2014年3月、NEトルコ語検定1級に合格しました。 試験中に飲食可能、試験後には「トルコ語Q&A」講座つきと、個性的で楽しい試験でした。
このページでは、2014年1月にトルコ語を始めてから、3月末にトルコ語検定を受けるまでの軌跡を書きます。
NEトルコ語検定とは
NEトルコ語検定とは、 「ニューエクスプレス トルコ語」(白水社)をお書きになられた大川博先生が、 同書の理解度を測る目安として、独自に開催されている試験です。
準3級から1級まで4つの級があり、一番上の1級でも、文法範囲は基礎的な文法事項の約半分、語彙も500語程度で、 問われることの内容は、他の語学検定の一番下の級くらいです。(※2022年現在、特1級が新設されています)
単語であれ文法であれ、「ニューエクスプレス トルコ語」に書かれていないことは出ないので、この本を真面目に読み込めば確実に合格できる試験です。
ただし、決して生ぬるい試験ではありませんでした。 語学検定の一番下位級といえば、「合格ライン6割」「選択問題中心」「時間たっぷり」が通り相場ですが、 NEトル検は「合格ライン8割」「書かせる問題が多く」「時間ギリギリ」。 しっかり到達度が試される試験でした。
ちなみにリスニングはなく、筆記のみ。
試験問題は試験後、回収されてしまうので、問題数ははっきりとは覚えていませんが、ザッと100問くらいあったと思います。 動詞活用など、スペルを書く問題も多かったです。 45分で100問ですから、「え~っと、何だったっけかな~?」などと迷っている時間はない。 問題を見たら瞬間的に答えが思い浮かぶくらいでないと、厳しいと思いました。
ただ、問題数が多いということは、一問の配点が少ないということ。 多少ミスしても他で救えると思うと、気がラクでした。 良くも悪くも番狂わせが起きにくく、合否が運に左右されにくい試験だと思いました。
ちなみにわたしが受けたときは、準3級から1級まで全部で5人。 そのうち合格者は3人でした。
級によらず、試験範囲のことがしっかり問われるようで、3級を受けられた方が、 「会話スキットを何度も読んできたけれど、難しくて、時間も足りなくて、全然できなかった」とおっしゃっていました。
受験者数が少ないので、すぐに採点が済み、試験の15分後にはもう結果が分かり、合格証明書が頂けました。 点数は99点でした(100点満点)。
結果を待つストレスがないっていいですね。 試験のあとには見直しの時間があり、そのあと「トルコ語Q&A」が行われました。 それまでトルコ語に感じていた疑問点を質問し、解決することができました。
合格証書は以下のような感じ。 カラフルでとても素敵。1級だけデザインが違うそうです。 他の級はまた違った柄の縁取りで、そちらもとっても素敵でした。
トルコ語を始めたわけ
わたしがトルコ語を始めたのは2014年1月。 2月出発のトルコツアーに申し込んだので、旅先で挨拶くらいは現地の言葉で交わせたらいいな、と思ったからです。 だから最初は「旅の指さし会話帳」など、家にあった本を眺めることから始めました。
でもいろいろな文例を眺めるうちに、なかなか推測のつかない独特な言葉のしくみがあるらしいことに気づき、 「トルコ語のしくみ」(白水社)を読みました。
そこに書かれていたのは、思いもよらない、今まで学んだことのある他のどの言語とも違う言葉のしくみでした。 その合理的なしくみに心打たれ、こんな言語があるのか!と驚いて、早くも旅行前からハマり、「旅行から帰ってきてもトルコ語を続けよう」と決めました。
NEトル検の存在を知ったのは、ちょうどこの本を読み終えた頃のことです。 試験まで2ヶ月半という期間が短期目標とするにはちょうどよいと思い、受験を決意しました。
2月に行ったトルコ旅行はごく普通の添乗員つき8日間のツアーでしたが、おかげさまでトルコ語を話す場もちょくちょくあり、楽しい旅行になりました。
挨拶だけでも現地の言葉でできると、旅行の楽しさはまったく違いますね。 ほんの1ヶ月やっただけなのに、行く先々で「トルコ語ができるんだ!」と驚かれ、喜んでもらえました。
試験前にやっこと
入門書のスキット多読
トルコ語にハマってからは、片っ端からトルコ語入門書やフレーズ集を読み漁りました。 試験の2週間前までは、とくに試験範囲である「ニューエクスプレス トルコ語」にはこだわらずにいろいろな本を読みました。
記録によれば、試験までに合計19冊読んだようです。 試験対策と思って読んだわけではなく、とにかくトルコ語を読むのが面白くて読んだのですが、結果的にこれが基礎固めになったと思います。
