フランス語

本当のレベル

 先日、とっても素敵なフランス語のテキストに出会いました。

 確かに。わたしのフランス語、ちょっと目が覚めたっぽい^^。

 寝た子を起こした、とも言える(笑)。「あー、やっぱりフランス語大好き!」って思ってしまった。もう、どうしてくれるの、今フランス語やってる余裕ないのに。

 フランス語の最初の最初で習った単語や構文を徹底的に使いまわす内容です。

 つまり、新しいこと覚えなくていい。もう知ってることをうまく使って、いろんなことを簡単に表現しちゃうという美味しい本でした。

 たとえばVoiciとVoilà。

 近いものはVoici、遠いものはVoilàという違いだけと思ったら大間違い。Voiciは話の始めに使える。Voilàは話の終わりに使えるんですねえ。これを抽象名詞と組み合わせて使うと、思わぬことが簡単に言えちゃう。

 たとえば

Voici l’explication.(今から説明します)

から始め、

Voilà(以上です)

で終わる、なんていう芸当が可能。

 「今から説明します」という日本語を逐語的にフランス語にしようなんて思ったら、「ええと、近接未来をつかって~、expliquerは他動詞だから目的語をつけて~」なんてエライことになるけど、そんな面倒なこと考えずともこんなに簡単に言えちゃうとは、目からウロコでした。

 あとシビレたのが、Mais(しかし)を使った短い例文の数々。

 Maisがうまく使えたらカッコイイですよねえ。Maisを前につけるだけで、なぜかこなれ感が出る。フランス人がMais oui(そうですけど)と言うのを聞いて、自分も反射的にそう答えられないかと思って練習したものです。うまく言えたりなんかすると、サ・セ・パリ~♪って感じ!(謎)

 他には、grand、petit、bon、bien・・・。あと ça 。この辺がうまく使えると、表現に表情が生まれ、「らしい」フランス語になる。

 しかもこの本、動詞活用がほとんど出てこない。フランス語と聞くと、あの面倒な動詞活用を真っ先に思い浮かべる人も多いだろうに、この本では、その面倒くさい部分ヌキにしていろんなこと言っちゃうんだから、ある意味、ズルいよね。うん、ズルすぎる。

 とにかく嬉しくて楽しくて、アラビア語そっちのけで一冊読んでしまいました。

 しかしこのワクワク、なんかデジャヴ感が・・・。5年前と同じものを感じて著者をチェックしたらやっぱり。「耳から始めるフランス語」を書かれた井上美穂先生でした。

 ところで、この本を読んで改めて思いました。

 わたし普段、難しいことやりすぎてるんだなあ、と。

 フランス語はこのくらいのレベルが今のわたしにとってちょうどいいレベル。こういうのをたくさんやりたいと思った。

 実は中国語のChinese Skillアプリが一昨日終わったのですが、最後のほうがもう難しくて難しくて・・・。言うても漢字なので正解はできるのですが、文がやたら長いわ、難しいわで、何も頭に入ってこない。最後のほうはもう、機械的にクリアするだけでした。

 ・・・で、昨日はまた最初からやり直したら、最初のほうは当たり前だけどずっと簡単なんですね。心が洗われました(笑)。

 まあ簡単って言っても、わたしには難しいのですが、まだ手に負える気がする。あともう少しで分かりそう、という感じがするから、脳が無視しないで真面目に向き合う。結果、何かしら頭に残る。自分のレベルに合ったことをするのって大事だなあ、と思いました。

 アラビア語の本田先生がよくこうおっしゃいます。

みんな難しいテキスト読みすぎ! 一生懸命辞書引いてノートに書き込んで、それでやった気になってるかもしれないけど、そんなの何にもならない。もっと簡単なことをやらなくてはダメです。

と。

 全くその通りだな、とフランス語と中国語で学びましたとさ。

 難しすぎることって、頭が麻痺して諦めるから、何にも入ってこない。

 大事なのは、背伸びせず、自分にちょうどいいレベルのことを、気楽な気持ちで使いまわして自分のものにしていくことだな、と。

 そしておそらく、その「ちょうどいいレベル」というのは、自分が考えているよりずっと低い。簡単すぎると思えるあたりが本当の自分のレベルでは、と思いました。

 「上級クラス」にいれば自分も上級、「中級」という名のついた教材をやっていれば、自分も中級と思いがちですが、それは大間違い。予習をしてやっとついていかれるような授業、辞書を引いてやっと読めるような教材は背伸びしすぎ。

 初見で苦もなくついていかれるレベルが、今の自分のレベルなのだと思いました。

 子どもの頃、ピアノの初見が苦手でした。初めてスコアを見ただけでおおよそ弾けちゃう人って、どうしてそんなことができるんだろうと思っていた。

 でも大人になってちょっとピアノをやり直したとき分かりました。わたしは自分に難しすぎる曲ばかり弾こうとしているんだ、って。だから初見が辛い。初見でも曲がりなりに弾ける曲が自分に合ったレベルで、それができないということは、背伸びしている証拠なんだ、って。

 子どもの頃は友達がバイエルを終えてブルグミューラーに入れば自分もブルグミューラー、友達がソナチネをやれば自分もソナチネと、難しい教本をやりたがったものです。そうこうするうち、うわべの進度と実際の実力の乖離が大きくなった。そしてどんどん初見が辛くなり、自分の首を絞めることになりました。

 今はもう一人旅。友達は関係ない。だから急がず慌てず、ゆっくりいこうと思います。

パリ凱旋門にて。無名戦士の墓
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