2018年10月、ロシア語能力検定3級を受検し、合格しました。
得点は以下のとおりでした。
- 文法 95/100点
- 露文和訳 49/50点
- 和文露訳 46/50点
- 聴取 50/50点
- 朗読 35/50点
- 総合点 275/300点(得点率: 91.7%)
このページでは、前年の4級合格から3級受検までの一年間にロシア語に関してやったことを書きます。露検3級の受検をお考えの方の参考になれば幸いです。
受検を決心するまで
2017年の秋に4級に合格したあと、入門書の読み直しをしました。 あとNHKのラジオ講座「まいにちロシア語」のバックナンバーを順次手に入れ、入門編だけ読みました。
NHKのラジオ講座は年度によって講師や内容が異なるのですが、同じ「入門編」という名前でも難易度は千差万別。比較的分かりやすい講座もあれば、難しくて読む気にならない講座もありました。
比較的読みやすかったのは、
- 2008年新作 文字からゆっくり カタツムリの初級編(講師:黒田 龍之助)
- 2009年新作 ゆっくりじっくり基本編(熊野谷 葉子)
- 2010年新作 気軽に話そう 単語から始める基本編(柳町 裕子)
- 2013年新作 繰り返しでマスター!文法の基礎固め(講師:匹田 剛)
です。気に入って、それぞれ何度も読みました。
2017年内はけっこうロシア語に燃えていましたが、2018年に入ってから他のことに興味が移って完全に失速、しばらくはロシア語に全く触れませんでした。まったくやる気が起きず、春の露検受検も見送りました。一応露検3級の過去問もやろうとはしてみたものの、まったく歯が立たず、ちょろっと見ただけで諦めたのです。
その流れが変わったのは7月。 ぎっしりと書き込みがある中古のNHKテキストを買ったことです。
- 2016年新作 千里の道も一歩から(講師:オレーグ・ヴィソーチン)
実はこの講座、すでに同じテキストを持っていました。でも難しくて本棚に寝かせっきり。一度も読んでいませんでした。
でもその書き込みになんだか励まされる気がして、読んでみました。
そしたら読めた! 最後まで!
難しかったですけどね。本当ーに難しかった。でも三日三晩かけてなんとか最後まで読み通しました。
この講座、動詞活用はほんのちょろっとで、ひたすら格変化です。最初の30課まで、なんと一つも動詞が出てきません。それでも会話になっているんです。ロシア語って、動詞を使わずにこんなにいろんなことが言えちゃうんだ、と目からウロコでした。
これが面白かったので、またロシア語をやってみようかという気持ちになりました。ふと思い立って露検3級の検定問題集の文法問題をやってみました。4級受検のときにも使った『ロシア語能力検定試験 合格への手引き―3級・4級対策問題集』です。
するとなんと、7割以上できました! 特に格変化の出来が良く、8、9割できました。もうびっくり!
「ただ一度NHKテキストを読んだだけでこんなにできるようになるのなら、なんとかなるんじゃない?」と思い、秋にはロシア語検定を受けようと決めました。
問題集と過去問
10月の露検を受けると決めてからやったのは、上でも書いた 対策問題集と過去問だけです。
この対策問題集は過去問より易しめの問題も収録されているところがよかったです。もし7月に問題集ではなく過去問をやっていたら、できなくてくじけていたかも・・・。
特に良いなと思ったのは、移動動詞の練習です。文法の最後の大問は毎年移動動詞の穴埋めですが、これはとても難しい。正解にいきつくまでに4ステップあるからです。
- 状況に見合った移動動詞を選ぶ
- 定動詞か不定動詞を選ぶ
- 時制を変える
- 人称変化をする
この4段階のどこかで一つ間違うと、正解に行き着きません。
でもこの問題集はステップバイステップ、まず定動詞と不定動詞のセットを書いて確認し、そのあと二択からどちらかを選び、 最後に時制は現在形限定で人称変化をする、という感じで良かったです。
これだけ気にしなくてはならないステップがあると、間違えてもどこで間違えたのか、考えるのもイヤで投げてしまいがち。一気に正解を導き出そうとぜず、 一つ一つのステップを丁寧に積み上げていけばいいんだ、この問題集で教わった気がします。
しかし移動動詞は難しい。 たぶん3級文法問題の一番の鬼門はここだと思います。
そこで、以下のような表をエクセルで作り、テンプレートを作りました。
「座る」と「座っている」、「横たわる」と「横たわっている」の違いなども混乱してしまうため、以下のような表も作りました。
もしよかったらお使いください。 それぞれ画像の上で右クリックすると、保存できます。
過去問は中古も含め11回分入手してあったので、8月から10月6日の試験まで、ヒマを見つけてやりました。 以下のような進捗表を作り、やる気のするところから埋めていきました。
