2004年5月4日 余った問題集の使いみち

数検がやっと終わったというのに、 うさぎはまた算数の問題集をやる羽目に陥っています。 なぜって、チャアにと思って買った問題集が、彼女には難しすぎたからです。

邪魔な問題集は早く捨てたい。

でも、問題集をまっさらなまま、捨てるのは勿体ない。

でも、誰かがやらなければ、問題集はいつまでも白いまま。

誰かがやらなくては捨てられない。

"誰か"って誰?

チャアにできない以上、うさぎしかいない。

‥というわけで、うさぎが頭の体操代わりに消費することにしました。

でも、そもそもなぜ、難しすぎる問題集を買ってしまったかというと‥。 そこには話せば長い失敗談が‥。

実はこの問題集、ネネがいまのチャアと同じ学年のときにやっていたものと同じです。 大判で文字が見やすくて紙が白くてきれいで、 おまけに頭の体操になりそうな問題がいっぱい! とっても良い問題集で、ネネに数学的モノの見方を叩き込んでくれました。 今ネネが数学に全く苦労しないのはひとえに、小学校の時にこの問題集をやったからだと、 うさぎは信じています。

だからうさぎは、チャアにも同じ問題集をさせたかった。 それで2月のある日、この問題集を買いに行ったのです。

余談になりますが、うさぎが子どもの問題集を買うときに 守っている鉄則が二つあります。

一つ、前の問題集が終わらないうちに、新しい問題集を買わない
一つ、決して何冊もまとめて買わない

それは、本人のヤル気を損ねないための、大事な不文律です。 いつ果てるとも知れない仕事がだらだらと続くのは大人だって辛い。 ヤル気を失います。 一つの目標達成のあとはしばし休息をとり、その達成感を充分に味わってこそ、 新しい目標への意欲も湧こうというものです。 一つの問題集を一つ終えてから、次の問題集を買うまでの数日のインターバルは、 無駄であって無駄ではない。 とかく目先の僅かな効率に囚われがちのうさぎは、 効率に囚われるあまり基盤を損ねることのなきよう、 この不文律を守ってきたのです。

ところが。この時は、ついこの鉄則を破ってしまいました。 ふと下見に行ったらこの問題集が絶版になっていて、4分冊のうち、 最初の1冊はすでに売り切れてしまっていたものだから、焦ったんですね。 今買わなかったら、残りの3冊も買えなくなってしまう、と。

でも、そういう時こそ、よく考えるべきでした。 なぜそれが絶版になったのかを。 なのにうさぎときたら、「絶版」の一言に焦り、 自分で作った鉄則を無視し、 前の問題集があと数ページ残っているにもかかわらず、 3冊まとめて買ってしまったのですから、大馬鹿者です。

「なぜそれが絶版になったのか」。
その理由が分かったのは、 それを買って帰り、数日後、そのうちの1冊をチャアにさせてみたあとのことでした。 ネネに比べて、チャアがあまりにできないのを見て、 「これは何かおかしい」と思い、ようやく気付いたのです。 3年前と今では、学校の授業内容のカリキュラムが違っているのだ、ということに。

つまり、チャアは、同じ学年でネネが習ったことを習っていない。 だから、ネネにできた問題がチャアにはできなかったのです。 そして、そもそもその問題集が絶版になったのも、 学校のカリキュラムが変わったからに違いありません。

そういえば、一時盛んに問題にされていましたよねえ、 「ゆとり教育」の名のもとに、 いままで"3.14"と教えていた円周率を"3"と教えるようになるとか、 台形の公式が削除されるとか。 世間では大騒ぎになっていたはずです。 そして勿論、それはうさぎだって知っていました。 でも、問題集を購入する際には、それとこれとが結びつかなかったのです。 お気に入りの問題集が入手できないというショックで気が焦り、 そんなこと及びもつかなかった。 ネネにできた問題集は、チャアにだって出来るはず、と頭から思い込んでいました。

それでも、買ってしまったものは仕方がない。 どうでも消費しなくては、と頑張りました。 鉄則を破ったおかげで、ただでさえヤル気を失っているチャアに 習っていないことを教え、解法のヒントを与え、手取り足取り‥。 もう、それはそれは、いばらの道でございました。

そしてその過程で知ったのです。 問題集を円周率が"3"になったとか、台形の公式を教えなくなったというのは、 単なる卑近な一例に過ぎず、 兎にも角にも、随所で小学校で教える内容が大幅に削減、 もしくは進度が遅くなっているということに。

「分数の掛け算は?」「‥やってない」
「公約数は?」「‥何それ?」
「円の面積の求め方は?」「‥まだ習ってない」
「直方体の体積は?」「‥知らない」
「"比"って習った?」「‥さあ〜?」

これで、旧カリキュラムに則したこの問題集をやれというのは、 たとえチャアがヤル気満々だったとしても、無理な話です。 円の面積の求め方など、 学校のカリキュラムがあとから追いついてきた部分も少しはありましたが、 あとの大半はチャアが初めて知ることばかり。 それを、教えるのは大変〜! こっちは教師じゃあないんだから。 2ヶ月ほどやったところで、うさぎもついに音を上げました。 まあ途中までやった1冊は、乗りかかった舟ということで、 いまだチャアが奮闘中でありますが、 手付かずの残り2冊は、うさぎの頭の体操用に相成ったというわけです。

で、うさぎはいまその問題集を着々と(?)こなしているわけですが、 これがけっこう難しい。 実に頭の体操に相応しい内容であります。
初めての白星を挙げた(=満点を取った)のは、問題集を始めてから7日目のこと。 次の白星を挙げたのは、更にその6日後。 小学生の問題集で、一週間に一度しか満点が取れないうさぎって一体‥。

でもホントにけっこう難しいの。ホントなんだから。 試しに、みなさんも挑戦してご覧になる??

【問題】

身長1.6mの太郎君が、高さ4mの街灯の真下から秒速1.2mの速さで まっすぐに歩き始めました。 太郎君の影の先端は、秒速何mの速さで動きますか。 (四谷大塚「すきっぷ3」問題集より)

図

答え:毎秒2m

考え方:
太郎君が歩いた時間をtとし、太郎君の影の先端が動く速度をxとすると、 街灯の根元(B)から太郎君の足元(E)までは、1.2t、Bから影の先端(C)まではxtと表せる。 街灯と影の先端の作る3角形ABCと、太郎君と影の先端が作る3角形DECは相似だから
4 : xt = 1.6 : (xt - 1.2t)
4xt - 4.8t = 1.6xt
2.4xt = 4.8t
x = 2

ちなみにこれは、うさぎが作成した答えです。
問題集の解答集には、小学生向けに、方程式を使わない説明が書いてありました。
が。うさぎには難しすぎて、何のことやらさっぱり〜。
多分、大人には方程式を使ったほうが分かりやすいのではないかと‥??

現役中学生ネネの考え方はうさぎの考え方とほぼ同じですが、 「太郎君が1秒歩いたとすると」と仮定し、tを省いていました。 これだともうちょっとシンプルになります。

現役小学生諸君は、この問題ができなくても落ち込まないように。 まだ学校で習っていないのですから、できなくて当たり前です。