この体験記は、かつて存在したアラビア語検定の受験体験記です。実用アラビア語検定は、日本アラビア語検定協会が2007年~2017年に実施していたアラビア語の検定試験で、事業継続が困難となり2017年を最後に休止、2021年8月9日をもって主催者であるNPO法人も解散しました。
2008年6月、アラビア語検定6級に合格しました (得点:筆記50/53(94%)、リスニング20/25(80%))。 このページは、アラビア語を始めてからアラ検本番まで約二ヶ月半の、わたしの学習記録です。 アラ検受験を考えていらっしゃる方、 これからアラビア語を勉強しはじめようかなと考えていらっしゃる方の参考になれば幸いです。
アラビア語検定について
アラビア語検定は2007年にできたばかりの検定で、わたしが受けた2008年の6月は、まだ第二回目でした。級は6級から1級までありますが、現在実施されているのは6、5、4級のみで、次回から3級も実施予定だそうです。
まだまだ知られていないのと、アラビア語自体、学習者の数が限られていることから、受検者数は少なく、わたしが受けたときには、全国では3箇所しかない会場のうち最大と思われる東京会場で、21人しかいませんでした。そのうち、合格者は14人でしたので、東京会場に関して言えば、合格率は66%ということになります。
ちなみに5級合格者は全国で12名、4級合格者はなんと一桁!(9名) 今後、はたして運営が成り立っていくのか?!という少なさですが、検定試験というのは、学習へのモチベーションアップに最適なツールなので、 ぜひ潰れないで続いていって欲しいな、と願っています。
ところで、試験を受けたらすぐ結果が知りたいのが人情。今回、検定試験が終わって一週間も経たないうちに合格者の受検番号がネットに公表されたのはありがたかったです。あとは仏検のように、模範解答を試験終了後すぐに配ってくれたら、もっと嬉しいかな。
まずはアルファベットから
アラビア文字、素敵ですよねー。アラビア語をやりたい、という人の多くはまず、あの文字に惹かれて入るのではないでしょうか。 わたしもその一人。今回アラビア語を始めた経緯に関しては別ページをご参照いただくとして(もしご興味があれば)、 最初は文字読みたさに始めました。
アラビア文字のアルファベットは28文字。決して多くないし、一つの文字について読み方は一つしかないので、覚えるのはそんなに大変ではありませんでした。家で机に向かうことはほとんどなく、テキストを常時持ち歩いて、電車の車中や病院での待ち時間など、5分、10分の細切れ時間を利用して覚えました。全部覚えるまでに、だいたい10日くらいかかったかな。
全く見慣れない形なので、小さめの文字だと、なかなか頭に入ってこない。見ようと思わなくても自然に目に飛び込んでくるくらいの大きめの文字をちょくちょく見て、 まずは慣れるようにしました。 文字が大きいと、その上をなぞるのもラクです。 発音を口の中で確認しながら(たいてい外出中で、アブナイ人だと思われても困るので、声には出さず^^;)、 指でテキストを何度もなぞりました。
