(炉端)」という単語が出てきて、「これさっき単語帳で見たばかりだ!」と嬉しくなりました。
とはいえ、それで試験がうまくいったかどうかは別問題。結局合格できたからよかったようなものの、危なかったです。
実は、あがってしまったのです。わたしは割と試験本番には強いと思っていたのですが、どういうわけか、あがってしまった。
まともに思考できなくなるんですね。 焦りに支配されてしまう。しかも自分が上がっているという事実に気づいていませんでした。だから焦りを鎮めようともせず、「分からない!」「どうしよう!」という不安でいっぱいになりました。
このまま試験会場にいると、合っているところまで直してしまうんじゃないかという気がしたので、終了時間前に解答用紙を提出し、退出してしまいました。これはせめてもの賢明な判断だったと思っています。
自己採点
一番難しかったのは、英語力を問う問題ではなく、日本に関する知識を問う問題でした。 前年度からそういう問題が入ってきていたのである程度予想はしていましたが、この年は思った以上にガッツリ来て、わたしにはこれが難しかったです。
英語だけできても、日本に関する知識がないと解けない問題がなんと、30点分(6問×5点)! ボーダーラインは70点ですから、これができないとかなり厳しい。
いずれも、日本について正しい説明が書かれている英文を選ぶ問題です。
たとえば橋の写真があって、その橋の説明を問う問題。 最初に写真を見たとき、レインボーブリッジかなと思ったのですが、やれ瀬戸大橋だ、青森ベイブリッジだともっともらしく書かれている英文を読んでいるうちに分からなくなってきて、別のを選んでしまいました。
もっとアホなのは、庵(いおり)です。 最初は正しいイメージが頭にあったのですが、どの選択肢にも火をおこす場所がどうたらと書いてある。 それを読んでいるうちに、だんだん「庵(いおり)」と「囲炉裏(いろり)」の区別がつかなくなってきて間違えました。
あとから考えると、明らかに誤誘導にひっかかったんですが、知識が不確かだから、簡単に洗脳されてしまったのでしょう。
純粋に英語力を問う問題だって完璧にできたわけではありませんが、間違えた問題は一問を除き、予備校によって答えが割れた問題。 プロが解いても意見が割れるような難問はできなくてもしょうがないと諦めました。
結果、自己採点は74点。 70点がボーダーですから、危なかったです。最後の日本に関する5点問題をあともう1問落としていたら、落ちていたところでした。
邦文試験が免除だからと、地理や歴史に関する知識をなおざりにしていたのがまずかったと思います。ちゃんとおさらいしておくべきでした。
ちなみに今回、解答速報は5つもの予備校が競うように出していました。
2013年にスペイン語で受けたとき解答速報を出していたのはせいぜい2校か3校だったと記憶しています。 オリンピックが近いことから、通訳案内士が脚光を浴びているせいでしょうか。
それとも、英語が完全マークシートになり、自己採点できるようになったからかな?
一次の合格が分かったのは、一次試験から2ヶ月と3週間後、二次試験の約4週間前。11月19日のことでした。 ウェブ上で知りました。