2016年5月、DELE B1(中級)を受検し、合格しました。DELEの受験は2012年11月にA2を受験したのが最初、今回が二度目でした。
DELEはスペイン文部省認定のスペイン語能力試験で、下からA1、A2、B1、B2、C1、C2の六段階に分かれています。 日本で受験できるのは5月、8月、11月の年に三回で、一度に複数の級の併願はできません。
以下は、ネット上で確認したわたしの得点です。 合格ラインは100点満点換算で60点、わたしの得点は80.32点でした(読解・作文36.77点+リスニング・口頭試験43.55点)。
DELEは、グループ1(読解+作文)、グループ2(リスニング+口頭試験)でそれぞれ30点以上取らないと、 全体で60点取れていても、合格できません。全体の点数はまあまあでしたが、それは満点近い口答試験が引き上げてくれた結果であり、下の表でお分かりの通り、科目別に見ると、ちょっと心もとない科目(作文)もあります。
このページでは、口頭試験以外の3科目の本番実録と、試験対策について書きます。口頭試験の本番実録については以下のページをご覧ください。
当日の様子
まずは当日の時間割から。
- 集合 : 8:30
- 読解 : 9:00-10:10 (70分)
- 聴解 : 10:15-10:55 (40分)
- 休憩 : 10:55-11:25 (30分)
- 作文 : 11:25-12:25 (60分)
- 口頭試験 : 各自それぞれ (当日の午後または翌日)
読解と聴解(リスニング)はつながっており、退出は不可でした。
読解、リスニング、作文の受検会場は東海大学代々木校舎4号館でした。ここ良かったです。女子トイレがたくさんあり、トイレが全然混みませんでした。
但し、井の頭線からも小田急線からも地下鉄の駅からも、どこから歩いても10分かかるという陸の孤島みたいな立地。しかも口頭試験の行なわれる麹町のセルバンテス文化センターへは、どう行っても二回は乗り換えがあるという・・・。
受験者数は、詳しくは覚えていませんが、B1の受験者用教室が二つあって、全部で百数十人だったと思います(大雑把^^;)。
受験者層は見事に若者ばかり。同世代は見かけませんでした。
「中高年友の会」通訳案内士は言うに及ばず、西検も3級はけっこう中高年がいましたが、DELE B1は若者の牙城。級が上がっても、この状況は変わらないんだろうか?
もしかして、リスニングがあるせいかも。よく考えたら、中高年友の会(通訳案内士)はリスニングがないんですね。西検3級にもない。だからこの二つは中高年受験者が多いのかも。
中高年はリスニングがあると、受験を敬遠するのかもしれません。わたしもリスニング、すっっっっごくイヤですもの。一般に考えられているほど「語学は若くないと」とは思いませんが、発音とリスニングに関しては、やはりハンデを感じます。
今回も、試験を待っている間に、周りの若い女性が「問題は作文よね」と話しているのを聞いて、「えっ?!」と思いました。わたしはとにかくリスニングが心配だったので。 若者にとってはあのリスニングは問題じゃないんだー。なんて羨ましい・・・。
ちなみに男女比は、女性のほうが男性より若干多いかな?くらいの感じでした。
読解・リスニング
読解とリスニングは、時間は分かれていますが、冊子は同一で、A2のとき同様、読解の時間にリスニングの予習ができました。つまり、選択肢を読んでおくことができた。
今回は、読解の70分のうち最後の5分間を、リスニングの予習にあてました。実はその時点で読解を全部解き終えてはいなかったのですが、気持ちが焦っていてまともに長文が読める精神状態ではなかったので、敢えて読解を切り、リスニングの予習を優先させました。
読解は割と得意で、あまり心配していなかったのですが、今回まさかの大ブレーキ。最初の大問で混乱し、時間を食ってしまったのです。逆にリスニングは、合格点を割ることもあったので、本当ーーーーに不安でしたが、本番では、先に選択肢が読めたおかげで、気分的にだいぶラクでした。
あ、そうだ。ちなみに今回は、試験問題が一色刷でした。数年前までカラー印刷だったのに。二色刷ですらなく、いきなりモノクロ。やっぱりスペイン、経済状況が厳しいのかなあ?
