ロシア語を始めてからというもの、ロシア語キーボードが欲しいなあとずっと思っていました。まだキリル文字はブラインドタッチができないから、文字を見ながらでないと打てないのです。
でもロシア語キーボードの購入を考えるうち、「ついでにアラビア語キーボードも欲しい。できればトルコ語も・・・」などと欲が出てきてしまい、収拾がつかなくなっちゃった。さりとて言語によってキーボードをいちいち変えるのは面倒だし。ウーン、困った。
そしてこの一件を懸案のまま迎えた年末。またロシア語が面白くなってきて、いよいよロシア語キーボードが欲しくなり、何が何でも今年中に手に入れたくなりました。暫定的でいいから、今すぐ欲しい!!
でもお金を払って買うとなるといろいろ吟味しなきゃだし、届くまでに時間がかかる。「家にあるものを使い、とりあえず一時しのきでいいから試作してみよう」と思いたち、ほんの試しに作ってみたら、あらま、満足のいくものができちゃった。なのでご紹介します。
自作 多言語キーボード
暫定的に作ったつもりでしたが、思いのほかうまくできたので、たぶんずっと使い続けることになると思います。ラテンアルファベットとキリル文字だけでなく、アラビア文字や、トルコ語・フランス語・スペイン語の特殊文字も入れ、完璧自分仕様、多言語仕様。わたしにとって、世界一使いやすいキーボードができあがりました。こんなキーボード、世界のどこ探しても売っていないと思います。
打ちにくいのでは?とかシールが剥がれるんじゃ?などという心配もありましたが、使い心地は上々です。タイピングの違和感、全くナシ。
もし将来シールがはがれてきたら、また貼りなおせばいい。でもおそらく少なくとも一年以上は持つと思う。すごくしっかり貼れています。一つ一つのキーが平坦なのが幸いしました。
多言語キーボードの作り方
製作時間は試行錯誤まで入れて2時間弱。試行錯誤にかけた時間を除くと1時間弱くらい? 材料は全て家にあるものを使ったので、一銭もかかりませんでした。
エクセルでキーボード表を作る
まずはエクセルでキーボード表を三種類作ります。三種類の文字を一つのセルに入れようとすると、並び順が勝手に変わってしまったりと、何かと面倒くさいので(特にアラビア文字が鬼門)。
セルの書式設定で、横位置を左詰め(インデント1)、縦位置を下詰めに設定し、薄い水色の枠線をつけます。文字の色はパッと目に入りやすいように赤。インデントするのは、あとで角を切り落とすからです。
セルの書式設定で、横位置を左詰め(インデント1)、縦位置を上詰めに設定します。言語ごとに色を変え、フォントの大きさは12ポイント。
セルの書式設定で、横位置を右詰め、縦位置を中央揃えに設定します。アラビア文字は読みづらいので、フォントの大きさは大きめの24ポイント。
同じ場所に印刷
作った三枚のエクセルシートを同じ紙に重ねて3回印刷します。文字同士が重ならずにうまく一つずつのコマに納まりました。
何度か試し印刷した結果、手持ちキーボードには少し大きすぎたようなので、どれも90%に縮小して印刷。
紙は普通のOA用紙を使用。印刷も普通モード。
コーティング
紙に耐久性を持たせるため、印刷した面を透明シートで保護します。
わたしが使ったのは、たまたま家にあったダイソーの簡易ラミネート用透明フィルム。
両面テープを貼る
紙の裏に両面テープを貼ります。両面テープの幅が足りない場合は隙間なく並べて貼ります。これもダイソー。
キーごとに切り離す
印刷しておいた薄い水色の線に沿って、カッターで切り離します。透明シート、紙、両面テープとその裏紙を4枚重ねのまま切ります。
なぜか横幅のほうが若干広かったので、横幅を気持ち狭める(目分量)。
タテに切って三つずつになったら、あとはハサミでチョキチョキするほうがラク。
角を1.5ミリくらい、ハサミで落とします。小さいので、角丸くんは使えない。全工程の中で、一番手間と時間のかかる地味な作業。
キーボードに一つずつ貼る
出来上がったシールを一つ一つのキーに貼れば、できあがり。
最初は全部黒で印刷しましたが、キーボードに貼って試しに使ってみたら紛らわしかったので、言語ごとに色を変えました。文字の大きさも、最初より大きめにしました。一度で完璧を目指すより、試行錯誤を重ね、様子を見ながら大きさや色などを微調整していったほうが良いようです。
外国語キーボードを手に入れる他のアイデア
