アラビア語トルコ語

アラビア語とトルコ語で喋ってみた

 またしても突然ですが、アラブ首長国連邦(UAE)へ行ってきました。最終目的地はアブダビ首長国の砂漠の真ん中にあるリゾートです。ドバイ経由で行きました。

 アラブ首長国連邦の公用語はアラビア語。とはいえ人口の9割が外国人であることから、事実上一番使われているのは英語です。アラビア語を使うチャンスはないかもしれないなあと思いつつ、一応DMM英会話のアラブ勢と3回ほど標準アラビア語で喋り、軽くリハビっておきました。

アラビア語で喋ってみた

 湾岸諸国のアラブ人を見分けるのは簡単です。なぜならたいてい下のイラストのような恰好をしているから。

男性は真っ白、女性は真っ黒。被り物も目立つ。

 こうした恰好の方々は、ドバイの空港ではちらほらお見掛けしました。ところがひとたび空港を出たら、とんと見かけなくなりました。地下鉄なんて東京のラッシュアワー並みに混んでいるのに、こういう方々が全然いない。うーん、やっぱりドバイでアラビア語を使うチャンスはなさそうかなー?

 ところが。

 世界最大と言われる噴水ショー「ドバイ・ファウンテン」を見に行き、噴水ショーを見終わってさあ地下鉄の駅に戻ろうと思ったら、モールが広大すぎて迷子に( ̄▽ ̄;) 行きも地下鉄の駅からドバイ・モールの中を歩いてきたのですが、ひたすら噴水ショーを目指して歩いていて、帰りのことまで考えていなかったので、どこをどう通ったか、覚えていないのです。

 頼みのGoogle先生も、モールの中までは道順を示してはくれず、挙句の果てに高級ブティック街に迷いこんでしまい、どちらへ行ったらここから抜け出せるのやら・・・。案内板を探しましたが見つからず、道を尋ねることにしました。

 そこでふと気づいたことには、周りを歩いているのは「ザ・湾岸アラブ人」の、なぜか男性ばかり。しかもおひとりではなく、必ず2、3人連れだって歩いているのでした。

 男性かぁー・・・。しかも上のイラストのように人畜無害そうなおじさんではなく、視線でモノがスパッと切れそうな美男子ばかり。イケメンすぎてサウジを国外退去になったオマールさんみたいなのが束になって歩いているわけです。

 こんな方々に道を尋ねるのは・・・、とかなり気おくれしましたが、女性の姿はなく、地下鉄の終電まで時間がなかったので、「ザ・美形湾岸アラブ人」の二人連れに思い切って声をかけました。相手が男性なので、男性形で。

من فضلكَ، أين محطة المترو؟
(すみません、地下鉄の駅はどこですか?)

 するとなぜか英語で答えが返ってきました。「駅は分かりませんが、この通路に沿って行き、二本目を右に入るとモールの中心に出ます」と。

 ・・・そっか、英語か。ちょっと残念なような、でも分かりやすくてありがたい。もうアラビア語でも英語でもいいから、とにかく早くこの巨大迷路から脱出したい。

 指示された通りに行くと、首尾よく高級ブティック街を抜け、ドバイ・モールの中心っぽいプロムナードに出ました。ああ助かった。

 ・・・と思ったのも束の間、そこからどう行けばいいのかが分からない。「メトロ駅こちら」という案内を頼りにエスカレーターを登ってみるものの、そこで案内が途絶えるのです。何か間違ったかなと思い、もう一度エスカレーターを降りて確認。やっぱりエスカレーターを登るみたい・・・?

 案内表示を探しながらエスカレーターの上り下りを3回繰り返し、どうにも困って、目の前を歩いていた「サ・湾岸アラブ人」な子連れの女性に尋ねました。高級ブティック街ではないところには女性もいたのです。

 相手が女性なので、今回は女性形で。

من فضلكِ، أين محطة المترو؟
(すみません、地下鉄の駅はどこですか?)

