スペイン語で取得した通訳案内士の受検体験記その2です。 このページでは、二次試験対策について書きます。 一次試験については以下のページをご覧ください。
二次試験までのスケジュール
平成25年度(2013年度)、一次試験から二次試験、合格発表までのスケジュールは以下のような日程でした。
- 8月25日(日) 一次試験
- 11月15日(金) 一次結果発表
- 12月8日(日) 二次試験
- 2月7日(土) 合格発表
ご覧の通り、一次試験から発表までが長く、発表から二次試験までは3週間しかありませんでした。 それゆえ、通訳案内士試験に関するアドバイスには必ず「一次試験の結果が出る前に、二次対策を始めるように」と書いてあります。 まったくその通りだと思います。
まったくその通りなんですが、これがけっこう精神的にきつかったです。 今やらなければあとで後悔すると分かっていてなお、なかなか思い通りにはいきませんでした。
決して自分の過ごし方に満足してはいませんが、まったく何もしなかったわけではないので、一応やっていたことを書きます。
日本紹介ビデオ
一次試験の歴史の出来が悪かったのもあって、10月までは、二次に向けた対策らしい対策はしていませんでした。
ただ一次試験後も毎日50分のオンラインレッスン(スパニッシモ))は続けており、 一次試験の様子を含め、雑談をしたり、まだ少し残っていた基礎文法のコースを終えたりしていました。
また、9月に「Japan Video Topics」を見はじめました。 日本の外務省が海外向けに発信している日本紹介ビデオ集です。 現在、70以上のビデオクリップが英語・中国語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・アラビア語・日本語の7言語で公開されています。
ひとつ3~5分程度。 何度か繰り返し、同じものを4、5回見ました。 といっても、メモもとらず、ただボケ~ッと見ていただけ。 娯楽感覚で、スペイン語だけでなく、他の言語でも見ていました。
でもこれは無駄ではなかったと思います。スペイン語の耳慣らしになったし、なにより日本理解につながったからです。 日本人のクセして「へえー、そうなんだ」と思えることが多く、面白かったです。
ビデオクリップの内容は、プレゼンのお手本。こんな風に話せたら万々歳。また、このビデオのスペイン語が聞き取れるかどうかで、二次試験における質問が聞き取れるかどうかが測れるのでは、と思います。
また、この時期「江戸」にハマっていました。ドラマのJINでハマったんです。ドラマを二シーズン分見たあと、マンガでも読みました。
ハマりが高じて 江戸東京博物館、 深川江戸資料館、 日光江戸村にも行きました。どこも江戸時代にタイムスリップしたみたいで、楽しかったですよー。着物で行くと、ますますタイムスリップ感がアップして楽しい^^。オススメです。
江戸東京博物館では、会館の通訳ガイドさんが流暢な英語で外国の方に説明をしていました。まるでネイティブみたい。このくらい喋れないと通訳ガイドになれないのかな?と思って、ショックでした。 でもそんなわたしでも受かったので、試験ではそこまで完璧なスペイン語は求められないと思います。
二次対策動画
一次の歴史で躓いたので、二次には進めないかもと思っていましたが、10月にESDICのブログで 50点前後という日本史のボーダーライン予想を読み、一次通過の希望が膨らみました。
最初は大喜びしたのですが、バチ当たりなことに、まだ二次があるかもと思うと、次第に気が重くなりました。焦りとは裏腹に、二次対策の開始を一日伸ばしにしてしまいました。
とりあえずこれだけは見ようと思い、 ハローアカデミーの二次対策動画 を見たのが10月の中旬。これを見さえすればきっとエンジンがかかるだろうと思ったのですが、そうでもなく、その後もグズグズ。そんな自分には、本当に失望しました。
それでもなお、まったく何もしないよりは、二次動画を見てよかったと思います。少なくとも、二次に向け、何をすればいいのかが分かりました。
通訳対策(メモ対策)
二次試験の内容は以下の二つ。
- 日本語の文をスペイン語で言う(通訳)
- プレゼンテーション(プレゼン)
通訳対策については何をしたらいいのか分からなかったので、大して何もせず、唯一、メモを取る練習だけしました。 二次対策ビデオで、メモ練習を必ずしなさい、と先生がおっしゃっていたからです。
具体的には「Japan Video Topics」のまだ見てないトピックを日本語で見ながらメモをとってみました。 始める前はすごく不安で、メモとるのって難しそう・・・と思っていたのですが、実際やってみたら、意外とそうでもありませんでした。
これは少しでもやっておいてよかったと思います。何をどれくらいメモったらいいのか、何を優先して書き、何を諦めるか、自分なりの方針が立ちました。
結果から言うと、キーワードだけ、単語で書くことにしました。具体的には名詞、特に固有名詞。特に文の主語。あと数字は絶対書く。逆に、動詞・形容詞は書かないことにしました。
わたしはあまり筆記スピードが速くないので、すべてをメモに残すのはあきらめ「メモは思い出すきっかけにする程度」と割り切り、話の流れは聞いて覚えることにしました。
二次対策ビデオでは、筆記のスピードを上げるため、記号を使うことが推奨されていましたが、わたしは記号は使わないことにしました。「どう記号化しようか」と迷っているヒマに次の語彙を聞き逃したり、自分の書いた記号の意味が分からない、という経験を何度もしたからです。