ま、別に一色刷で全然オッケーですが。そんなところに無駄に金をかけているようではスペイン、経済危機から立ち直れまいて。
作文
A2のときと同様、作文は2問課されました。但し、制限時間も字数もA2より多かったです。
今回与えられたテーマは、以下の二つでした(原文は全てスペイン語)。
1問目
パーティと最終試験に関する相談メールへの返信(100-120語)。但し、以下の要件を満たすこと。
- 挨拶
- パーティを忘れてはいないと表明
- パーティの場所、時間、内容の提案
- 最終試験について、相手の悩みの解決方法を提示
- 最後の挨拶
わたしの作文
Hola ¿qué tal?, Gracias por tu mensaje. No te preocupes, me acuerdo de la fiesta. Pienso que sería mejor celebrarla desde las 11:00 de la mañana en la sala de la universidad y comer juntos. ¿Por qué no pedimos que cada uno traiga algo de comer o beber?, porque cuesta pocomenos ende esta manera. Podemos preparar unos juegos para disfrutar. Voy a ocupármelos. En cuanto a los examenes, estoy estudiando poco a poco pero no puedo concentrarme tampoco. Si tú quieres, ¿por qué no vamos a la bibloteca y estudiamos juntos? Allí podremos aprovechar la tranquilidad. un beso, Usagi(102語)
(訳):やっほー、元気? メールありがとう。でも心配しないで。パーティのこと、ちゃんと覚えているから。午前11時から大学のホールで開き、昼食を一緒に食べる感じにしたらいいと思うわ。食べ物飲み物は持ち寄りにしない? そのほうが安く上がるし。お楽しみにゲームを用意するといいかもね。そこはわたしに任せて。試験についてだけど、わたしも少しずつ準備を進めてはいるけど、集中できなくって。もしよかったら、図書館へ行って一緒に勉強しない? あそこなら静かだから。ではでは~。 うさぎ
※赤字の部分は、間違えて書いたところです。
2問目
以下の二つの課題から一つを選択: (130-150語)
■ 最初に就いた仕事について
- 仕事の内容
- 仕事を始めた時期
- その仕事についていた期間
- その仕事の利点
- その仕事の欠点
- エピソードを一つ
■ 大学生活の改善点 (選択しなかったので、詳しい要件は記憶になし)
わたしの作文
Empecé a trabajar cuando era joven. Trabajaba como dependiente de una tienda de ropa porque me gustaba mucho el estilo de esa tienda y quería recomendarlo a otras personas. Estuve trabajando allí por 4 años hasta que me casé. Mis compañeras eran chicas jóvenes como yo. Nos llevóbamos muy bien. Ellas eran muy elegantes y me aconsejaban sobre mi ropa. Las clientes eran mis amigas también. Me gustaba mucho darles consejos sobre la moda. El jefe era también muy amable. Me ponía triste sólo cuando nuestros productos no se vendían bien. Una vez organizamos una fiesta decon las compañeras después de una rebaja. Es que durante de las rebajas, estóbamos muy ocupadas así que después podíamos tener unos días de descanso. En la fiesta, ¡nos convertimos en modelos! En esa época, nos ocupóbamos en la moda. (152語)
(訳):若い頃に仕事を始めました。あるブティックの店員として働いていました。その店のスタイルがとても好きで、他の人にも勧めたかったからです。結婚するまで4年間、そこで働いていました。同僚もわたしと同様、若い女の子でした。仲は良かったです。みんなお洒落で、着こなしに関してよくアドバイスをくれました。お客さんとも友達。お客さんにファッションアドバイスするのが好きでした。上司も親切。落ち込むのは、店の商品があまり売れないときだけでした。一度、バーゲンセールの後、店員同士のパーティを企画したことがあります。バーゲン期間中は忙しいので、それが終わると、2、3日休みがもらえたんです。パーティではみんなモデルに大変身! 当時はファッションのことで頭がいっぱいでしたね。
どちらもわりあい忠実に再現できていると思います。人から聞いたこと、読んだことはすぐ忘れますが、自分が言ったこと、書いたことって意外と忠実に覚えているんですよねー。
自分で言うのもナンですが、いずれも、細かいミス(赤字)はあるものの、まあまあよく書けたんじゃないかと思います。
但し。 2つ目の作文、ワード数が、指定より2語多い・・・!!
実は、スカイプレッスンのどの先生にも「語数は絶対に守れ」と口をすっぱくして言われていたんですね。だから最初は、下書きの紙に1行10コの升目を書き、ひとマスに一語ずつ埋めていって、書き終えたらそれを解答用紙に清書する、という作戦を考えたのですが、下書きに書くと、細かいところが気になって、推敲してしまうんですね。で、推敲しているうちに時間が足りなくなってしまう。
そこで試験直前は、おおよそ一行に10ワードと決め、ぶっつけで清書用の紙に書くことにしました。 その頃には100語、150語っておよそどれくらいの分量かが感覚的に分かってきて、綿密に数えなくてもパソコンに打ち込んで語数数えにかけると、多すぎず少なすぎず、ちゃんと指定の語数に収まっていた。これには自分でも感心しました。
だから当日もそうしたんだけど・・・。やっぱりちゃんと数えないとダメですね。
作文の点数が芳しくなかったのは、語数を守らなかったせいかも知れません。語数が守れなかったら即失格、というほど厳しくなかったのは幸いでしたが、これから受ける皆様方には、語数はストリクトに守ることを、お勧めいたします。
しかし、語数厳守とか、意外と細かいなあ、スペイン人!
