2006年11月、鶴見大学でドイツ語技能検定4級を受検し、合格しました。 得点は100点満点換算で96点でした。
このページでは、わたしがどんな教材を使い、どのくらい学習したかを書こうと思います。 昔、第二外国語でちょっとやったけど、またやってみようかな? と頭の隅っこで考えていらっしゃる方の参考になれば幸いです。
ドイツ語との出会い
大学時代、第二外国語として履修したのがそもそもドイツ語との出会いでした。 それはかれこれ四半世紀も前のこと。 入学したてはやけに張り切って5万円もするリンガフォンの教材を親にねだって買ってもらったものです。けれどすぐに挫折してしまい、親には「5万もしたのに!」とずっと文句を言われ続けるハメになりました。 成績は単位習得スレスレの60点。この点数ですら、お情けでもらったとしか思えません。けれど単位さえもらってしまえばこっちのもの、そのままリンガフォンは押入れの奥深くしまわれ放しとなりました。
次にドイツ語と触れたのは今から8年ほど前のこと。とある公募に入選し、親善使節としてロマンチック街道沿いの小さな町を訪れる 約1週間のツアーに参加することになりました。宿泊先は民家だというので、少しはドイツ語ができたほうが良いのでは?と思い立ち、押入れからリンガフォンを引っ張り出して 出発までの2週間、テープを聞いて出かけました。おかげさまで現地では少しドイツ語を喋ることができました。南ドイツの田舎町で英語があまり通じなかったので、ほんのちょびっとにせよ、ドイツ語をやったことがあってよかったと思いました。
検定試験を受けようと思ったきっかけ
・・・で、今回がドイツ語に触れた3回目です。 本屋でフランス語の教材を探していたところ、隣の棚にドイツ語の良いテキストを見つけたのがきっかけで、 久しぶりにドイツ語をやってみようかと思い立ち、 当初は3ヶ月みっちり勉強して独検3級に挑戦するつもりで始めました。
ところが。 ちょうど夏に引越しをし、新居での暮らしをウキウキワクワク毎日楽しんで暮らすうち、 アッという間に10月半ば。 気づけば、せっかく買ったテキストを全くやっていない! 最初の一週間、ほんの数ページ読んだだけで、あとは全く開いてすらいませんでした。
これはもう受けるのをやめようかと思いましたが、「乗りかかった船」ともいうし、あとひと月勉強してせめて4級でも、と思い、 とりあえず申し込みだけ済ませました。
ドイツ語には格変化があると気づいた瞬間
ところがねー・・・。 申し込んだ後も、遊んでばかりで一向にはかどらなかったんだわ、これが・・・^^;。 秋は楽しい行事が目白押し、「このイベントが終わったらやろう」「あの用事が済んだらやろう」と、 後へ後へ回してばかり。 結局、久々にテキストを開いたのは、すでに検定直前3週間を切った頃でした。
これはさすがにマズイ。 とにかく4級が扱う文法範囲だけでも理解しなおさなければ、と思い、 夏に買ったテキストをやおら読み始めました。
そこで初めて気づいた衝撃の事実――それは、ドイツ語には格変化がある ということでした! (オイオイ、いまごろ気づくなよ!)
