汎用性の王者

菜箸

同じものでも、つい手が伸びる道具と、そうでない道具があります。 写真は何年か前に4本セットで購入した菜箸ですが、 長いものほど柄の色が剥げ、焼け焦げてボロボロ、 一番短いのはご覧の通り、まだ新品同様です。

和え物などをかき混ぜる際には短い菜箸が便利ですが、 長い箸でも使えないことはありません。 反面、鍋やフライパンの上で使う箸は必ず長くなくてはならず、 短い箸では湯気で手を火傷しがちです。

料理の手順は煩雑。 短時間にあれやこれやの作業をしなくてはならない身には 「これにはコレ」などと道具をいちいち吟味して選んでいる余裕はなく、 結局、どんな場面でも使える長い菜箸に手が伸びることになります。

いかにも便利そうな新手の調理器具を買ってみたものの、 なぜだか意外と出番がない、というのも、多くは汎用性の問題のように思えます。 どんなにその使命を立派に果たそうとも、 たとえばリンゴの皮しか剥けない皮剥き器、 温泉卵しか作れないレンジ用蒸し器より、 少々機能的には劣っても、別の作業に流用できる 包丁や鍋などでつい間に合わせてしまうというのも頷けます。

鍋・包丁・箸など、長い歴史を経ても廃れずに生き残ってきた道具はさすがに汎用性の王者ですね。 新しい道具にも便利なものはたくさんありますが、この汎用性にはなかなか敵いそうにありません。

初稿:2007年11月29日

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