今日は日本に帰る。みんなは6時に起きて、チェックアウトを済まし、7時半ごろ集合場所のホリディ・インへと向かった。 ワイキキの街はもうすっかり夜が明けていて、とてもきれいだった。 ママは、ハワイを去るのが名残惜しくて名残惜しくて、ねねちゃんのベビーカーを押しながら、 一歩一歩踏みしめるように歩いた。
ママにはやりのこしたことがいっぱいあった。 お買い物をまだまだたくさんしたかったし("シアーズ"で見たねねちゃんの服‥)、 ハワイの伝統的な生活文化を見られなかったのが、まだ大きな心残りだった。 あと一日、せめてあと一日あったら、やりのこしたことを全部やって帰るのに‥、そう思ったけれど仕方がない。
来る時は、4日間ってけっこう長いだろうな、いろんなところに行けるぞ、いろんなことができるぞ、と思っていた。 それでも、ねねちゃんがいるから、予定をかなり絞り込み、ゆったりとしたプランを立ててきたつもりだった。 なのに、どういうわけだか、そのプランの半分しかこなせなかった。 ママはそれが不思議で、ホントにハワイで4日間過ごしたのかな、実はあと一日あるんじゃないかな、と思って、 何度も数え直してみた。――でもやっぱり今日は帰国日だった。
集合場所のホテルでまたりえちゃんたちの一家と合流し、車でホノルル空港へ。
出国手続きの列はまたもや長蛇の列で、並んでいる間にねねちゃんは機嫌が悪くなってしまった。でもママは慌てなかった。
ママは、ねねちゃんに内緒で買っておいたアーニーとバートの人形をさっと取り出して見せた。
――そのときのねねちゃんの驚きようといったら‥! ママの期待通り、
ねねちゃんは驚いて、喜んで、そして機嫌を直した。
これ一つで日本につくまでいい子にしていてくれたらな――というママの期待はさすがに外れたけれどね。