ちなみに、1つ目の作文はもとより、2番目も内容はウソ八百です。空想。創作。
作文は創作すると最初から決めていました。本当の体験を書くのは難しいので。 だって本当の体験って、説明が難しい場合があるし、なのに本当のことだと思うと、なぜか正確に描写したくなる。 本当にあったことに一部分ウソを混ぜるのって後ろめたいじゃないですか。だから最初から架空の設定にしました。
空想なら、要件に当てはまるよう、適当にでっち上げ、知らないボキャを避けて、自由に創作できる。だからこの手の作文は絶対、空想に限ると思います。
ちなみにDELEの作文ってボールペンで書くのですが、修正テープ持込可でした。
試験対策について
通訳案内士をスペイン語で取得して以来(体験記はこちら)、スペイン語には2年間ほぼご無沙汰でした。
でも1月にスペイン旅行へ行ったのがきっかけで再開。3月末にDELE B1受験を思い立ち、4月に軽い準備から入り、5月に入ってからは、DELEに照準を合わせ、本格的に対策しました。
過去問と、対策問題集(EDELSA)をやりました。
以下のような表を作って、やったところから日付と点数を埋めていきました。DELEは一回一日がかりの試験なので、18回分の過去問と8回分の問題集を20日で終えるのは、かなり大変でした。
以下は、過去問の出来具合と、やった日付です。(過去問は、無料公開されているページがあったのですが、2022年現在、公開されていないようです)
表をご覧いただくと分かるとおり、過去問はけっこういい点数が取れています。 実は、過去問といっても、わたしがやったのは、旧過去問。 実は数年前、DELEは内容や形式がガラッと変わり、 難易度が以前よりだいぶ上がったのです。
現在のB1が難しすぎると感じられる場合は、まずは旧形式の過去問でウォーミングアップすると良いと思います。
こちらの旧過去問はテキストのみの公開のため、リスニングはDMM英会話のメキシコ人の先生(スペイン語ネイティブ)に読んで頂き、解答しました。
すっかりご無沙汰のスペイン語で、リスニングを短期間にB1のレベルまで一気に戻せたのは、DMM英会話のメキシコの先生方のおかげです。DELE試験後も、メキシコの先生方とはよくスペイン語でおしゃべりしています。
DMM英会話の利点は何より、月謝が安価なこと。もともと英会話サービスなので、スペイン語に絞ってがっつり学びたい人には向きませんが、 様々な言語を母語とする世界中の若者と話せるので、スペイン語だけでなく、多言語に触れたいという人にはうってつけのサービスです。
一方 対策問題集EDELSAは だいたい本番と同じ難易度でした。
こちらはCDつきだったため、リスニングは自分でやりました。作文の添削と口述試験対策はスパニッシュオンライン(略称:SOL)に入会してお世話になりました。
SOLのいいところは、DELE対策のできる先生が10人くらいいらっしゃることです。 先生方も同じEDELSAのテキストをお持ちで、やりたいページ数を指定するだけですぐ対応していただけるので便利でした。 非常に有意義でした。
DELE対応の先生方のレッスンを一通り受講し、その中から気の合う先生お二人(グアテマラ人とスペイン人)に絞り、繰り返しお世話になりました。そのうちのお一人(スペイン人)はDELEの試験官の資格をお持ちで、一回25分とはとても思えないほど、ものすごく内容の濃いレッスン。直すべきところをきっちり指摘していただきました。スペイン人の先生はレッスン単価が高いのですが、それだけの価値はありました。
今はSOLは休会していますが、口述試験で満点近い点数をいただけたのは、ひとえにSOLの先生方のおかげだと思います。今後、DELEの上位級を受験することがあれば、またSOLにお世話になろうと思っています。
最後の二週間は、我ながら頑張りました。DMM英会話とSOLを掛け持ちし、両方あわせると毎日2~3時間、スペイン語で喋っていました。DMM英会話ではそれまでに溜め込んだレッスンチケットをここぞとばかり使いまくり、スペイン語に一点がけしました。SOLでも追加チケットパッケージを購入し、EDELSAをやってはレッスンで披露、非常に忙しかったです。
DELEは口述試験があるので、なんらかの形でネイティブと喋るチャンスを作らないと合格はなかなか難しいと思います。一ヶ月受講するだけでも、だいぶ違うと思います。
スペイン語のスカイプレッスンに関しては、以下のページに纏めましたので、ご興味があればご覧ください。
口頭試験実録は以下のページにて。