5月2日の続き。
今日、消化器科に再度行ってきました。
例のピロリ菌記事の切り抜きをバッグにしのばせて。
うさぎが診察室に入ると、 お医者さまの机の上にはすでに新たな処方箋が用意されていました。 どうやら先日の処方箋と同じ内容。 でも手書きだった先日の処方箋とは違い、今回はワープロの印字です。 なんと手回しの良いこと。 うさぎの治療に関しては、すでにレールが敷かれているようです。 ‥でもおあいにくさま。その処方箋は無駄になるのよ。
まあそれはともかく。
まずは軽いジャブからと思い、うさぎはこう切り出しました。
「先日の血液検査の結果はいかがでしたでしょうか」
「え? 血液検査?」とお医者さま。
どうやら血液検査のことはすでに頭になかったご様子。
「ちょっとそこの君!
血液検査の結果を持ってきて。
うさぎさんのは‥えーと、検査日が4月23日だったから
‥ああ、あった、あった、コレですね。
おや、かなり貧血がひどいですねえ。
血色素量が10.0。10を切ったら普通、まっすぐ立ってられませんよ。
うさぎさん、増血剤を処方しましょう」
「ありがとうございます。‥ちなみに増血剤というのはお値段はいかほどくらい‥?」
「安いものです。先日処方した潰瘍の治療薬に比べたら、ホントに安いです」
あらそう、でもわたくし、先日処方されたお薬の値段を存じませんのよ。
電卓をはじきながら、「一個あたり13円ですね」とお医者さま。
「‥そうですか。ちなみに増血剤というのは市販されてはいないのでしょうか」
「あるとは思いますけど、高いですよ。容器代やなにやらでね。
処方薬の方がはるかに安上がりですよ」
「なるほど。でも処方薬は受診料がかかりますよね。
それを含めて考えるといかがでしょう?」とうさぎ。
「‥ああ、そうですねえ。
‥それではうさぎさん、あなたの場合は、普通2週間分づつ処方するところを、
1月分づつ処方しましょう! これで診察料が浮くでしょう」
「それはありがとうございます」とうさぎ。
「では、食生活を見直したのちに、改めて増血剤の導入について検討させていただきます」
お医者さまは不意をつかれたように一瞬詰まりましたが、こうおっしゃいました。
「そうですか‥。
あなたの貧血は食事内容でどうこうできるような
生易しい程度のものではないと思いますが‥。
でもわかりました。では今日は増血剤の処方はなし、ということで」
「はい」 うさぎはにっこりしました。
さて、いよいよ本題にはいらなくては。
「ところで、ピロリ菌の検査はどうなりましょうね?」
「ああ、ピロリ菌の検査ね、ピロリ菌の検査は‥」と顔を曇らせるお医者さま。
「‥実はですね、先日処方した薬を服用した間は、ピロリ菌の検査ができないのですよ。
‥といいますのはね、あの薬を服用していると、検査結果が正確に出ないのです」
なんと、危なかった!
言われるがままに薬を飲んでいたら、
ますますピロリ菌検査が遠くなるところだったのだわ!
うさぎはにっこりとして言いました。 「まあそうですか。‥でもわたくしは大丈夫です。 実は先日処方していただいたお薬は、まだ受け取っておりませんので」
お医者さまはうさぎの発した言葉の意味が一瞬理解できなかったご様子。
ちょっと首を傾げました。
この方、よく見ると意外にハンサム。
西洋人のように目尻の下がった大きな目をしていて、鼻がとても高い。
年の頃は30そこそこというところかしら〜?
「受け取っていない‥、受け取っていないというのは‥、つまり飲んではいない、と」
「ええ、そのとおりです。
お薬をいただくのは、少し調べてからでも遅くはないと思いまして」とうさぎが申しますと、
「‥困ったなあ」とカルテになにやら書き込みながら、お医者さまは独りごちました。
一体何を困ることがあるというのかしら? うさぎはちっとも困らないわ。
だって薬を飲まなかったからこそ、検査ができるんじゃないの。
ここでうさぎは今がチャンスとばかり、はっきり宣言しました。
「わたくしの望みは、ピロリ菌の検査をし、ピロリ菌駆除治療を受けることです。
ですから是非とも、ピロリ菌駆除療法を最優先にお考え頂きたいと存じます」
お医者さまはほんの数秒、うさぎの顔をまじまじと眺めましたが、 すぐにカルテの方に向き直り、おっしゃいました。 「分かりました。うさぎさん、ご要望通り、ピロリ菌の検査をいたしましょう!」
きゃ〜! やったわ!
「ありがとうございます!」うさぎは感極まって叫びました。
ああよかった。本当によかった。
新聞の切り抜きを持ち出して一論ぶつまでもなく、円満且つ円滑にコトが運んで、
ホント〜によかった!
「‥ところで。胃の痛みはその後いかがですか?」
「ええ、おかげさまで! すっかり良くなったようです!」
うさぎは晴れ晴れとした顔で申しました。
お医者さまはまたしても首をかしげつつ、
なにかブツブツと口の中でおっしゃったようですが、
うさぎはすっかり上機嫌で、気にとめませんでした。
「‥で、検査はいつがよろしいですか?」
「逆に、いつなら可能なのでしょう?」
「いつでも」とハンサムなお医者さま。
「ならば、今日これから」とうさぎ。
「それは無理です。明日以降にしてください」
「わかりました。では明日の朝ということで」とうさぎ。
そのあと、先日胃カメラ検査の前に打った注射の跡が 3センチ大の内出血になっているところを見ていただき、 「放っておけば直りますよ」というお言葉に安心し、うさぎは診察室を後にしました。
◆◆◆
そんなこんなで明日、うさぎは晴れて"ピロリ呼気検査"を受けることになりました。
今日かかった診察料は330円。う〜ん、なんて有意義な330円だったのかしら〜!
この連載も3度目にしてようやく「ピロリ菌を追え!」という題名に相応しい方向へと
走り出し、ホッとしました。
あとはピロリ菌が検出されるのを祈るばかり。
それでは明日の日記に乞うご期待!