アラビア語

イスラーム・キャンプに参加してみた

 日本ムスリム協会が主催する「イスラーム・キャンプ」に参加してきました。観音崎青少年の村で行われた1泊2日の合宿です。3000円の参加費さえ払えば、イスラム教徒でなくても参加でき、イスラムファッションショー・ピタパン作り・1日5回の礼拝体験・賞品つきイスラームクイズなど、2日間とは思えない盛りだくさんのイベントを楽しみました。

 いやホント、本当~に盛りだくさんでした。

ホンモスビッタッヒーナ
(ヒヨコマメとゴマのペースト)

スケジュール

 まずは、このタイトなスケジュールを見てくだされ。

1日目:

 17:00 開会式(施設の利用説明・自己紹介など)
 18:45 日没の礼拝
 19:15 夕食
 20:30 イスラームファッション・ファッションショー
 21:45 夜半の礼拝
 22:00 消灯

2日目:

  3:30 起床
  4:00 夜明けの礼拝
      ムスリムの集い
  5:10 ピタパン作り・アラビア語学習
  7:30 朝食
  9:00 イスラーム・クイズ
 10:30 自由時間(帰る準備・部屋の掃除・バーベキュー準備など)
 12:00 昼食(バーベキュー)
 13:00 閉会式
      正午の礼拝・午後の礼拝
 14:00 解散

 まずこの予定表を見て驚いたのが、「3:30 起床」というところ。・・・。わたし的に、3時半て、まだ朝じゃないんですけど~~!

 しかも起床から朝食の時間まで4時間ある!! イスラム教徒の方々は空腹に強いのでしょうか? イスラム教では1年に一度1ヶ月間、断食をするそうですし。わたしはイスラム教徒ではないし、もちろん断食などしたことがないので、起床から4時間も何も食べなかったら、空腹で倒れてしまうかも・・・。

お祈り体験

 70名くらいの参加者のうち、ごくアバウトに言って、イスラム教徒(ムスリム)が3分の2くらい、一般参加が3分の1くらいでした。男性と女性は、これもごく大雑把に言って、ほぼ同数。ただ、男性のほとんどは信者なのに対し、女性は一般参加が多かったです。アラブ関係・イスラム関係の講義を大学で履修している女子大生が多く、様々な大学の学生さんがいました。

 開会式が終わったあと、早速、日没の礼拝がありました。礼拝への参加は義務ではなく、見ているだけでも構わないのですが、わたしはベールをアタマに巻いて一緒にやってみました。イスラム教の礼拝には何度か学校でも参加したことがありますが、荘厳なモスクでアラブ人に混じるのと、畳の上で日本人に混じるのとでは、趣が違う^^;。何か不思議な感じがしました。それにしても、アタマを上げ下げするたびにベールが脱げる~。

 礼拝のメインは「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」というところです。「アッラーフ・アクバル」という声を聞いたら、前かがみに座って両手とおでこを床につける。それを何度か繰り返します。よく、モスクなどの写真で、何百人という人々がお尻を持ち上げ、ひれ伏すような格好をしているのがありますが、それは、このシーンだと思います。

 そういうシーンを見るにつけ、イスラム教の礼拝というのはラジオ体操のような「マスの美」を追求しているものかと思っていましたが、意外とそうではないみたい。実はこのメイン部分は時間的にはほんのつかの間で、この部分を除くと、意外とみなさん、思い思いのスタイルで、祈りをささげているようでした。親に無理やり座らされて礼拝させられることもなく、小さな子どもたちは最初から最後までその辺で走り回っていましたし、立ったり座ったりのタイミングも人それぞれ。意外と形式主義ではないんですねえ。

イスラムファッションショー

夕食はアラブ料理。メインはマトンの煮込み。

 礼拝のあとは夕食、そのあとファッションショーがありました。出演モデルさんたちは、女子大生を中心とした自薦・他薦の即席モデルさんたちですが、モデルウォークの講習を受けたりして、なかなか本格的でしたよ。色とりどりのイスラームファッションに身をつつみ、観客の前を颯爽と歩いていました。わたしの友人も何人か、モデルとして参加しました。みなさん、お美しかったです。

 そのあと、モデルコンテストも行われ、堂々1位に輝いたのは、大学生のお嬢さん。すごい美人で、後で尋ねたら、普段からグラビアモデルのお仕事をしているんですと。道理で。歩き方といい、服の見せ方といい、完璧プロでした。彼女にボーッとなってる若い男性、続出! いや、女が見ても、ボーッとしてしまいそうです。

 それにしても、イスラムファッションというのはすごい! 女性の美を最大限に引き出す。顔と手の先以外、布で覆った「隠すファッション」なのですが、却って美しさが引き立つ。ダブダブな服を着ていても、美しい体のラインはなんとなく分かり、反面、いまいちな体のラインはなぜか目立たない。だから、特別すごい脚線美を持つというような人以外、たいていの人はイスラムファッションのほうが綺麗に見えるんじゃないかな。上記モデルのお嬢さんにしても、普通の服を着ていてもそりゃあお綺麗でしたが、ベールをかぶったときの美しさといったら! だからかどうかは知らないけれど、最近イスラム諸国では、イスラム伝統的ファッションへの回帰現象が起こっているようです。 