文字を覚えるのに使ったのは、本田孝一先生の 『アラビア語を書いてみよう読んでみよう』 です。 この本はまるごと一冊、文字だけに絞って解説してあるので、非常に詳しく、丁寧で、 何よりアラビア文字が大きく書いてあるところが気に入りました。 それに、手書き文字についても解説されているのが良かったです。 なぜならイラスト満載の旅行会話集 『旅の指さし会話帳』 がわたしは大好きなのですが、これって、全て手書き文字で書いてあるからです。 文字の繋ぎ方がかなり違っているので、 活字体を知っていても手書き文字は読めないことがあるんです。 指さし会話帳読みたさに、手書き文字も一生懸命覚えました。 でもあんまりくずされちゃうと、いまだにあんまり読めない;;
入院中でもできること
最初は文字を覚えられさえすれば満足と思っていたものの、 ちょうどその頃、親知らずの抜歯で5日ほど入院することになり、術後の痛みと退屈を紛らわせる気晴らしがてら、 もう少しアラビア語をかじってみることにしました。 病院にはネットからプリントアウトしたアラビア語の単語集と『旅の指さし会話帳』のエジプト編とイラク編を持っていき、 目につくものの名前を調べてアラビア語で言ってみました。
だから最初に覚えた言葉が「タビーブ アスナーン(歯科医)」(笑)。 病室に様子を見に来たドクターの顔を眺めながら、 頭の中で、「この人はタビーブ アスナーン、タビーブ アスナーン」と繰り返しました。 食事時になると「わーい、タアーム(食事)だ、タアームだ~! いただきまーす♪」、 洗面所でガラガラうがいをしながら、「ダワ・ガルガラ(うがい薬)、ダワ・ガルガラ・・・」。 サリール(ベッド)、キターブ(本)、マクタブ(机)、 アイン(目)、アンフ(鼻)、ファム(口)、ウズン(耳)、ムマッリダ(看護婦)、 ビント(娘)、ザウジュ(夫)・・・。 こんな感じで、70~80の単語を覚えたかな。 病室で目に入るものは限られていて、決まりきった単語を繰り返すしかなかったので、 却って効率が良かったと思います。
あるとき、タアーム(食事)とマトアム(食堂)、キターブ(本)とマクタブ(机)の関係に偶然に気づき、 アラビア語の魅力に取り付かれました。 そのあとコックが「タッバーフ」だと知り、じゃあ台所は「マトバフ」に違いないと思ったその予想が当たったとき、 これはもうアラビア語をやるしかないと思いました。 この法則を、テキストを読んで知ったのだったらどうだったのかな、と思います。 辞書もなければ文法書もない不便な状況の中、偶然自分で発見したから、夢中になったのかもしれません。
入院3日目あたりから、だんだんお風呂に入りたくなってきました。 でもその病院のお風呂は暗くて冷たそうで無機的で、どうも気が進まない。 次第に頭の中は「早く家に帰ってお風呂に入りたい!」でいっぱいに。 ところでこれ、アラビア語でどういうんだろう? 「~したい」はウリードゥ、「帰る」はラジャア、「家」はバイトゥ、 でもこれらの単語をどう繋げればよいのでしょう? 分からない。 「ああ早く家に帰って文法をやりたい!」と思いました。 もちろん、お風呂に入るのが先ですけどね!
挫折しないアラビア語
家に帰ると、まずは図書館で片っ端からアラビア語のテキストを借りてきました。 そして、とっつきやすそうなものから順に読んでみることにしました。
家族の図書カードまで動員し、10冊以上も借りた中で、一番とっつきやすかったのは、 『アラビア語が面白いほど身につく本』です。 二色刷りで、文字が大きくて、とても見やすい♪ 文字を覚えたばかりのわたしにも、「これなら読める!」と自信をつけさせてくれました。 テレビアラビア語会話でお馴染みのアルモーメン・アブドゥーラさんの著書で、本田先生監修です。 ※ 2014年にオールカラーの新版にリニューアルされました!
