プーケット旅行から約一年。
「旅行、楽しかったなあ、また行かれないかなあ」というネネとチャアのつぶやきを耳にするたび、
なんとかまた南の島に連れて行ってやれないものだろうかと、ずっと考えていた。
プーケット旅行から帰った翌日にはもう旅行代理店から山のようなパンフレットを持ち帰り、
その調子で次なる候補地を探し続けていたのだ。
そして、半年前、素敵なリゾートをついに見つけた! グアムにあるレオパレスリゾート。 ゴルフ場に囲まれた広大な敷地、スペイン瓦を載せた建物の瀟洒な外観、 白いエンファシスがあしらわれた素敵なプール、135平米と広く美しい部屋‥。 グアムに行きたくて選んだホテルではない。世界中を探して探し当てたリゾートだった。
以来半年、時おりパンフレットを取り出して写真を眺めてはため息をつくのがうさぎの日課となった。
そしてついに、その憧れのリゾートに滞在するチャンスが巡ってきた。
こんなにも素敵なレオパレスリゾートに滞在するツアーが、わが家にも無理のない価格で発売されたのだ。
もともと、ビーチから離れた山のてっぺんにあるレオパレスは知名度がさほどでもなく、
そのせいかツアー代金も目の飛び出るような価格ではない。
しかも今年(1998年)は例年に比べてグアム行き自体に割安感がある。
きりんが調べたところによれば、
グアム観光局が張った一大キャンペーンに乗じた航空会社が強気の増便をしたせいで、
航空運賃が値崩れしているからだという。
航空運賃の値崩れがいつまでのことなのか、レオパレスリゾートがいつまで知名度の低さの甘んじていられるのか、
先のことは分からない。
ならばこのチャンスを逃さず、行かれるうちに行きたい――そんな思いもあって、いそいそとツアーの申し込みをした。
旅行の楽しさは、出発する前から早くも始まった。
だって、グアム旅行へ行くことを打ち明けたときの、子どもたちの喜びようといったら!
「やったー!!! プールに入れる? 毎日、入れる? うれしい! うれしい! うれしい!」
旅先で見る子どもたちの笑顔を楽しみにしていたというのに、早くもここでとびきりの笑顔を見てしまった。 そして、この笑顔を見てしまったら、今回の旅の目的は、一にもニにもプール、とおのずと決まってしまった。 夏にも子どもたちを置いてドイツへ行ってきたきりんとうさぎは、 「今回の旅行は、子どもたちの意向優先でいこう」と決めた。 もっとも、自分たちの楽しみを捨てたわけでもなく、うさぎは密かにお買い物を楽しみにしていたし、 きりんはグルメな計画をいろいろ立てはじめた。なかんずく、
「そうめんが食べたい!」
という。グアムまで行ってなぜそうめん?とも思ったけれど、そうめんを持っていくことにした。