 夜半の礼拝をして予定より遅く10時半に眠り、予定通り予定通りの3時半に起床して、また4時から夜明け前の礼拝。驚いたのは、小さなお子様までが、同じ時間に起きたことです。さすがにまだ眠たいらしく、みんなやけにおとな~しく座っていましたが(笑)。

ピタパン作り

 さて、今回わたしが一番楽しかったのが、ピタパン作り。アラブ風サンドイッチには欠かせないアラブのパンです。学校でもよく食べますが、作るのは初めて。さて、上手にできるかな? パン作りの講師は、いろんな大学で教鞭をとっておられる有見次郎先生です。でも大学で教えていらっしゃるのはお料理ではないようです^^。

グラハム粉・中力粉・強力粉などを混ぜたイースト生地をよく捏ね、空気を抜く。
難しそうなので、ここではわたしはギャラリーに徹しました^^。

生地が出来上がったらボウルに入れてラップをし、1時間半ほど寝かします。
待っている間は、アラビア語のお勉強(笑)。

生地が膨らんだら、直径4センチくらいの球の大きさにちぎり、直径20センチくらいの円になるように面棒で伸ばします。

伸ばした生地をフライパンで焼き、両面に焼き色をつけ、そのあと網で焼きます。
写真のようにひっくり返せるとカッコイイけど、ヘタな人は真似しないほうが利口(笑)。

中が空洞になって、プク~ッと膨らんだら成功! 火からおろします。

出来上がったピタパンの数々。おいしそう~!


 さあ、我らもやってみるだ!

ちょっと形はヘンですが、膨れてきました。

膨れてきた部分を押さえ、均一に膨れるようにします。

おお~! 膨らんだ、膨らんだ!!

ほうら、こんな素敵にできました!

 食事にありついたのは8時すぎで、起床から4時間半もたっていましたが、パン作りをしながら、「味見」と称して、つまみ食いしていたからか、それほどお腹は空いていませんでした。

 朝食はとても豪華。自分で作ったパンのほかに、卵スープや炊き込みご飯、フルーツ入りヨーグルト、ホンモスビッタッヒーナ(ヒヨコマメのゴマペースト)など盛りだくさんで、お腹いっぱいになりました。(家に帰って体重をはかったら、行く前より1キロ増えていた・・・)

イスラームグッズのお土産

 それまでは眠気を感じなかったのに、お腹がいっぱいになったらどうしようもなく眠くなり、頭が朦朧としてきました。そこで、イスラームクイズに参加したあと、お昼のバーベキューは食べずに一足先に友人たちと帰ることにしました。

 あとから考えたら、バーベキューのほかに礼拝があと2回あったんですけどね。眠くて眠くて、そのときはすっぱり頭から消えていました。礼拝を1日5回やるぞ!と張り切って参加したんですけど^^;。あともう2時間頑張って、最後までいればよかったかなあ。でももう眠くて眠くて頭が働かず、誰かと一緒じゃないと家にたどり着けない気がしたんですよね、そのときは。

イスラームクイズ賞品の数々。
簡単な問題もあり、全員が何かしらゲットしました。

 さて、今回はイベントも盛りだくさんでしたが、おみやげもたくさん♪

お祈り用マット。左をメッカの方向に向けてひざまづき、祈るようです。
うちの玄関にぴったりな大きさで、嬉しい^^;。トルコ製。

イスラムクイズの賞品。表:「インシャーアッラー(もし神が望むなら)」、裏:「ダワーウ・サフル(旅の祈願)」等・・・。旅のお守りでしょうか。日本のお守りよりも大きめです。マレーシアの値札がついていました。

こちらもイスラムクイズの賞品。木製のレリーフです。ドア飾りとかによさそう。これもマレーシアの値札つき。上の部分は「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」下は「ビスミッラーヒ・ラフマーニ・ラヒーム(慈悲深く慈愛あまねき神の御名において)」。いずれもアラビア語。

 ファッションショーで使ったイスラムファッションは寄付で集まったもので、ショーのあとは「ご自由にお持ち帰りください」と書かれたダンボールに入っていました。

 他のドレスはあっという間に捌けましたが、このドレスは貰い手がなく、最後まで箱の中に残っていました。マレー風でしょうか。派手すぎて着られないと思いましたが、友達が「絶対似合うからもらっとき」というので頂いてきました。

2022年追記:友達の言うとおりでした。これは本当にわたしに良く似合いました。普通丈のワンピースにロング丈のスカートが別についているところが便利。アラブ関係、イスラム関係の催しに大活躍。頂いてきて正解でした。

 1日5回礼拝をする生活というのが一体どんなものなのか、それが経験してみたくて参加したのですが、あえなく途中で脱落。慣れないことで、ものすごーく疲れましたが、とても楽しかったです。娘の年齢と同じくらいの学生さんや、いろんな国からいらした外国の方など、いつもだとなかなか接点のない人々とお話できましたし。

 宗教には「勧誘」がつきものですが、イスラム教に関しては、今まで勧誘している・されているところを見たことがありません。今回のキャンプも、参加申し込み時に必要だったのは、氏名と年齢だけ。連絡先などは一切求められませんでした。そういう点で、「安心」な「宗教体験」と言えるでありましょう^^。

 もしまたチャンスがあれば、今度こそ一日5回の礼拝してみたいと思います。

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