トルコ語のくどさが好きで「しつこい表現」を集めてノートにメモしています。たとえばこんなの:
boş oda olup olmadığını 空室があるかないか
トルコを旅する会話 p.24
pazara gitmek isteyip istemediğini 市へ行きたいかどうか
トルコ語で話しましょう p.44
yaz gelir gelmez 夏が来るやいなや
CDエクスプレス p.111
İnsandan İnsana göre değişiyor. 人によりけり。
dmmの先生方
kim ne derse desin 誰がなんと言おうと(言わせておけ)
トルコ語文法読本 p.91
日本語だと「あるかないか」「来るや否や」のように、肯定と否定部分を対比させますが、トルコ語は動詞と否定の結びつきが強いからか、動詞をしっかり二回重ねる。キュート^^
それどころか、soru sormak(質問を問う)なんて言う言い方さえある!
重複を嫌うスペイン語
逆に、スペイン語は重複を嫌います。トルコ語のように「質問を問う」なんていう言い方をしようものなら、間髪を入れず先生に直されましたっけ。
× preguntar una pregunta (質問を質問する)
○ hacer una pregunta (一つ質問をする)
または
○ preguntar una cosa (一つ質問する)
と言いなさいと。
スペイン語はもう、
× entrar dentro de la casa (家の中に入る)
× salir afuera de la casa (家の外に出る)
× Subir arriba (上に登る)
× bajar abajo (下に降りる)
でさえダメ。理由は「外に入ったり、下に登ることはできない」から。だからこれは重複表現(redundancia)だというわけです。そして「こんな言い方をするのは子どもか無教養な人だけ。グアテマラにもこういう教育程度の低い人が多くて困ってるんだ」とくる。「いったい何を困ることがあるんだ、通じりゃいいじゃん、しかもこちとら外国人なんだからよー」と思わないでもなかったですが、とにかくこういう重複をすると、老若男女を問わず、どの先生にも必ず直されるので、けっこう気をつかっていました。
ちなみに「日本語でもそういう間違いって、ない?」と聞かれて挙げたのが、
頭痛が痛い (me duele el dolor de la cabeza)
これウケました。メッチャ受けた。若い男の先生だったのですが、これを聞いた瞬間噴き出し、自分で言ってみてまた噴き出し、数分笑い転げてました(笑)。
アラビア語の重複表現
アラビア語にも独特の重複表現があります。動詞に動名詞を重ねて意味を強調します。
- شرح شرحًا (説明に説明を重ねた)
- حزن حزنًا (嘆きに嘆いた)
- فرح فرحًا (喜びに喜んだ)
後ろに形容詞を置き、程度や様子を補足することもできます。
- فرح فرحًا شديدًا (激しく喜びに喜んだ)
- نام نومًا طويلاً (長いこと眠りに眠った)
- استقبل استقبالاً حسنًا (温かい歓迎で出迎えた)
この言い方を使うと「実にアラビア語的だ!」と大喜びしてもらえるので、使えるチャンスを虎視眈々狙ってしまいます(笑)。