外国語学習者のみなさん、キーボードをどうされていますか。アラビア語やペルシャ語、ヒンディ語やタイ語やロシア語、韓国語、中国語・・・。ラテンアルファベットを使わない言語も多いですよねえ。ここ半年、「みんな(とくにロシア語学習者)、キーボードどうしているのかなあ?」とずっと気になっていました。
でもいろいろ調べたら、多言語となると難しいものの、一言語であれば、学習言語のキーボードを手に入れる方法はいろいろあるようです。
学習言語のキーボードを買う
アラビア語やロシア語のキーボードは、お店の店頭では見たことがありませんが、ネットショップやオークションならそこそこ売られています。数千円で買えるようです。日本語キーボードに比べると割高ですが、まあ出せない価格ではないですね。
ただキーボード購入の欠点は、キーボードが複数あると場所ふさげなのと、切り替えが面倒なことでしょうか。
市販のシールを買う
自分で作らなくても、キーボードシールは市販されています。価格もたいてい数百円程度。キーボードを買うより安い。
但し、品質を確かめてから購入したほうが良いですね。以前、友だちにエジプト土産でアラビア語のキーボードシールをもらったことがあります。粘着力が呆れるほど弱く、早くも貼る前に1枚どこかへ行ってしまい、残りも貼った次の瞬間に剥がれ、全く使い物になりませんでした。
キーボードカバーにマジックで書く
キーボードの隙間にゴミが入らないよう、使用時にもかぶせたままにしておけるキーボードカバーが売っています。このキーボードカバーにマジックでデーヴァナーガリ文字を手書きするという力技を、大阪大学 外国語学部 他大学研究会ブログで読んだことがあります。
これを読んだのはかなり前ですが、なんてブリリアントなアイデアなんだ!と感動したのを覚えています。カバーを学習言語の数だけ用意すれば、カバーを掛け替えるだけで様々な言語に対応できる上、キーボードにゴミがたまらなくて一石二鳥。早速キーボードカバーを買いに走ろうと思いました。
・・・がしかし。よく考えたら、この手が使えるのはキーボードが白い場合のみ。うちのキーボード、黒いのでした。マジックで書いたって地が黒では読めない。あとキーボードカバーには様々なタイプや規格があって、選ぶのが難しそう。それにカバーは意外と値が張り、下手するとキーボード本体より高くついてしまいます。
自作シール
今回の自作シールの材料は、プリンター以外は100均にあるものばかり。安いのがまずはメリットです。
また自分仕様にカスタマイズできるのが嬉しい。たとえばわたしの多言語キーボードシールにはアラビア語の ذ のキーがありません。市販のキーボードであればこれは欠陥ですが、わたしにとってはそのほうが使い勝手が良いからつけなかったのです。自分の使い勝手に合わせて作れる。それも自作の利点です。
ただやはり手間はかかります。だから忙しい人には向かない。
それに、思ったような仕上がりにならないリスクもあります。たとえば、表面が平坦なキーボードならはがれにくいシールも、表面が指の形にくれているハイテクキーボードだとうまく乗らない可能性があります。どんな不都合が待ち受けているか、やってみるまでわからないきらいはあります。
合わせ技
こちらのブログは、キーボードカバーと自作シールの合わせ技。タイ文字のシールをキーボードカバーに貼っておられます。タイ文字のように文字数が多く、他の文字との同居が難しい場合、この手は救いの神になりそうです。今後、学習言語が増えたら、最終手段はこれかな、と思っています。
まとめ
結局思いのほか自作が上手くいき、これに落ち着きましたが、上に書いたように、他にもいろいろな方策があり、どれが一番良いかは、状況とニーズ次第でしょう。
ただ一つ言えるのは、いずれにせよ「入手を諦めなくて良かった」ということ。学習言語の専用キーボードを手に入れられて本当に良かったです。
ブラインドタッチができないロシア語は言うに及ばず、なんとかできるアラビア語やトルコ語もタイプミスが多く、キーで文字が確認できたらなあ、とずっと思っていました。「もっと練習してタイピングスキルを上げれば、専用キーボードなど必要ない?」とも思いましたが、とんだやせ我慢。専用キーボードがないと、そもそも練習しようという気にならない。手に入れて正解でした。本当に快適になりました。
わたし同様、学習言語のキーボードでお悩みの方の参考になれば幸いです。