漢字も使いました。ひらがなよりラクな場合があるからです。特に略字や崩し字はひらがなよりも速く書ける。
人によると思いますが、わたしの場合は、奇をてらわず、オーソドックスに書くほうが無難という結論に落ち着きました。 そういうことが感覚的に掴めたので、ほんの少しでしたが、対策をしてよかったと思っています。
プレゼン対策(ノート作り)
プレゼン対策は、ハロー通訳アカデミーの第2次口述試験問題の出題傾向と予想問題の想定質問リストに、 自分でトピックを足し、それぞれ回答を作ってノートにキーワードを書いていきました。 ノートに記された日付によれば、最初のノートは11月1日に作ったようです。
自分で足したトピックは、
- 世界遺産:富士山、平泉、小笠原諸島ほか、リストになかったもの全て
- 観光名所:伊勢神宮、高千穂、志摩、松江、伊豆、三陸復興公園、竜串海岸
- 年中行事:大晦日、お盆、重陽の節句、月見、豆まきなど
- 日本食:ラーメン、やきとり、トンカツ、お好み焼き、もんじゃ焼き、たこ焼き、せんべい、鍋料理
- 宗教関係:禅、仏教五戒律、神社のお参りの仕方、お寺のお参りの仕方、七福神
- その他:浮世絵、第二次世界大戦
基本、1テーマにつき1ページ。広いトピックについてはテーマを細分化し、数ページに分けました。 たとえば「日本の伝統工芸品」は「漆器・陶磁器」と「織物」に分け、「東京の観光地」は「築地」「浅草」「歌舞伎座」に分けました (※「皇居」「明治神宮」「東京スカイツリー」「東京タワー」については別に項目がたっていたので、それをそのまま使用)。
自分で足した観光名所は「Japan Video Topics」からの受け売りがほとんど。 四国の竜串海岸だけは、試験前日に、地方ごとの観光名所が出揃っているか確認したところ、四国だけ全く思いつかないことに気付き、慌てて調べました。 そこで気付いたんですが、四国だけ、世界遺産が一箇所もないんですね。
もともとリストには100あまりのテーマがありましたが、リストにあったもので、書き忘れたものもあり、 全部で120くらいのテーマについて書きました。「書いた」といっても、キーワードのみ日本語で記しただけの、ごく簡単なものです。 スペイン語の訳語がすぐに思いつかなそうな用語のみ、スペイン語を書き添えました。
書く内容は、ウィキペディアなど、主にネットでネタ探しをしました。Japan Video Topicsを見直したりもしました。
また、直前にやることではないと思いつつ、Japan Video Topicsを5つくらい、最初から最後まで ディクテで書き取りました。 スペイン語の説明の仕方を知りたかったからです。
もし「日本史でもっとも重要な人物」を聞かれたら坂本竜馬(カンペキJINの影響^^;)、 「最も重要な出来事」は明治維新、「最も重要な外国人」はマッカーサーと答えようと思って準備しておきました。
プレゼン対策(予行演習)
書き終えたテーマに関し、スカイプレッスンでネイティブの先生方に聞いていただき、予行演習をしました。 本番同様、プレゼンをしてから、先生の質問を受けました。でもここには二つの試練がありました。
まず、プレゼンの内容がつまらなすぎて、先生が眠そうだったこと。これは今から思えば笑い話ですが、当時はもう、笑い事じゃなかった。眠そうな人を相手に説明するのは、本当ーーーに辛かったです。
先生も仕事だから、なんとか頑張って聞いてはくれるんです。でもやはり人間、つまらない話をヘタクソな言葉で喋られると眠くなるんですね。だんだん目が死んでくる。あくびを必死にかみ殺しているのが一目瞭然で、眠そうな人を相手に説明を続ける辛さといったらなかったです。
でもそのおかげで、どうしたら興味を持ってもらえるか、先生の目を覚まさせておけるか、真剣に考えました。
まず、流暢であることが非常に大事だと気づきました。といっても、突然流暢に喋れるようになれるはずもないので、スラスラ言えないことは言わないことにしました。
また、細かい年号や名前の羅列は省く。たとえば「1868年に明治維新が起こって、時の15代将軍・徳川慶喜が~」というような説明だと、先生方の目は途端に死ぬ。
でも「約150年前にクーデターが起こって、ショーグンが~」と言うと、ショーグンって何?と食いついてきてくれる。「ショーグン」という日本語は外国人でもどこかで聞いたことがあり、エキゾチックに響くようです。 また明治維新を「Restauración Meiji」と表現してしまうと、イメージがわかないみたい。それよりクーデター「Golpe de Estado」のほうが、歴史が動いた感じが一発で伝わる。
- スラスラ言えないことは言わない
- 細かい年号や名前の羅列は省く
この二つを念頭に改良した結果、非常にシンプルになりました。こんなに単純な説明でいいのか?とも思いましたが、 難しいことを言おうとするとボロが出るので、これで行くことにしました。
次に困ったのが、先生の質問に答えられなかったこと。
たとえば観光名所について説明しようと思うと、こっちは一生懸命、その文化的価値や歴史的背景について調べるわけです。 アカデミックに。
ところが先生方の質問は、だいたい以下の三点。
- 入場料はいくらか
- ベストシーズンはいつか
- どうやってそこまでいくか
こういう質問は予想外で、調べていなくて慌てることが多かったです。
でも確かに、観光客がまず一番知りたいのはそこかもしれません。コストと時期とアクセシビリティ。 それが分かってからは、だいたいこの3つは調べてノートに書くようにしました。