文法や聴取は自己採点して点数を記しましたが、露文和訳や和文露語、朗読は自分で採点できないので、 最初にやった日付を書くにとどめました。(朗読で〇が記入されているのは、まだ日付を書く習慣がなかった最初の頃にやったところです)
ご覧の通り、日付を見ると、けっこうムラがあります。やるときは毎日やるけど、やらないとしばらくご無沙汰、みたいな(笑)。まあしょうがない、勉強ってそんなもんだと思います(え、わたしだけ?)。
ムラはありましたが、結局試験当日までに3回ずつこなすことができました。
苦手の克服
朗読が苦手な理由
ところで、最後まで苦手意識を感じていたのが、朗読です。3級の朗読は4級のときのように力点が振っていないので、すごく不安でした。
力点の振っていない文章は読みたくない。朗読問題にはそれまですべて自分で力点をふって読んでいました。
でもそれだと、力点を振っていない文章を読む練習にはならないですよね。それは自分でも分かっている。でも力点の振っていない文章は読みたくないし・・・。
苦手って、できないと思うから余計に避けたくなるんですよね。できない自分を見たくない。だからやらない。だから克服できない。
そんなわけで、試験のほんの数日前まで、グダグダしていました。でもこのままでは朗読で落ちると思い、最後の2日くらい、付け焼刃で対策しました。
簡単なものを読んでみた
まず、3級の朗読問題は知らない単語がけっこうあったりして難しいので、 もっと簡単なものを読むことにしました。
まずは過去問の作文の模範解答を読んでみました。 知らない単語はあんまりないし短いし、朗読用のテキストより少し平易。それにすでに3回やって内容をよく知っているのもよかったと思います。
それでも力点の位置があやふやだったり、有声音化や無声音化を忘れてしまったりする。そういうことのないように、力点の位置を調べ、時間は気にせず、ゆっくり丁寧に、正確に読むようにしました。 但し、力点なしの文章に慣れるため、力点は文の上に直接書き入れず、分からなくなったときにすぐ見られるよう、ページの端に力点つきの単語をメモっておきました。
朗読問題だと、与えられた分量を3分以内に最低一度は読み終えなくては、と思って焦りますが、これは練習と割り切り、余計なプレッシャーを感じることなくやりました。
一回分につき何度か読み直し、11回分終えました。といっても一回分はせいぜい1~2分程度。力点の位置を確認する時間を除くと、読んでいる時間はほんの一時間くらいだったと思います。
もっと簡単なものを読んでみた
そのあと4級の問題を読みました。6回分の過去問がまだ取ってあったのを使いました。朗読用の問題は力点が振ってあるので一度だけさらっと読み、和訳問題を読みました。
それで気づいたのですが、4級の和訳問題と3級の作文問題ってだいたい同じくらいの難易度なんですね。力点が振ってないので、4級の朗読用の文章よりはちょっと読みづらい。でも3級の朗読用よりは易しく、ちょうどいい練習になりました。
あと、4級の過去問で完全なロシア語文になっているところは一通り読みました。 具体的に言うと、文法問題の一部と作文の模範解答です。 これも力点が振っていないので、3級の朗読の練習にはぴったりでした。これはレベル的には和訳問題よりさらに一段平易でした。
力点なしで過去問に挑戦
そのあといよいよ3級の朗読の過去問に挑戦。 テキストに書き入れた力点は全部消し、力点なしで読みました。聴解問題のテキストと和訳の問題文も一通り読みました。 聴解問題の難易度は朗読問題と同じくらい。和訳もだいたい同じくらいと思います。すでにやった問題だから内容は知っているけれど、声に出して読むのは初めてだったので、良い練習になりました。
文章の難易度まとめ
文章の難易度を纏めると、
3級和訳問題 ≧ 朗読文 ≒ 聴解テキスト > 作文模範解答 ≧ 4級和訳問題
という感じだと思います。とんだ付け焼刃でしたが、力点のない文章に慣れるのに役立ったかな、と思っています。
当日の様子
会場は前回の4級のときと同じ、横浜・桜木町にあるロシア語教室でした。受験者は20名前後。4級のときと違い、約3分の2が女性でした。年齢層も4級のときより若干上がっていたような気がします。
試験は筆記(文法、露文和訳、和文露訳)120分、休憩10分を挟んで聴解15分、続いて朗読約10分でした。
筆記試験
筆記試験は問題用紙6ページ、解答用紙6ページ。3級は4級に比べると、少し時間的余裕がある気がしました。
当初は以下のような配分を考えていました。
- 文法 20分
- 露文和訳 20分
- 和文露訳 60分
- 見直し 20分
でも実際はそんなにかからず、以下のような配分となりました。
- 文法 30分
