2003年11月21日 バリ旅行記(その2) バリのマクドナルド

先日の日記にうさぎがバンコクへ行くと書いたら、
「もしも1月13日にタイ、バンコクにいらっしゃいましたら 是非私どもの結婚式に参加していただけると幸いです。」 と、メールでお誘いくださった当のまおさんから 「本当にいらっしゃるのですか?」とびっくりされてしまいました。 うさぎの意気込みに動揺されているご様子です。

それで気がつきました。どうやらうさぎ、言葉が足りなかったみたい。 "まおさんの結婚式に参加するためだけに飛行機乗ってバンコクへ" というニュアンスで伝わってしまったのかもしれないなあ、と。

そう伝わったのだとしたら、確かにまおさんが困惑するのも分かります。 だって、お互い実際に顔をあわせたこともない間柄なのだから。 つまり「顔見知り」ですらない。 半年前までうさぎはまおさんのことを女性だと思い込んでいたくらいです。

でも実際のところは。 まおさんの結婚式は、バンコク行きへのいいきっかけだとうさぎは思ったのです。 5年前プーケットに行ったとき、うさぎが本当に行きたかったのは、 バンコクやチェンマイだった。 それがプーケットになってしまい(決してそれを後悔しているわけではないんだけど)、 タイのマクドナルドも見ていない。 だから「いつかは」と思っていたのです。 でも一度訪れた国はどうしても優先順位が低くなってしまう。 それでいままでバンコク周辺に行くチャンスはありませんでした。

そこへ降ってわいたような今回のお話。 だからうさぎは一瞬でバンコク行きの計画に夢中になったのです。 そのとき戸棚にはすでに

「二人で10万円 気軽にバンコク満喫5日間」

というツアーパンフレットが入っていました。 きりんがストックしていた今シーズンとっておきの格安ツアーです。 ホテルをチャオプラヤ川を見下ろす高級ホテル・ロイヤルオーキッドシェラトンに 指定してさえ、一人1万6000円のアップ。 「渡りに舟とはこのこと」と思いました。

‥とこう書くと、 こんどはなんとなく、 「結婚式参加は添え物」のように読めてしまうのが難しいところですね。 でもそういうわけではない。 まおさんには旅のよい"きっかけ"、 或いはタイという国との"ご縁"を頂いたと思っています。

それに、バリ旅行記を仕上げる"きっかけ"もね。

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【 バリ旅行記2 バリのマクドナルド 】

朝日本を発ち、グアムを経由してバリのデンパサール空港に到着したのは、夜の9時だった。 空港の前でプラカードを掲げる出迎えの人々の中にアラムジワの運転手を探すことなく、 うさぎたちはまず、マクドナルドを探した。 マクドナルド・ウォッチングは我が家の海外旅行恒例の行事なのだ。

今回滞在するのは、高原の田舎町ウブド。 そこにマクドナルドはないと聞いている。 なので今回、マクドナルド・ウォッチングのチャンスは二度しかない。 行きと帰りのデンパサール空港でしかないのだ。

空港のマクドナルドの位置は予めネットで調べておいた。 出発ロビー付近にあるらしい。 ところが、夜目で視界が効かないのでどっちのほうが出発ロビーだかよく分からない。 仕方がないので、アラムジワの運転手さんをまず探し、 その方に連れて行ってもらうことにした。

運転手さんはすぐに見つかった。お名前を「エカ」さんとおっしゃる。 エカさんは、うさぎが旨を告げるとすぐにマクドナルドへ連れて行ってくれた。 空港の建物の外の隅に小さく、それはあった。 食事をするところは、なんと屋外。ブースの前に木のベンチが並べられている。

マクドナルドの店頭で、きりんは定番のポテトのジャンボサイズを買った。 一つ12700ルピー。日本円に直すと190円くらい。 日本よりは安いけれど、 日本の5分の1とも10分の1とも聞いているインドネシアの物価からすると、 ものすごく高い。贅沢品だ。