文法に関して特に役立ったのは、本田孝一先生の『アラビア語の入門』です。本田先生の本はいつも親切で分かりやすい。またこの本はCDの出来が素晴らしい! 最近の初心者向けの語学テキストにはたいていCDが付録についていますが、その出来はまちまちです。棒読みで何度聞いても記憶に残らないものもあれば、抑揚に富んでいて耳によく残るものもあります。この本の付属CDはNHKアナウンサー師岡カリーマエルサムニーさん(絶世の美女!)によるメリハリの効いた情緒豊かな美しい発音が気に入って、何度も繰り返し聴きました。
あと、本当に愛用していて、当分手放せそうにないのが、アラ日辞書 『パスポート 初級アラビア語辞典』です。これも本田先生の監修だけあって、初学者にとても親切。見出し文字が大きくて見やすいです。しかも装丁がお洒落(←ココが大事)で、 これ持ってるといかにも「アラビア語やってます♡」って感じ♪ 約5000円と高価でしたが、アラビア語をやるなら 何をおいてもまず手に入れるべきマストアイテムだと思い、思い切って購入しました。単語数が限られているのと、語根順の配列ではないことから、いずれ買い換えることになると思いますが、それまで思う存分、活用しようと思います。
外国語を学ぶにあたって、いつもわたしが一番心がけているのは、そのときそのときの自分のレベルに合ったテキスト選びです。背伸びして難しいテキストを使うと、途中でいやになって挫折する。ちょっと簡単すぎかなあ?と思えるくらいがちょうど良く、隅から隅まで全部分かる!という感覚を 積み上げていって、少しずつレベルアップしていかれたらいいなあ、と思っています。
特にアラビア語はまだ文字にも充分慣れていない状況なので、すべてがたどたどしく、 ちょっとしたことで挫折しがち。だから先を急がず、簡単に思えることから始め、ゆっくりと慣れていくことにしました。
検定に向けて
アラビア語検定の存在を知ったのは、4月の後半だったと思います。検定オタクの虫がうずき、一気に気分が盛り上がりました。直近の検定日まで2ヶ月。長すぎて飽きるほどでもなければ、短すぎて無理でもない。ちょうど良い時期にあるって、なんという神の思し召し! これはアラビア語を学べってことだわと思い、とりあえず、申し込み期限の5月末まで頑張ってみて、もしいけそうなら受けようと決めました。
ただ今回は一つ、いつもの語学検定とは違った事情がある。それは、まだアラ検が出来たばかりで、傾向がよくわからず、検定問題集も出ていない、ということでした。一体何をどう勉強すればいいのか分からない。
そんなとき見つけたのが『アラビア語の法則』。ネット上のアラビア語学習サイトです。このサイトにはもう、本当にお世話になりました。簡潔にして分かりやすい基礎文法解説に加え、練習問題がたくさんある!! 片っ端からプリントアウトして、繰り返し練習させていただきました。A4用紙に印刷した練習問題を100枚くらいやりました。
このサイトの練習問題をきっちりやれば、6級の合格は半分もらったも同然だと思います。アラ検6級の文法範囲のほうが広く、求められる単語数も多いので、これだけやれば万事オッケー、とまでは言いませんが、単語や文法範囲がアラ検の傾向に近いので、ここでやったことは全て無駄にならない感じ。一番アラ検で問われるイダーファ構造(所有格構造・属格構造とも言う)、形容詞の性数一致、 および規則動詞の活用が徹底的に鍛えられます。
公式サイトに『6級は大学の週に2回の授業で1年間の学習相当(100時間)
』とあることからも、アラビア語検定が大学で第二外国語としてアラビア語を選択している学生さんを意識していることは確かですが、 その目安どおりに大学で週に2回、1年間学んだとしても、それだけでは合格は、もしかしたら難しいかもしれない、と思います。なぜって、大学で使うテキストは、いまだに 古典的名著『現代アラビア語入門』(通称:赤本) だと聞くし、これって確かに名著なんだけど(但し、ものすごく読みづらい)、 アラ検とはちょおおおっと(っていうか、ものすごーく)ベクトルが異なるように思えるからです。
たとえば赤本に出てくる例文の一例:
- 「直ちに祖国へ帰ろうではないか」
- 「アラブの大地の全ての地点から敵を駆逐するまで、我々が安らぐことはないであろう」
- 「黒い奴隷が赤い部屋にいる」
