【 貧乏性 】
うさぎは貧乏性である。海外旅行に行く時はいつも、
「ホントーに、こんなにいっぱいお金を使ってしまっていいのだろうか?
こんな贅沢に慣れてしまっていいのだろうか?」と、不安になる。
けれどうさぎはすご〜〜〜く海外旅行が好きだ。
お金がかかるという理由で旅行を諦めることなんかできやしない。
で、せめて、モトを取って帰ってきたいと思う。
これだけ大きな出費をするのだから、
「ま、数日ちょっと楽しめたかな〜?」程度の満足で終わってはならない。
掛けたお金の分だけ、きっちりしっかり楽しまなくては。
できれば旅行中のみならず、旅行から帰ってきたあとも。
旅にいる時間は短い。
だから旅がいかに楽しくても、
その短い間の満足のためだけに何十万も掛けるのはもったいない。
でも、一生の思い出としてずっと楽しめるのなら、まあ許せる。
――そういう理屈で、うさぎは思い出の保存に必死になる。
まず、うさぎは旅先で写真をバシバシ取りまくる。一回の旅行で400枚くらい撮る。
きりんはビデオを2時間から3時間分撮る。
うさぎは更に、食べたものや見たものについてのメモを書く。
どんなふうに時間を過ごしたかも、
あらかじめエクセルで作っておいたタイムテーブル用シートに記入する。
金銭帳をつけることも忘れない。
ツアーデスクではパンフレットやチラシをもらう。
旅先で浮かんだ疑問は、現地の人に尋ねて即解決。
うっかり聞きそびれたことは、帰りの飛行機の中でクルーに尋ねる。
‥本当に旅は忙しい。
旅から帰ってきたあとも、忙しさは当分続く。
まず写真の整理をしなくてはならない。
L版のアルバムに貼る写真は出来のいいものだけ、3分の1ほどに選別して貼る。
ツアーデスクや観光局でもらったチラシなども切り抜いて一緒に貼る。
適宜、イラストやロゴを入れたりもする。アルバム一冊作るのに、1週間ほどかかる。
タイムテーブルも、旅先で書いたものをきれいに書き直し、アルバムに貼る。
この作業には丸一日かかる。
これまた旅先で書いておいた金銭帳も、エクセルで集計する。
ここまでの仕事を済ませてから、やっと最後の大仕事、旅行記の執筆に入る。
メモ・アルバム・ビデオ・タイムテーブル等を参考にしながら、味、匂い、触感など、
映像に残りにくい部分を重点的に書く。
このウェブサイトに載せている旅行記も長めだが、自家用の旅行記はもっと長い。
つまらないことも、くだらないことも、何でもかんでも書き留めておく。
旅行記を書くのには、短くて一月、長いと二月かかる。
旅行記が完成すると、やっとうさぎは一息つく。
「あ〜、今回の旅行も充実していた。これでしっかりモトもとれたな」と、
しみじみ安心する。
うさぎは普段はぼ〜っとしていてあまり働かないヤツなのに、
旅行の時だけは、貧乏ヒマなし、である。
2001年10月06日 うさぎ