文法説明は基本的に飛ばし、主に会話スキットやトルコ語の例文だけ読みました。 意味が分からない部分だけ、辞書がわりに和訳を読んで解決しました。 文法説明は、文法がどうなっているのか知りたいときのみ、ピンポイントで読みました。
ニューエクスプレス トルコ語に絞る
試験の2週間前からは試験課題であるニューエクスプレス トルコ語一冊に絞って読みました。1月からの合計だと全部で6回読みました。 といっても、一度にすべてのページを読んだわけではなく、 「今回はスキット」「今回は文法」というように、なるべく違った読み方で読みました。なんせ飽きっぽい性格なので、同じ読み方を何度もすると飽きてしまうと思ったのです。
以下は、「ニューエクスプレス トルコ語」を読んだ読み方と、読み終えた日付です。
- 会話スキットを読む(1日24日)
- 文法説明を読む+練習問題(3月6日)
- 全体(文法説明以外)の書き取り(3月18日)
- スキットのディクテ+表現力アップの丸写し+書き取り(3月22日)
- スキットと表現力アップをシャドー音読(3月26日)
- 全体の読み直しと書き取り(3月28日)
同じことをするのでも、一度目は大変、二度目以降は比較的ラク。 回数を重ねるごとにどんどんラクになってきて、時間もかからなくなりました。
日本語を見ながらトルコ語を書いてみる書き取りの出来も徐々によくなり、3度目、4度目、6度目の書き取り達成度は、それぞれ以下のような感じでした。
3度目 | 4度目 | 6度目 | |
---|---|---|---|
会話スキット | 6割 | 8.5割 | 9割強 |
表現力アップ | 3割 | 7.5割 | 8割強 |
練習問題 | 7割 | 8割強 | 9割強 |
単語力アップ | 7割 | 8割 | 9割 |
巻末単語集 | 9割 | ―― | 9.5割強 |
文法説明の例文 | ―― | ―― | 7割程度 |
唯一、文法説明の例文の書き取りを忘れていて、試験の前日になって初めてやったので、あまり出来がよくありません。 当日間違えたのも、文法説明の例文に出てきたところでした。
動詞活用表
トルコ語活用表も作りました。母音調和が異なるタイプを10動詞選んで作りました。
- okumak (読む) u – 母音
- yürümek (歩く) ü – 母音
- aramak (探す) ı – 母音
- söylemek (言う) i – 母音
- duymak (聞く) u – 子音
- görmek (見る) ü – 子音
- almak (もらう) ı – 子音
- vermek (あげる) i – 子音
- yemek (食べる) e → i 交代型
- etmek (行う) t – d 交代型
たった10動詞作っただけで、「どんとこい、トルコ語活用」という気分になりました。 トルコ語は、時制と人称変化の組み合わせで、ひとつの動詞が何十通りにも変化するけれど、ありがたいことにその活用は意外と規則的なのですね。 思ったより簡単に覚えられ、案ずるより産むが易しでした。
テンプレートを以下に上げておきますので、もしよかったら、ご自由にプリントアウトしてお使いください(※画像の上で右クリック→「コピー」&好きなローカルフォルダーにペーストすれば、本来の画像サイズで保存できます)。
単語覚え
単語も活用も、読むだけでなく、実際に書いてみたのは、よかったと思います。 書いてみると、どこが分かっていて、どこが分かっていないのか、一目瞭然。 ただ読むだけだと、目が字面の上を泳いでいるだけで、頭に入っていないも多いからです。
ちなみに、巻末の単語集が初っ端から9割以上書けたのは、自分でも意外でした。 特に単語を覚えようと努力した覚えはないのですが、 「トルコ語単語集」が好きでよく眺めていたのと、 他の入門書でも似たような単語に触れていたのと、 付属CDの会話スキットや表現力アップをiPodで繰り返し聞いたのがよかったのかも。 iTunesの再生回数表示によれば、試験までに各課平均25回くらい聞いたようです。
まとめ
NEトル検には過去問もないし、事前にはどんな問題がでるのかさっぱり分からなくて不安でした。 だから、どんな問題が出ても確実に合格ラインの8割がとれるように、と思って一冊を繰り返しやりました。
おかげで入門書を一冊きっちり終える、という貴重な経験ができました。 このことに、たいへん満足しています。 こんなにしっかりと一冊の語学テキストを読み込んだのはたぶん初めて。 何かとても清清しい気分です。
ところで、この本には続きがあります。「ステップアップ トルコ語」で、同じ白水社から2019年に出版されました。登場人物も同じです。この本にも理解度を測る試験が用意されています。いつかこの本をしっかりとおさらいし、テストも受けようと思います。