アラ検6級問題文の一例:
- 「わたしは昨日、新しい博物館へ行きました」
- 「その犬は、地面の上で眠っています」
- 「他に質問はありますか?」
・・・どう見てもベクトル違いすぎでしょう!!w
赤本に限らず、なぜか多くの教本では「殴る」「盗む」「殺す」などの穏やかならぬ単語が 早いうちから出てきます(わたしはこれを『三大極悪動詞 』と命名)。カタラ(殺す)を例に規則動詞の活用表を作っている教本もあったりなんかして。 カタラ・カタラー・カタルー・・・ (「彼は殺した」「彼ら二人は殺した」「彼らは殺した」・・・)と唱えて動詞の活用を頭に叩き込むわけです。 なんかスゴイ^^;。
まあアラ検でも今回ダラバが出ましたから、今後カタラやサラカも絶対出ないとは言い切れませんが、「奴隷」とか「祖国」とか 極悪動詞の活用覚えているヒマがあったら、もっと他にやることがあるんじゃないか、と思えないでもない。6級で要求される語彙数は500と公式サイトにありますが、 何でもいいから500語覚えればいいわけではない。どうせ覚えるなら、試験に出る単語を覚えたいものです。
現在のアラビア語検定で問われる単語は、他の語学検定で問われる単語と傾向が似ています。独検なら「森」へピクニックに行くところ、アラ検だと「砂漠」へ行ったり、「馬」に乗るところが「ラクダ」だったり「ロバ」だったり、「教会」の代わりに「モスク」だったりといった 地域性による違いはありますが、要は、平和な日常風景を彩る単語がメインです。あんまり殺伐とした例文は出ない・・・と思う。
そこで、過去問分析に加え、過去の独検・仏検・英検受検経験を活かし、アラ検6級にベクトルを合わせた単語集なんぞを作ってみました。エクセルになっていますので、よろしかったらご活用ください。 リンクの上で右クリックし、「対象をファイルに保存」「名前をつけてリンク先を保存」(文言はブラウザにより異なります)などを選択すると、お手持ちのパソコンに保存できます。 書き換えもできますので、お好きなように修正したり書き加えたりカスタマイズしたりしてご活用ください。ちなみに、母音記号はつけていません。プリントアウトして母音記号を赤ペンで補いながら読むと、力つきますよん♪(たぶん)。
アラビア語検定に役立つサイトをまとめてみました。 アラ検とのシンクロ度は、単語がどれだけ重複しているかを、 あくまで感覚でとらえたものです。 データに基づいた正確な数値ではないことをご了承ください。
ちなみに、アラ検シンクロ度の観点で市販テキストのイチオシは 『こうすれば話せるアラビア語』。文法範囲といい、文例といい単語といい、アラ検6級シンクロ度90%。巻末にワードリスト500語がついているのも便利です。このテキストは文字が小さめでCDが速く、学習しはじめはとても読む気がしなかったのに、検定直前になったら、けっこう読めるようになっていてビックリ! 我ながら成長したな、と感動しました。検定直前の復習とチェックに最適な教材だと思います。
直前の勉強法
さて、語学検定が近づくと必ず作るのが、ノートです。わたし、ノート作りって大好き♪ ノートを作ると、勉強した~って気分になるし、あとからわからなくなったとき、参照できてとても便利。それに、ノートを作ること自体、覚えたり理解したりするチャンスになりますから。
今回のノート作りは最初のうち難航しました。なぜって、アラビア文字が書きなれないからです。まず、右から左へ書くのが難しい。これまでの習慣で、つい左端から書き始めてしまう。文字も最初はきれいに書けなくて、自分で書いたものが自分で読めませんでした。これってヌーン? それともザール? どっち?みたいな。
でも人間、成長するものです。役にたったのは、テレビのアラビア語会話『なぞ解きアラビア文字』のコーナー。講師のモーメンさんも最初はペンタブに慣れなくて苦労しているようでしたが、文字が書かれていく過程を見ることによって、その文字の特徴がどこにあるかが、よくわかりました。
ノートに書いたのは、自分なりにまとめた文法事項と、検定用にセレクトした約500の単語。右から左へ書く習慣に慣れようと思い、動詞の活用形も、右から左に向かって、単数・双数・複数の順に並べました。名詞や形容詞も同じ。一番右に和訳を書き、次に単数形、一番左に複数形をもってきました。文字は青のペン、母音記号は赤のペンで書きました。赤い下敷きを上に置くと母音記号だけ見えなくなるので、母音記号なしの文字を読むトレーニングができます。