四半世紀前、なぜ自分がドイツ語で挫折したかを思い出した瞬間でした。 それまで頭のどこかに 「フランス語の動詞の不規則変化に比べたら、ドイツ語なんてちょろい」という 意識があったのでしょう、だから今まで平気で先延ばしにしてきたのだと思います。
でも「ドイツ語にはフランス語にはない、格変化というものがある!」と気づいてしまった今、 突然、独検4級の壁は高くそびえて見えてきました。
やっとエンジンがかかる
これはぐずぐずしていたら時間切れになる!――わたしはそう合点し、すぐさま検定問題集を購入、 検定試験にきっちり焦点をあわせた学習をすることに決め、 まずは単語をノートに書き写すことから始めました。 それに 動詞活用(直説法現在のみ)と 格変化、 あと 前置詞の使い方。 この4点をポイントに、ひたすら書いて覚えることにしました。
- 単語
- 動詞活用(直説法現在のみ)
- 格変化
- 前置詞
ノートは、薄くて軽くて小さなA5判のノート。外出する日も多かったので、持ち歩ける大きさのほうがいいと思ったのと、「検定試験までにこのノートを一冊文字で埋め尽くしたら受かる」という願掛けをしたのです。
尤も、1冊目のノートは、いろんなテキストから書き抜いた単語やら活用表やらを気ままに書き出したため、 途中でグチャグチャになり、自分でも何がどこに書いてあるのか分からない状態に・・・(涙)。
結局、ほぼ一冊書きなぐったところで2冊目のノートを新調。1冊目と同じ内容を、順序立てて書き直しました。1冊目の反省を活かし、検定問題集の巻末についていた単語集をベースに 項目ごとにきちんと整理して書いていったので、割ときれいに書きあがり、 動詞活用や名詞の性が思い出せないとき、どこに何が書いてあるか探しやすくて便利でした。
特に、動詞活用に関しては、ノートの功績が大きかったと思います。一動詞につき一行使い、 見開きの左ページに不定詞と意味、前置詞の用法、右ページにich、du、er、ihrの各活用を、不規則動詞も規則動詞も書きました。これは、各変化形の特徴が縦に並んで良く分かり、 不規則動詞も不規則なりに規則的だと気づけてよかったと思います。 まだ少し余白があるので、3級受験の際には、過去分詞くらいなら書き入れることができるし、 変化形の前にeを入れるか入れないかで迷ったときなど、後から何度も参照しました。
名詞に関しては、男性・女性・中性の種別を色分けで示し、視覚的に覚えるようにしました。 形容詞は「大きい・小さい」「低い・高い」など、対になる単語を一緒に書き、 前置詞は格支配ごとに分けて覚えました。
問題の格変化に関しては、意外や意外、学生時代の暗記に助けられました。 なんと、「der des dem den、die der der die、・・・・・・」という 呪文のような定冠詞変化をいまだに覚えていたのです!! あれだけ勉強しなかったのに、四半世紀も前のことなのに、 第二外国語の成果は、全くのゼロではなかったんですねえ・・・。
また、8年前にリンガフォンのテープを聴いたことも、無駄ではありませんでした。 ときどき名詞が直感的に冠詞つきで思い浮かぶ。 そういうのは決まって、かつてリンガフォンのテープで耳から入れた単語でした。 繰り返し繰り返し、耳から入れたものは本当に強いです。 いまさらながら、大枚はたいてリンガフォンを買ってくれた親に感謝です。
使用したテキスト
以下は、今回使ったテキストです。
ドイツ語ステップアップ
夏に買ったメインテキストです。 大判で見やすく、ページ構成がきれいなところが気に入りました。 全部終わらせれば独検2級相当の実力がつくのだそう。 全部で22課あり、1課が更に3つの単元+まとめの問題に分かれています。 一つ単元はそれぞれ見開き1頁にまとまっていて、 スキット→新出単語→文法理解→練習問題、という体裁がきちんと貫かれているので、ペースを作りやすい。 今回は、4級の文法範囲にほぼ相当する9課までやりました。 今後も使っていこうと思っています。
難点は、付属のCDが耳に残りにくいこと(抑揚に欠ける)、説明が少々あっさりしすぎなところでしょうか。 説明が最小限だからこそ紙面がすっきりしているのだし、 細かいことを気にせずどんどん次に進んでいくのがこの本のよいところではありますが、 あともう一言欲しい部分もあります。
独検合格らくらく30日 4級