- 露文和訳 20分
- 和文露訳 20分
- 見直し 50分
しかし見直しって大事ですね。特に文法問題。いつもより時間をとって注意深く解いたつもりでしたが、見直したら間違いがあるわ、あるわ・・・。4、5箇所直した気がします。
和訳、露作文はそれぞれ二問ずつ。いずれも完了体と不完了体を訳し分けることが、例年以上にはっきり問わている気がしました。内容も面白く、訳してて楽しかったです。
聴解試験
聴解試験は4級にはなく、今回が初めてだったのでドキドキしました。ロシア語の長文を聞き、その内容についての設問(紙にロシア語で書いてある)に答える形式です。
設問は10問。すべて3択。長文の内容に一番合う答えにマルをつけます。
3分程度の長文がロシア語で続けて3回読まれます。設問を予め読む時間はありませんが、長文を読んだ後、解答する時間が5分与えられます(←ココ重要! わたしはこれを知らなくて、過去問は全て長文を読みながら解答していました)。
答えにマルをつけるのはいつでも構わないそうです。でも長文を耳で聞きながら設問を読むのはしんどいので、わたしは紙の余白に聴き取った内容をメモしながら聞き、読み上げが終わってからゆっくり設問を読んで解答しました。
ちなみに設問は紙2枚に渡っていて、過去問だと見開きで設問を全部一度に見られますが、本番は肩にホチキス止めなので、半分ずつしか見られません。そこが地味にイラッとしました。
朗読
朗読は昨年の4級のときと同様、2部交代制。受験番号が偶数か奇数かによって試験時間が分かれていました。 朗読の録音も、昨年同様、ICレコーダーでした。
最初に各自それぞれお試しで受検番号と名前を録音し、動作を確認してから本番開始。
しかしここでハプニングが。一人、ICレコーダーの調子が悪いらしく、お試しが録音されなかったようです。別の機材に取り替えてもらっていました。
本番は、ロシア語の文章が綴られたA4の紙が配られ、5分の準備期間が与えられます。その間、紙にエンピツで力点の位置やメモなどを書き入れてもいいことになっています。
その後、3分間の録音時間があります。
「朗読文を何度読んでも構いません。一番良いところを取って採点します」という心強いお言葉が、今回もありました。
わたしはこういう機械モノが苦手なので、とにかくボタンを押し間違わないようにと、予め録音ボタンに親指をかけ、「はじめてください」の合図を待ちました。
合図と共に録音ボタンを押し、まずは受検番号と名前を言って、マイクに向かってロシア語の文章を読み始めました。
1回半くらい読めたところで3分経過。試験終了。まあまあ読めたかなー、と思いました。
ところが・・・。
ちゃんと録音できたか確認したところ、「ファイルがありません」と出てしまいました。
「ええっ! ファイルがないってどういうこと?!」思わずパニクって大騒ぎ! すると試験官がとんできて、何かちょっと操作してくれたら、無事受検番号と名前が自分の声で流れてきました。
安心した矢先、ロシア語の文章が吹き込まれているか確認してもらうと、そのファイルがない(?)ようでした。
わたしには操作が分からないのでなんとも言えないのですが、とにかく吹き込んだはずのロシア語音声が確認できない模様。
カーーーーーッと頭に血が上り、大パニック!! 「なぜーーーーっ!」と思い、大騒ぎしてしまいました。
しかし結果的には大騒ぎして正解でした。なぜならば、やり直しさせてもらえたからです。
もちろん準備期間の5分はナシ。でも録音の3分を別室でやり直しさせてもらえました。
確認すると、今回はちゃんと吹き込めているようでした。
一体どうしてこんなことが起きたのか分かりませんが、 とにかく無事やり直しをさせてもらい、実際こうして受かったので、「終わりよければ全てよし」でした^^。
最初のお試しのときにも吹き込めてなかった人がいたことを思うと、けっこうこういうハプニングもちょくちょくあるのかもしれません。もし吹き込みの確認をして、ファイルが確認できなかった場合でも諦めず、試験官に言ってもう一度やり直しさせてもらうと良いと思います。 せっかくの受検料と努力が勿体ないですからね!
まとめ
これまで様々な語学検定を受けてきましたが、その中でロシア語検定はかなりお気に入りのほうです。どこが好きって、問題が好きです。
ほとんど記述式の問題なので、3級という名前の試験にしては難しいですが、その分、ちゃんと実力が試されている気がする。運が入る余地があまりなく、運に任せるより、真面目に学習するほうが早い試験だと思います。
次回は2級を受けられたらいいなと思っていますが、まだまだ2級には程遠い。いつかは分かりませんが、いずれ必ず受け、受けたらまた体験記を書きたいと思います。
公式データを元に、エクセルで各種グラフを作成しましたので、ご参考までにご覧ください。