9時に空港を出発し、ワゴン車で市内観光へ。この「市内観光」っていうのは、今回最もママが心配していたものだ。
ガイドブックによれば、子供連れの人はたいてい追加代金を支払ってホテルのチェックインを早めてもらい、
市内観光はパスするらしいから。
時差ぼけの子供をあちこち引っ張りまわすのは可哀相だから、早めにホテルで休ませようというわけ。
ママもパパにそう言って、アーリーチェックインを勧めたのだけれど、パパは、
「せっかくタダで市内観光ができるのに、なんでわざわざお金を払ってそれをパスしなくちゃならないんだ!」と言って、
きいてくれなかった。
‥で、ママはねねちゃんの様子を心配してたわけなんだけれど。
結果から言うと、市内観光は全く問題ナシだった。機内でよく眠れなかったママは眠かったけれど、ねねちゃんは元気!
「さわやかツアー」でやってきた3人家族連れの5歳の女の子、りえちゃんと、終始機嫌よく遊んでくれた。
本当にりえちゃんには感謝! 目がぱっちりと大きい美形な子で、ねねちゃんとよく遊んでくれた。 5歳って本当にびっくりするほどお姉ちゃん。多分りえちゃんは5歳の中でも特別いい子なんだろうけど。
りえちゃんの両親は二人ともフォトグラファーで、よくハワイには仕事で来るのですって。
でも今回はりえちゃんを連れての家族旅行だと言っていた。
お母さんの仕事は絵はがき用の写真を撮ることだと聞いて、ママはちょっと憧れた。
りえちゃんのお母さんが素敵なのはお仕事だけじゃなかった。この方はお母さんとしても素敵な人で、ママが、
「うちのねねちゃんもいつか、りえちゃんみたいにいい子になればいいけどなあ」とため息をつくと、
「3歳半。3歳半まで頑張って。りえもねえ、3歳半までは大変だったんだわ。
でも、そのくらいから急にラクになってきたの。回りを見ても、どうもだいたい3歳半みたいよ、ラクになるのって」
と言ってくれた。
そうかあ、あと一年半かあ! 楽しみ〜♪
そう思ったら、ママはなんだか急に気がラクになっちゃった。人間、苦労にも先が見えると頑張れるんだね。 でも、こんなふうに言ってくれた人って、りえちゃんのお母さんが初めてだったの。
ところで。 市内観光で回ったところは、ヌアヌ・パリ、王様のお墓、パンチボウルの丘、それからイオラニ宮殿の前を通って、 ドール・キャナリースクエア、カメハメハ大王像、そして最後に"JAJA"というおみやげ屋さん。 午前中のたった3時間の間にこれだけまわった。 運転手付きの車でまわると、ホントに要領よく短時間で名所廻りができるのねー。
現地人の運転手さんは親切で、ねねちゃんのベビーカーを助手席に乗せ、名所で降りるたびにいちいち上げ下ろししてくれた。 わたしたちの小さな車のそばには、有名な旅行会社の大きな観光バスが来ることがあったけれど、 あんな大きなバスに大勢の人と乗っていたら、こんなサービスは受けられなかったかもしれない。 このツアーを選んでよかったな、って思った。車の座席もゆったり広々で、運転手さんのおしゃべりも楽しい。 これまでのところ100点満点の旅じゃないかしら。
市内観光で特によかったのは、ヌアヌ・パリ。 とても風が強い、というだけの場所なのだけれど、その風の強さには、本当にびっくり! 髪の毛がめちゃくちゃに逆立ってしまうくらいなの。 この風の強さに、ねねちゃんは大喜び! 考えてみると、こんなに強い風を経験することなんて、大人でもないものね。 しかも、その付近はどこも風が強いわけではなく、本当に風が強いのは、ある一か所だけ。それがとっても不思議だった。
それから、王様のお墓のそばにある「ソーセージの木」。これがおもしろかった。
きっとこの名は俗名で、本当の名は別にあるのだろうけれど、本当にばかでかいソーセージみたいなのが、
枝から沢山ぶらさがっていた。
大きなその実が人の頭上に落ちると危ないので、熟した実は切り落として木の根元に積んであるのだけれど、
それが、ねねちゃんがやっと持てるだけの重さ。
「重いねー」とパパが言うと、ねねちゃんは
「重いー、重いー」と言いながら、芝生の上でそれを一生懸命運んでいた。
足の上にでも落としたら大変、と思いながらもママもそれを楽しく見ていた。
ねねちゃん、ここで「重い」という言葉を覚えたんだよね。