名詞・形容詞の複数形は規則複数も含め、タイプ別に14に分け、①~⑭まで番号を振りました。同じジャンルの単語は同じ複数の型をとることも多く、同じ型の複数を並べてみると、うっすらと関連性見えて連想が働くので覚えやすい。
たとえば、職業名称の多くは男性規則複数をとりますよね。同じ職業でも、タージル(商人)、ターリブ(学生)など「アーイウ」型のものは トゥッジャール、トゥッラーブと、「ウッアーウ」の複数型をとることが多い。マトアム(台所)、マウキフ(停留所)のように「マ○アウ」「マ○イウ」型の場所を示す名詞はたいてい マターイム、マワーキフと「マアーイウ」型に変化するし、 単数形がザフル(背中)、アンフ(鼻)など、「ア○ウ」型の体の部分名称はそれぞれズフール、 ウヌーフと、「ウウーウ」型に変化することが多いです(※ ○部分はスクーン)。例外もありますが、こうした傾向をつかんでおくと、まとめて覚えられるのでラクです。
また、外来語などの新語やマイナーな単語は、元の性に関係なく、女性規則複数をとることが多いような気がします。通常は別の複数型をとる単語でも、辞書には女性規則複数が併記されていることも多い。たぶん、女性規則複数がデフォ。ネイティブも複数形で迷ったら、とりあえず女性規則複数で活用しとけってのがあるんじゃないかなあ??(大胆推測)少なくともわたしは、そのテで行こうと思ってます(笑)
検定当日
さて、いよいよ検定当日。水道橋駅前の小さな塾の一室で、第二回アラビア語検定が始まりました。受験者数は、申込数が26、実際受けに来たのは21名。最も集客力があると思われる東京会場で、この数字です。
わたしが会場に到着したのは、試験開始の50分前で、1番乗り~! まだ会場は準備中でした。でも会場が開くとすぐに続々と人が集まってきました。やってきたのは、老若男女、多種多様。ああこれが同じアラビア語を学んでいる仲間なんだと思ったら嬉しくて、しげしげ観察してしまった^^;。
自分の席につくと、誰しも文法や単語の最終チェックを行うのですが、自分のノートを開く人が多かったです。 市販のテキストや学校で使っていると思われる薄い冊子を開いている人もいましたが、 これがまた使い込まれている! ボロボロのテキストになにやらビッシリ書き込まれたメモがいくつも挟みこまれていたりして、 みんなよく勉強してるなあ、と思いました。
解答用紙が配られました。 …え。やたらと長い欄が3つもある…!! これは和訳でしょうか、まさかアラ作?! 前回はそんなのなかったのに…!! ああー、落ちたらどうしよう~?! 受検料4000円もしたのに、交通費まで入れたら5000円以上かかってるのに~!
解答欄の数を数えてみました。筆記45、リスニング25。 筆記試験は60分で45題も解かなくてはならない。これはキツイ。時間配分は、基本1分1題、長く書かされる問題のみ1題2分で48分。 10分はリスニングの予習(答えの選択肢に目を通しておく)にあてるとして、 エ!! 見直しに当てられる時間、たった2分?! ヒエー! 受かるんだろうか・・・。
試験が始まりました。1分1題って、穴埋め問題でもけっこう大変! 慣れないアラビア語をやっとのことで読んだり書いたりしている身に、時間は本当にギリギリです。前回の過去問は予想問題とほとんど同一だったので割とサクサクできたけれど、今回はけっこう違うので、ひとつひとつちゃんと読まなくてはならない。
返答を選ぶ問題は、選択肢の数が、前回の5つから9つに増えてるし! 今回は絶対、前回より難しくなってると思う。
単語を書かせる問題、問題自体は過去問とそっくりですが、アラビア文字を書くというだけで緊張~。しかも、解答欄を間違えてしまった。タテに2列かと思ったら、ヨコに3列だった。書き直さなくちゃ。消し消し・・・。あーもう、こんなところで時間食ってる場合じゃないのに。
やたらと長い欄、これは並び替え問題でした。与えられた単語をただ並び替えて書くだけ。それでもアラビア文字を書かせられるのって、ホント、緊張する。読めないんじゃないかとか、スペルを間違えるんじゃないかとか。たった2分しかない見直し時間はすべてここに投入!