巻末の「4級必須単語集500」が決め手で選んだ独検対策問題集。検定対策問題集でありながら、「ひょっとしてドイツ語って面白いのでは?!」と思わせてくれました。 ちょっとした説明が秀逸なんです。 たとえば、否定の打ち消しである「doch」を、「どっこい」と訳していたのには膝を打ちました。 「彼は行かないんですよねえ?」「どっこい、行きます」という感じ^^。 「さようなら」は通常「auf wiedersehen」ですが、電話のときは「auf wiederhoren」。 この「またお耳にかかりましょう」という訳も、一生忘れないと思う^^。
1日分が見開きになっているのでペースを作りやすく、全体の分量も多すぎないところがマル。 わたしは1日2時間×4日で終えました。 最後の模擬試験も含め、難易度も適切。決して難しすぎはしません。 個人的にとってもオススメ^^。 3級受験もこのシリーズ (独検合格らくらく30日 3級) にお世話になろうと決めています。
旅の指さし会話帳 ドイツ
大好きなシリーズ。 検定試験対策に使ったのは初めてですが、一つ一つの単語や文に絵がついているので、 ふうん、と思いながら眺めているだけでけっこう覚えました。 特に形容詞はイラストが傑作だったので、見て笑っているうちにおおよそ覚えてしまった^^。
難点をあげるとするならば、名詞に冠詞がついていないことでしょうか。 検定試験用ではないのだから絶対必要とは言いませんが、 フランス語編は不定冠詞付で旅先でも便利だったので、 ドイツ語編にも定冠詞がついていたらモアベターかな、と。
例文活用 ドイツ重要単語4000
わたしの場合、外国語学習に絶対欠かせないのが単語集。 載っている単語が少ないだけに、辞書より引きやすく、手っ取り早く単語の意味が分かるのは便利です。 それに引いた単語にアンダーラインを引いて行くと、すぐ紙面がにぎやかになって充実感に浸れる^^。 今回は4級だし、まだいらないかな、と思ったのですが、 やはりどうしても欲しくなって、1週間前に購入。 どこかで見たことのある単語に線を引いていっただけで、線の引いていないページがすぐになくなり、 嬉しくなりました。
名詞の性を覚えたかったので、男性名詞は水色、女性名詞はピンク、中性名詞はグリーン、複数名詞はオレンジ、 名詞以外はラベンダー色で引いたらとってもかわいくなりました。 この単語集を買って、やっと本格的にエンジンがかかったかんじ^^;。 やはり好みのアイテムで脇を固めるって大事ですね。
はじめてのドイツ語
図書館で借りていたのですが、検定前は時間がなくて読めず、 検定が終わった翌日読み始めたら、当日間違えた前置詞問題と似た例文が載っていて、 非常に悔しい思いをしました。
尤もそれはたまたまで、「これだけ読んで覚えればカンペキ!」的な実践教材ではありません。 でもこれを読んだことで文法知識が整理され、ドイツ語が好きになりました。 言語学的なアプローチで、ドイツ語の特徴・面白さ・勘所を簡潔に解説した本です。
そのまま使えるドイツ語会話
フランス語で使って気に入ったので、ドイツ語でも使った100均外国語教材。 テキスト105円+CD105円=合計210円也♪ ちょっとやるのにちょうどいい分量で、テキストは2色刷りで見やすいし、CDはすごく耳に残りやすい。 こんなに安いのに、ホント、よく出来た教材です。
姉妹編に「通じる! かんたんドイツ語会話」がありますが、どちらも 本屋さんでは手に入らず、ダイソーにしか売っていないのが残念。
試験当日の様子
検定の試験会場は、鶴見大学でした。 受検者層は大学生と思しき若者が多く、 仏検ほど多彩な年齢層ではありませんでした。 わたしなどはちょっぴり浮いていたかも?? ――まあ、他には全く社会人が皆無というほどでもありませんでしたが。
当日間違えたのは49問中2問。一問は発音問題で、もう一問は前置詞問題でした。
心配していたリスニングは満点が取れました。たぶん4級ではひっかけ問題は出ないので、 キーワードさえ聞き取れれば解答できるのではないかと思います。
まとめ
一時はどうなることかと危ぶまれたにもかかわらず、意外と高得点で合格できた理由は、あれこれ手を出さず、範囲を絞って基本的なことだけに集中したことではないかと思っています。2冊目のノートに書いたことさえ覚えれば合格できるはず!と信じ ノートに書いていないことは出来なくてもしょうがない、と割り切りました。
独検4級の合格率は例年70%前後、ボーダーラインは6割程度のようです。4級の文法範囲は限られているし、6割って、少々苦手分野があったとしても、他で稼げればとれる点数です。 昔ドイツ語をかじったことのある方、独検を受けてみてはいかがですか?