まったく忙しい旅だった。 マラソン大会には参加するわ、 まるまる一日のカヤックツアーに2度も参加してパラオの見どころを一通り押さえるわ、 いつになくアクティブなわが家だった。
パラオでの一番の収穫は、シュノーケリングの楽しさを覚えたことだ。 海の中に、こんなに美しい世界が広がっているというのは今まで知らなかったことで、 本当にびっくりした。
ダイバーのメッカを行き先に選んでおきながら、 実は行くまで海にはろくに興味がなかった。 どちらかというと、海より陸、水よりジャングルに惹かれてこの地を選んだ。 きりんはカヤックで秘境探検するのが夢だったし、 うさぎは家族でたすきを繋ぎたかった。
でもやっぱり、パラオの海はすごかった。 今まで見た海とは、別格だった。 パラオの海は、ただきれいなだけではない。 非常に変化に富んでおり、なにしろ面白かった。
波のない海、緑に囲まれた海、島から島へと渡れる海、湖になった海、広い海、狭い海、 青い海、緑の海、乳白色の海‥! こんなにいろんな海があるなんて、全然知らなかった。
パラオの海は、「海とはこういうものだ」という頭の中のイメージを完全に塗り替えてしまった。 こんなに上等な海を味わってしまっては、口が肥えてしまったのではなかろうか。 贅沢になってはいないだろうか。 これからは、そんじょそこらの海では満足できないかもしれない ――それがちょっとばかり、心配である。