日本と交流の深い国々にはそれぞれ漢字一文字の略称があって、簡便に言い表すことができますね。たとえば「英」とか「仏」とか。「渡米」や「日中関係」というように「アメリカへ行くこと」「日本と中国の関係」をこんなに短く書けるのは、とても便利です。
それに加え、漢字というのは、ひらがなやアルファベットとはまた違った雰囲気を持っていて、想像力を掻き立てられます。たとえば「パリ」より「巴里」のほうがレトロでオシャレな感じがしませんか? わたしが以前シンガポールへ行きたいと思ったきっかけも、同国が「星国」と呼ばれていたからです。「星の国」なんて、なんだか素敵じゃないですか。
こうした国の略称は、漢字で表記した場合の最初の文字をあてることが多いようです。ただし、かぶってしまうこともあり、その場合は、二番目以降の文字を使ったり、別の文字をあてたりします。
たとえばインドネシア(印度尼西亜)は、「印」にすると「印度(インド)」とかぶってしまうので、「ネシア」の「ネ」をとって「尼」。
シンガポールは「新嘉坡」の「新」だと「新西蘭(ニュージーランド)」の略称とかぶってしまうので、別称の「星加坡」の最初の一文字をとって「星」にしたのだそうです(ウィキペディア参照)。
略称は、よく使われるからこそ必要性が生まれるわけで、あまり話題にのぼらない国には略称もありません。世界中のすべての国の略称があるわけではなく、日本と関係の薄い国、歴史的に係わりが薄かった国には略称はないのです。
ウィキペディアの国名の漢字表記一覧表を見ると分かりますが、アジアやヨーロッパの国々の半数には略称があるのに対し、アフリカ諸国にはほとんどありません。それも、実際に使われているところを見るのは「エジプト(埃)」ぐらい。それもたまーに、です。「訪突」「在留日本大使館」という熟語が、それぞれ「チュニジアを訪問すること」「アルジェリアにある日本の大使館」のことだと分かる人はほとんどいないでしょう。
ではここで問題: あなたはいくつ分かりますか? ※ かぎカッコの中をマウスでドラッグするとこたえが分かります。
初級編
日 (日本 )
英 (イギリス )
仏 (フランス )
独 (ドイツ )
西 (スペイン )
伊 (イタリア )
葡 (ポルトガル)
露 (ロシア )
中 (中国 )
台 (台湾 )
韓 (韓国 )
朝 (北朝鮮 )
印 (インド )
米 (アメリカ合衆国)
豪 (オーストラリア)
蘭 (オランダ )
中級編
比 (フィリピン)
越 (ベトナム )
泰 (タイ )
馬 (マレーシア)
墨 (メキシコ )
伯 (ブラジル )
墺 (オーストリア)
芬 (フィンランド)
加 (カナダ )
埃 (エジプト )
白 (ベルギー )
波 (ポーランド)
上級編
巴 (パナマ )
秘 (ペルー )
爾 (アルゼンチン)
希 (ギリシャ )
土 (トルコ )
蒙 (モンゴル )
尼 (インドネシア)
星 (シンガポール)
氷 (アイスランド)
愛 (アイルランド)
瑞 (スイス・スウェーデン)
典 (スウェーデン)
カルトクイズ編
柬 (カンボジア)
緬 (ミャンマー)
老 (ラオス )
正 (スリランカ)
叙 (シリア )
約 (ヨルダン )
突 (チュニジア)
留 (アルジェリア)
捷 (チェコ )
洪 (ハンガリー)
勃 (ブルガリア)
羅 (ルーマニア)
丁 (デンマーク)
諾 (ノルウェー)
烏・宇 (ウクライナ)
公 (コンゴ )
得 (エルサルバドル)
玖 (キューバ )
度 (ドミニカ国・ドミニカ共和国)
児 (ニカラグア)
鵜 (ウルグアイ)
哥 (コロンビア)
智 (チリ )
委 (ベネズエラ)
戊 (ボリビア )
新 (ニュージーランド)
瓦 (バヌアツ )
帛 (パラオ )