Essay  きりんの旅ヒント

【 マナ時間 】

人間の時間感覚って不思議ですね。
楽しい事をやっている時は時間がものすごく早く過ぎてしまうし、 何かを待っている時の時間の経つのが遅い事といったら。
時間っていうのは、絶対的なものとして存在している様だけど 実は相対的なものかもしれません。

そして、個人の時間感覚だけでなく、そこに存在している時間の流れというものもあります。 フィジーのマナ島にあるマナ時間はまさしくそうした時間です。

フィジーのナンディ空港に着いた時はそれ程感じませんでしたが、 マナ島について船から下りると出迎えの人達の陽気な事といったら。
素敵な歌と笑顔に向かえられてとてもハッピーは気持ちでしたが、 それだけではありませんでした。何かがいつもと違う。
もちろん旅行だからいつもと違うのは当たり前かもしれないが、 今まで訪れたどことも違う、なんとも不思議な気分でした。

船から下りると手荷物だけ持ってのんびりとコテージ風のホテルまで歩いていきました。
まずロビー(レストラン)での説明とチェックイン待ち。
チェックインできる状態になったら順次チェックインできるらしいが、 いつになるか分からない。
普通なら「なんだそれは、チェックインの時間くらいきちんと管理しろ(怒り)」 となるところだが、なぜかそんな気分にならない。
「それじゃ、用意できるまでそのへんで遊ぼうか(笑い)」 って言う前に子供達は「遊びに行ってくる」って言うが早いか行ってしまったし。 周りの人達はその辺で寝てるし。・・・・・

次の日から人もまばらなビーチでのんびり砂遊び。
子供達はせっせと山を作り、川を作って水を流している。
きりんは、水の中にあぐらをかいて手づかみで魚取り。 さすがに手掴みでは難しいが、1時間もすると2,3匹捕まえる事ができた。
そして、次の日は洗面器をもって魚取り、今回は2,3時間で10匹近く捕まえた。
食事の時のパンを貰ってきて、それをちぎって水の上に撒くと魚がたくさん寄ってくる。 そこを洗面器で一気にすくうと結構魚が捕れる。
パンをちぎって撒いては洗面器ですくう。それは機械的作業ではない。魚釣りと一緒。
水の中で10分程じっとしていると、魚がきりんを意識しなくなるので、 そこで、パンを与えると魚は勢い良く寄ってくる。
そこで、洗面器ですくわれるので、逃げた魚はもちろんしばらくは寄ってこない。
だから、一度洗面器ですくうとしばらくは、無機物とかす為にじっとしている。 ああ、なんて暇なんだろう。
こんな、ばかばかしい事が楽しいなんて、こんな贅沢ってあるだろうか?

マナ島では、イベントも結構行われている。
掲示板にスケジュールが張ってあってそれを見て、 参加したいものに参加する事ができる。
しかし、スケジュールがあるからといって、その時間通りに始まると思ったら大間違い。
葉っぱの籠、帽子作りが何やら面白しろそうなので行ってみたが、 時間になっても一向に人が来ない。
あきらめて、子供達がやっているフィッシュフィーディングを見に行く事にした。
帰ってくると、おお、やっているではないか。
どうも、始めようと思ってきたけど誰もいなかったので中止したらしい。
といっても、その時間にはきりん達はいたので、随分後に来た様だが。
でも、その後人が集まってきたので、やっぱりやる事にしたと言っていた。
「次のイベントは3時ですよね。」って聞いてみた。 すると「多分その頃じゃないかな?たぶんね。」「でも、マナ時間だから^^」
そう、ここは、標準時では無くマナ時間で回っているのだった。

何事にものんびりしているフィジーのなかでも、さらにゆっくりと時間の流れているマナ島。 ここに存在するだけでも、自分の中の体内時計がゆっくりと動き始める。
もちろん日本に帰って来てしまえば又、以前の様に忙しい毎日が始まり、 体内時計も元に戻ってしまうのだが、 マナで過ごし、自分の時計がゆっくり動いていたという事実は忘れない。
だから、以前と同様忙しく進む時間も、前とは違うものとして感じる事ができる。
又いつか、マナ時間を満喫してこよう。

2002年11月30日 きりん

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