一方うさぎは、珍しいメニューはないかと探した。けれど、ここもブルネイやセブ同様、 スパゲッティ文化圏なのだと分かった意外、特に何も見つからなかった。 ご飯メニューがあると聞いていたのだけれど。 住民の大半がヒンズー教徒である島の割には、ハンバーガーにも牛肉の代わりに 変わったものが挟まっていたりはしない。 今回は収穫ナシかぁとガッカリしつつ、エカさんの車に乗り込んだ。

ところが、図らずももう一軒マクドナルドを訪れるチャンスが訪れた。 車でウブドに向かう途中、道の端に「マクドナルド、この先○メートル」 という例の目立つ赤地に黄色いMマークの看板を見つけた。 そこですかさずマクドナルドに寄ってもらうよう、エカさんに頼んだというわけだ。

こちらのマクドナルドは、2階建ての堂々たる近代的な建物だった。 大きくカーブした壁に天上までの大きく高いカーブガラスをはめ殺しにした、 お金のかかっていそうな造り。 入り口の前には等身大のドナルドが座り、 建物の要所にトレードマークの黄色と赤を配してある。

けれど、その広い駐車場の隅っこ、大きな赤と黄色の垂れ幕の裏側に、 それとはまったくムードの違った一角があった。 どうやら祠(ほこら)らしい。 黒と白のギンガムチェックで覆われた高い台の上に石像が鎮座ましまし、 お供え物が添えられている。揃いのチェックの傘までかぶっている。 万国共通のマクドナルド空間の中でその一角だけが、バリだった。 まるで租界の中の租界みたいだ。

更に店内に入ると‥。あった、あった! ご飯メニューが! うさぎはフライドチキンとご飯のセットを一つ買った。 マクドナルドでフライドチキンというのも珍しい。

ところがこれがなかなか出てこなかった。 レジの上には"SERVE in 60"(60秒以内に準備いたします) と書かれた砂時計がまことしやかに置かれているというのに、 砂時計を何度ひっくり返しても出てこない。 結局品物を手にしたのは、5回くらい砂が落ちきった頃であった。

フライドチキンとご飯のセット、それは不思議なメニューだった。 受け取ったパッケージのふたをそっと開けると、 フライドチキンと、ハンバーガー様の紙包みが行儀よく並んでいた。 「あれ、ご飯は‥?」と思いつつその包みを開くと、 そこに白いご飯が。 おにぎりのようにきっちりむすばれているわけでなし、 さりとてふんわり装われているわけでなし。 ちょっと見には「具の入っていないライスバーガー」だけれど、 そこまできっちりと固まってはいない。 お子さまランチのライスのまとまり具合といえばよいだろうか。

うーむ、このご飯、一体どうやって食するのだろう??

うさぎは車に乗り込みつつ、考えた。 長粒米だからパラパラしている。ライスバーガーのように片手に持って食べるのは無理だ。 フォークやスプーンもついてはこなかった。 尤も、プラスチックのペラペラなスプーンでこれを食べるのも難儀だろう。 ここは箸文化圏でもないし‥。 となると、素手で摘まんで食べるのだろうか。 どこかで読んだことがある。 「ナシチャンプル」という、ご飯とおかずが一つの皿に盛られたインドネシアの料理は、 ご飯の上におかずを載せ、指で摘まんで食べるのが伝統的な食べ方なのだと。

もしやこれって、マクドナルド版ナシチャンプルなのでは??

予めフライドチキンを手で裂いておき、ご飯と混ぜて食べる。 ‥おお、なかなか美味しそうではないか!

ちなみにこれは正しかったようだ。 今回お世話になったバリの代理店 スカスカバリ のヒロミさんがご自身のサイトに、

「(バリでは)ケンタッキーの食べ方も普通のケチャップと
辛いケチャップをたんまりお皿に盛ってそれを手でご飯と一緒に混ぜ混ぜして食べる」

書いておられるから。

ではここで恒例の一句。

KFCにも 負けてはいない マックのチキン

つづく