まさかこの少年が現地係員?!、と一瞬びっくりしたものの、ちゃんと真打ち登場。まもなく運転手つきのワゴン車も現れた。 他にお客がおらず、今回もきりんとうさぎ一家の専用車だ。
この専用車で一路プランテーションベイへ。 空港の車寄せから一般道に出ると、オートバイに賑やかな装飾の屋根つきサイドカーをつけたものがたくさんいた。 これがいわゆる「トライシクル」と呼ばれる乗り物らしい。 フィリピンでは自家用車の所有率が低く、その分、こうした合理的な(?)乗り物が普及しているのだそうだ。 空港付近だけかと思いきや、空港から離れても路上のそここちらにいる。普通の車と同じくらいの数が走っている。 中にはオートバイの代わりに自転車にサイドカーをつけたものも。 そのサイドカーは、華やかな色こそ違うものの、みな似たような形。 でも、どうしてこういう形なのかな、っていうような、ヘンな形をしている。 あんまり機能的ではないような‥。もしかして、このサイドカー、何かの廃物利用なのだろうか。
ホテルへ行く途中の町並みは、お世辞にも美しいとはいえなかった。あまり生活水準が高くないのだろう。
みすぼらしい建物が並んでいる。
そこに突然、二階の窓にステンドグラスが入った、この辺としてはとびきりしゃれた建物が姿を現した。
「コンビニに寄ってきましょうか?」という係員さんの言葉にうなずくと、車はそのしゃれた建物の前に停まった。
それは、「これを"コンビニ"と呼ぶのか?」と思うような小さな店で、品揃えも、
飲み物やスナックが数種類しかなかったが、それでも回りの状況と比べたら、際立って近代的な店であった。
カッパえびせんの値段を聞いたら200ペソ(なんと600円弱!)というので呆れてしまい、90ペソだという牛乳だけ買った。
でもこの牛乳、お金を払う段になったらなぜか80ペソになっていた。
もしかして、ここの値段って店の主人の気分で決まるのだろうか? 値札も全然ついてないし。
もしかしたら、カッパえびせんも値切れたかも?
このコンビニの同じ軒下には両替商があり、 その窓口に「ブラックマーケット」とカタカナで書いてあるのが可笑しかった。 闇相場屋が堂々と名乗るか、フツー? 不透明価格のコンビニといい、怪しげな両替商といい、観光客相手のこういう商売で、 この付近には不釣合いなほど立派な家が建ったんだな、と納得した。
空港から離れるにしたがって、あたりはますます素朴な雰囲気になってきた。もはや"町"というより"村"の雰囲気だ。 例外なく痩せた野犬や山羊の姿が目に付く。そして人間の姿も。いなかっぽい雰囲気とは裏腹に、やけに人口密度が高い。 狭い道にはいまだオートバイ・自転車のトライシクルがトテトテと走り、 道の傍には廃材をはぎ合わせて作ったような粗末な屋台が点々と並ぶ。 "サリサリ"と呼ばれる駄菓子屋の数がどうしてかと思うほど多く、 これまた崩れ落ちそうなそれらのまわりには大勢の子供たちが群がっている。 駄菓子屋に子どもが群がる光景は日本でも珍しくはないけれど、今はもう夜の7時すぎ。 日本の良い子は家で夕食を食べているか、塾で勉強している時間だ。