最後の長文は、友達同士の二人が「アフマド」と「ムハンマド」という似た名前で、どっちがどっちだか、わけわからん。時間がなくて焦っているので余計混同し、結局一問間違えてしまいました。
今回、厳しいと思えることの一つは、筆記とリスニングが別々に採点され、どちらか一方でも6割とれなかったら不合格となることです。苦手なリスニング、6割もとれるんだろうか・・・。
実際、2度聞いても単語の片鱗すら分からない文もあり、わたしも「ハ?」って思ったけど、会場中が「ハ?」って感じの雰囲気になったことも。周りからエンピツを走らせる音が聞こえてこない。わたしだけじゃない、みんな苦戦してるんだ――なんて分かっても、全然救いにはなりませんがね。人がどうだろうが、最低6割とらなくてはならないのだから。
結果としては、満点を目指していた筆記でいくつもつまらないミスをしてしまった反面、とにかく6割とって受かることだけが目的だったリスニングが意外と出来たので、まあまあでしょうか。特に、全く自信のなかった数字の聞き取りが全部合っていたのが嬉しい^^。
リスニングがネックだったわたしにとって、 やはり勝因は筆記時間中にリスニングの選択肢に目を通しておいたことだと思います。また、その時間を捻出するため、筆記は極力スピーディに解けるよう、 ネットで公開されている予想問題と過去問で訓練しておきました。問題数の多い最初の短文穴埋め問題をいかに速くこなすかが勝負どころのような気がします。問われているのは何なのか。格変化なのか、性数一致なのか、時制の整合性なのか・・・等、問題の焦点をいちはやく掴む訓練をしておくと処理速度が上がります。
まとめ
6級でこんなに苦労させられる検定があるとは、思っても見ませんでした。学習の目安は100時間と公式サイトにありますが、わたしは200時間以上勉強しました。200時間って、長いですよー。けっこうアラビア語に触れることができました。とても楽しかった。 楽しくて楽しくて、検定が終わった今もウキウキしながら学習を続けています。
6級なんぞに受かっても、アラビア語が「できる」うちには全く入りませんし、履歴書に書いて何かご利益のあるような級でもありません。でもアラ検6級を取得した人はまだ日本全国で100名足らず。 そのわずかな人数のうちの一人なのだと思うと、なにやらアラビア語にグッと近づけたような気がして嬉しいです。ゼロの状態からたった二ヶ月半でここまで近づけたのですから、超お得、超お手軽。メジャー言語ではこうはいきません。
アラビア語は世界一難しい言語だとよく言われます。確かに、最初はどこからどこまでが一つの単語か、一つの文字かもわからないし、動詞の活用はやたらと多い。名詞の複数形もパターン多すぎ!!
でも、いかなる言語にも厄介な部分は必ずあり、ドイツ語の格変化の面倒臭さときたらアラビア語の比ではないし、フランス語の数の数え方には文句の一つも言いたくなる。英語の固有名詞の読み方の気まぐれさを思ったら、文字の読み方が一つしかないなんて、感謝の念に堪えません。
実は、アラビア語で一番大変なのは慣れることではないでしょうか。違った文字、違った発想、違った感覚に慣れること。そして、その慣れてゆく過程こそが楽しい。開かないはずの扉が目の前で開けていくようで。
! افتح يا سمسم イフタフ ヤー シムシム!(開け ゴマ!)
ってね。
今ほんの少し開きかけたこの扉を、もっともっと大きく開いてみたい。だから当分やめられない。 次回は5級、できれば4級をぜひ受けたいと思います。