 するとその女性は長いまつ毛にびっしりと縁どられた大きな目をますます見開き、

أنتِ تتكلّمين العربية؟
(あなたアラビア語が話せるの?)
!ما شاء الله
(素晴らしい!)

 すると、他のアラブ人女性が何人かわらわらと集まってきて、それぞれに大きな目をキラキラさせながら口々に「マーシャーアッラー!」(素晴らしい!)を連発。

(心の声:てへ、注目されてる?! 嬉し恥ずかしー^^)

 ほんと、女性も男性も、なんでアラブ人ってあんなに美しいんでしょうね? AIが作成した画像かと思うくらい、完全無欠に美しい。

أين تعلمتِ اللغة العربية؟
(どこでアラビア語を学んだの?)

.تعلمتها في المعهد العربي الإسلامي في طوكيو وهو جزء من سفارة المملكة العربية السعودية
(サウジアラビア大使館付属の東京アラブイスラーム学院で学びました)

 すると別の女性が

!حقّا؟ أنا من السعودية
(まあほんとに? わたしはサウジアラビアから来たのよ)

!حقّا؟ ما شاء الله! ما شاء الله
(ほんとですか! それはそれは・・・!)

هل أنتِ مسلمة؟
(あなたイスラム教徒なの?)

.لا، ولكن لدي كثير من الأصدقاء المسلمين
(いいえ、でもイスラム教徒の友達はたくさんいますよ)

هل كثير من الناس يتعلمون اللغة العربية في بلدك؟
(お国では大勢の人がアラビア語を学んでいるの?)

.ليس كثير لكن يوجد
(多くはないけど、いることはいます)

.بصراحة لا أعرف أين تقع محطة المترو
(実はどこに地下鉄の駅があるかは知らないんだけど)
.استخدمي السكرين هناك
(あそこにあるスクリーンを使ってみて)

تلك الشاشة هناك؟
(あそこにあるスクリーンですか?)
…هذه شاشة
(あー、あれスクリーンなんだ)
.فهمت! شكراً جزيلاً
(分かりました。ありがとうございます)

 もう、わたしが何かアラビア語で言う度に、数々の美しい瞳が「ほほう」と感心するように煌めくのがめっちゃ快感でした。東洋人がアラビア語を話すって、こんなにも珍しいことなんだー。

 ちなみに、先方のアラビア語は完全なフスハー(標準アラビア語)ではありませんでしたが、充分理解できました。頑張ってフスハーに近づけてくれたのでしょう。

 ところで、最初の男性の二人連れも、次の女性たちにも共通していたのは「地下鉄の駅がどこにあるか知らない」ということ。なるほど、ここで合点がいきました。おそらく彼らは、地下鉄なんてものは使ったことがないのです。きっとここへは運転手つきの車で来るのでしょう。だから地下鉄の中ではこういう恰好の人々を見かけなかったのですね。

ドバイ・ファウンテンへと一斉にスマホを掲げる人々

トルコ語で喋ってみた

 実はアラビア語で喋る以前に、トルコ語で喋るチャンスがありました。ドバイ・ファウンテンで噴水ショーを待っていたとき、英語で「写真を撮ってもらえませんか」と英語で若いカップルに話しかけられ、数枚写真を撮ってあげたあと「Shall I take some more photos?(もう何枚かお撮りしましょうか?)」と言ったら分からなかったらしく「実は英語、あんまり得意じゃなくて・・・」というので、出身を尋ねると「トルコ」とのこと。

Öyle mi? Biraz türkçe biliyorum.
(そうなんですか、わたしちょっぴりトルコ語分かります)

というと、二人ともびっくり。

Nerede öğrendiniz?
(どこで習ったのですか?

Tokyo’da. Ben Japonum.
(東京で。わたし日本人なんです)
 İstanbul’a giderken, Türkiye’yi çok sevdim.
(イスタンブールへ行って、トルコがすごく気に入って)
O yüzden Türkçe öğrenmeye başladım.
(それでトルコ語を始めたんです)

Anladım.
(そうなんですね)

Daha fazla fotoğraf çekeyim mi?
(もう少し写真をお撮りしましょうか?)

