多言語

おばさん、語学する

 昨日はわたしの誕生日でした。57歳になりました。

 わたしが外国語学習を始めたのは2005年。つまり15年前です。当時は「語学は大人になってからでは遅すぎる」と言われていましたが、フランス語を始めて1年で仏検2級が取れ「中年だってそこそこ行ける」との意を強くしました。

 自分だけではない。「中年から語学を初めても無駄ではないんですね! 励まされました!」というお声をたくさんいただきました。

 まあそうは言っても当時弱冠42歳。自分でももう若くはない気がしていたし、周囲からも「その歳で外国語を始めるとは、ご精が出ますねえ」みたいな微妙な褒め言葉(?)を受け取っていましたが、今から思うと充分若い。その歳で中高年の期待を背負っていたのだから、笑っちゃいます。今じゃ42歳という年齢は、まだ中年のうちに入らない気がします。

 それから15年経った今、本当に中高年の名に相応しくなりました。そのうちどこかでパフォーマンスが落ちてくるポイントがあるのではないかと思ってきましたが、最近は、ひょっとするとすでに曲がり角を曲がったかもしれないと思います。

 二、三年ほどまえ、更年期障害を経験し、一時自分でも怖くなるほど記憶力が低下しました。それは単語暗記云々のレベルではなく、一時間前自分がしたことを覚えていないというレベル。認知症の初期なのでは、と、けっこう怖かったです。

 集中力も同様。何かに夢中になって取り組むということがなかった。

 その後、他の更年期障害の症状改善とともに記憶力や集中力も戻ってきましたが、更年期障害前の状態に100%戻ったかどうかは分かりません。

中高年のハンデとアドバンテージ

 わたしが思うに、「中高年が語学を始めても無駄」というのは言い過ぎですが、「若い人と比べても遜色はない」というのも言い過ぎだと思います。まず聴力や視力が落ちている。それだけだって大きなハンディです。

 ただし、中高年ならではのアドバンテージがあるのも確か。それはざっくり言うと「人生経験」です。特に「自分という人間の御し方を知っている」のは大きい。

 いよいよ還暦の声も聞こえてきた今、今後は持てるアドバンテージを生かし、ハンデをうまくカバーする工夫がますます重要になってくると思います。

なんちゃって十二単衣から得た教訓

 幸い人生経験は今なお増えつつあります。つい先日も貴重な成功体験を積みました。派手になった着物をリフォームし、孫の撮影用になんちゃってベビー十二単衣を作ったのです。


 こういうの↓

 でも、こんなわけのわからないものの作り方なんてどこにも載っていませんから、既製品の写真を参考にしつつも(なんと既製品があった(笑))、寸法から縫い方から全て自己流。あーでもない、こーでもないと悩みつつ、縫っては解き、解いては縫いを延々と繰り返しました。

 どこをどう、どういう順番で縫ったらいいかわからない。もう分からないことだらけ。何度も投げ出しそうになりました。

 でも分からないことを一つ一つ解決して、一週間以上かけてなんとか完成にこぎつけた。それは大きな自信になりました。

 また、以下のような教訓も得ました。

  1. 時間を気にせず、気長に作業する
  2. 気に入らなかったら何度でもやり直す
  3. 取り返しのつかない失敗は極力回避する
  4. 試作品の作成を厭わない

 要は「試行錯誤前提の作業の進め方」を学びました。お手本がある場合は別ですが、道なき道を進む場合、一つステップ進めないことには次のステップが見えてこないこともある。そういう場合、一気に完成まで持っていこうとせず、引き返すこと前提で進むしかない。やり直しを厭わず、その一方で、やり直せないような失敗は避ける。生地にハサミを入れるときには、別のハギレで試作、その方法が上手くいくのかどうか確かめる。

 試作品の製作はモチベーションの維持にも繋がります。仕上がり具合が想像できると、完成を確信できるからです。完成にこぎつけられるかどうか分からない場合、「できる」という確信を自分に与えられるかどうかが勝負どころなのです。

 こうした経験は、語学にも必ずや活かせます。なぜなら語学はオーダーメイドだからです。同じ言語を学んでいても、人それぞれ目指すところは違う。必要とする語彙は100人いたら100人とも違う。そしてその自分ならではの語学は自分で作り上げなくてはならないのですから。

 学校や入門書、検定試験といったカスタムメイドのお手本に頼れるのは最初のうちだけ。結局どこかで自分なりの語学を探さなくてはならない日が来る。そうなったら試行錯誤するしかないわけです。決められた課題をこなしていくのとは違い、時間が読めない。自分の進む方向性が合っているのかも分からない。そんな中、一つやってみてダメなら別の道を探し、ジタバタしながら進むしかない。他のことで経験した試行錯誤がここで活かせるわけです。

おばさん、語学する

 このブログでも何度か紹介していますが、「おじさん、語学する」という本があります(過去記事参照)。これまで語学なんてやったことのない中高年のおじさんが、フランス語しか話せない4歳の孫と会話したい一心でフランス語を学ぶお話です。

 おじさんと同年代、もしくはおじさんの年齢を超えたかもしれない今、改めてこの本の「おじさん」に共感します。

 数え上げればハンデはいろいろあるかもしれない。でもそんなことどうでもいい。ただ望みのままに進むのみ。自分の持てるものを最大限に生かして。

 わたしは、自分の望みを実現したい。そして、望んだことはきっと、なんとしてでも実現するだろう。―――そんな信頼が、自分に対してあります。そう信じられるのは、今回も、なんちゃって十二単を途中で投げ出さず、最後までちゃんと作り終えられたからです。

 時間は膨大にかかるかもしれない。人と比べたらいろいろイマイチかもしれない。でもこれは競争じゃない。ただわたしは自分が望むことを自分なりに実現できればそれでいいのです。

誕生日の食卓

 誕生日のお祝いに家族がマルタ料理を作ってくれました。

テーブルセンターはマルタで購入
マルタで買ってきたドライフルーツとナッツを使ったケーキ
マルタで買ってきたナッツを使ったパスタ
マルタの名物アリオッタ(ガーリックの効いた魚介のスープ)
マルタの塩を使用
パスティッツィ
これを家庭で作るのは無理だと思っていました
こちらのレシピを参考にしたそうです
タイトルとURLをコピーしました