Hayır, çok teşekkür ederim.
(いえ、大丈夫です。ありがとうございます)

Rica ederim.
(どういたしまして)

 まだ他にも何かしら喋った気もするのですが、そのあとアラビア語で喋ったら、そっちのほうが印象的だったものだから、全部飛びました(;^_^A 相手の反応もいまいち覚えておらず、不正確。

 しかし、まさかこんなところでトルコ語を喋ることになろうとは・・・! ここ数年、たまーにしか喋っていないトルコ語、ちょっと間違っているかもですが(giderken じゃなく gittiğimde もしくは gidince のほうが適切だったかも?)一応通じたようです。そもそも口からトルコ語が出てきたことに、自分でも驚きました。

アラビアンナイトのようなドバイの夜

人種のるつぼ

 海外に行くと「どこから来たの?」とよく訊かれますが、UAEでは先方も様々な国からやってきた人々なので、「そういうあなたは、どこから来たの?」と聞き返す楽しみがありました。

 ホテルのスタッフ、タクシードライバー、お土産屋のご主人、観光客・・・。出身を聞くとみな待ってましたとばかり、嬉しそうに答える。故郷が誇りなのですね。

 わたしが尋ねた限りで一番多かったのはパキスタン。次にインド、ネパール、スリランカ、フィリピン。

 宿泊した砂漠リゾートでも、スタッフの構成はそんな感じでした。「アラブ人はいないの?」と尋ねると「いますよ。レバノン人とかエジプト人が」とのこと。「UAEの市民は?」と尋ねると、「いませんねえ(笑)」。確かに、マネージャーからして外国人でした。

 一方、リゾートの宿泊客はヨーロッパ系が多く、アラビア語を話す人は一家族だけしか見かけませんでしたが、「シーズンオフの今は少ないけれど、冬になるとアラブ人がたくさんやってくるよ。毎晩砂漠で焚火を焚くから、冬にまたおいで」とスタッフに言われました。

 ・・・ん??? なぜわたしがアラブ人を求めていると思った??

 おそらくレセプションで「(スタッフに)アラブ人はいないの?」と尋ねたのが広まったのでしょう。スタッフ同士の仲が良く、よく連携がとれているリゾートでしたから。

 一緒に火を囲むと連帯感や仲間意識が生まれることを2月のグアテマラで体験しました。あのときはスペイン語でしたが、いつかアラブ人とも共に焚火を囲み、アラビア語で歓談できたらいいなと思います。

Telal Resortにて朝日。(تلال はアラビア語で丘(複数形)の意)

いつかはウルドゥー語

 UAEでは様々な出自を持つ方々に出会い、いままであまり馴染みのなかった言語にも興味が湧きました。

 特にウルドゥー語。

 実は8月にソウルへ行ったとき、パキスタンの方に大変お世話になったのです。ソウルへのフライトが遅延し、市内へ向かう終電に間に合わない。そこで、成田のチェックインカウンターの列で後ろに並んでいた人に「市内までどうやって行かれるおつもりですか」と英語で話しかけたら、この方がソウル在住のパキスタン人で、「じゃあ一緒に夜行バスで行きましょう」ということになり、夜行バスを降りてからもタクシー乗り場でタクシーに乗せてくださったのです。このサポートがなかったら、夜中の2時頃に初めてのソウルで一人ぼっち。どんなに心細ったことでしょう。本当に助かりました。

 UAEでも、パキスタンの方をお話する機会がちょこちょこあり、パキスタンがますます身近になりました。

 ・・・というわけで、いつかウルドゥー語もやってみたいです。中にはパシュトー語の母語話者もいましたが、まずはウルドゥー語かなー。文字は違いますが、ヒンディー語と同系なので、ヒンディー語にも繋がるし。

 こうして夢は果てしなく広がるのであります^^。

ガゼルの群れ
水辺で休むガゼル
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