2003年10月21日 モノの見え方感じ方(3) ブラウザの実装

9月4日(モノの見え方感じ方(2)言葉)のつづき

うさぎは八方美人です。 "特定の人にだけ好かれればいいや"と割り切れればいいのですが、 どうしても、"誰彼なくみんなに好かれたい”という欲を捨て切れない。 だからこそ余計に、「他人からはどうモノが見えるか」が気になるのかもしれません。

ところで昨日、うさぎは「いつものきりんとうさぎ」を全面改装しました。

‥えっ? どこも変わっちゃいないじゃないか、ですって?

そう、見た目は全然変わっていないように見えると思います。 変わって見えたら、そっちの方が怖い。 どこも変わったように見えないように、つまり、レイアウトが崩れたりしないように、 それはそれは気を遣って改装したのですから。

では、見た目が変わらないのなら、一体何が変わったのかというと、 ソースを書く言語を変えたのです。 いままで"HTML4.01Traditional"という言語を使用していたのを、昨日から "XHTML1.0Strict"に変えました。
尤も、「言語を変えた」とはいえ、マイナーチェンジのようなもので、 昨日までフランス語で喋っていた人が、 ある日を境にドイツ語で喋りだすほどのインパクトはありませんけれど。 せいぜい標準語が関西弁に変わった程度の差です。

でもねー、問題が一つあるんです。それは、

「標準語は理解できるが、関西弁は理解できない」
もとい、
「HTMLは理解できるが、XHTMLは理解できない」

というブラウザの存在です。 HTMLに関したって、どのブラウザにも多かれ少なかれ 「ときどき意味を取り違える」(つまりバグ)がありますが、その程度ならまだ許せる。 だけど、「XHTMLは、もうまるっきり理解できない」というブラウザが存在することを つい先ほど知り、打ちのめされているところです。 なんたって、 「それをHTML文書と認識して実行せず、ソースを画面にそのまま表示してしまう」 というのだから、お話にならない。 ソースの表示では、リンクも飛ばない。全くの無力状態ではないですか。

もう、本当にどうしましょう?! 昨日までの状態に全部戻すしかない??

こんなこともあろうかと、バックアップはとってあるので、戻すのは簡単。 だけど、今回改装に踏み切ったのにもわけがある。 これからやろうとしていることへの下地作りのつもりだったのです。 だから敢えて変更したのです。 なのに、後退せざるを得ない?

そんなのイヤ!
ゼッタイに嫌〜っ!

ああ、「知らぬが仏」。つい数時間前までのうさぎは幸せだったわ。 何の因果か、そんなブラウザがあることを知ってしまっただなんて〜!
もうこうなったら、「毒を食らわば皿まで」。 "禁断の木の実"を芯まで食い尽くすっきゃないかもしれません。

うさぎは、果してそのブラウザを使っている人がどれくらいいるのか、 アクセス解析で調べることにしました。 だってもしかしたら、そんなブラウザをつかっている人なんて、 今はもう、全くいないかもしれないじゃない?

その目の上のたんこぶ的ブラウザは、天下のマイクロソフトが開発した 「インターネットエクスプローラ(IE)のMac版、Ver.4.5」です。 現在は後進Ver.5.0に道を譲り、悠悠自適な隠居生活を送っている‥はずですが、 広い世の中にはまだこの老翁を引退させていないユーザもいるかも? まあそれも分からなくはない。 ブラウザのバージョンアップというのは 最悪の場合、初期化を余儀なくされるかもしれないという、 パソコンにとってけっこう命がけな仕事ですものね。

‥で、調べてみた結果は。

MacIE4.5からのアクセス数は、6000アクセス中、5アクセス(0.08%)

でした。
さて、次なる問題は"0.08%"、 6000アクセスのうちの5アクセスという数字をどう読むか、です。 ほんの微々たる数だから、切り捨ててしまっても構わない?
それとも、"0"ではない以上、対処すべき?

‥こういう時、悩んでしまうのは、うさぎが八方美人であるがゆえなのでしょう。

「当サイトはWin IE5.5以上でご覧ください」

なあんて冒頭に書いてあるサイトがときどきありますが、 そう言い切れる管理人さんが羨ましい。 来訪者に媚びないその姿勢、うさぎも少しは見習いたいかも〜?

あーん、ホントに、ホントに、どうしよう〜??

‥って、結局、今のところ、切り捨てる方向でいくことにしました。 その根拠は、完全に対応できているとは言いがたいネットスケープ(NN)Ver.4.*の シェアの方がよっぽど高かったから。 こちらは6000アクセス中、40アクセス(0.67%)。

NN4.*というブラウザは、見た目を指定する"CSS"という言語への対応があまりに バグだらけでひどかったため、ブラウザに於けるシェアを一気にIEに奪われる遠因となった という伝説のブラウザです。 例えて言えば、外来語をかなり勘違いして理解する、 明治初期の薩摩藩剣士のような(?)ブラウザ。 彼が正しく意味を理解できる外来語といえば、 「カルタ」とか「ビイドロ」「カステラ」くらいなもので、 全く理解できないならまだしも、 勝手に意味を取り違えて納得する知ったかぶりなヤツなので、始末に終えない。

NN4.*に関しては、それでもなんとか内容だけは読んでいただけるよう、 最低限の配慮してきたつもりです。 でも、"つもり"はあくまで"つもり"であって、 本当にコンテンツが読める状態かは、「神のみぞ知る」。 自分の目で確認していないので、実際のところは何とも言えません。

8倍ものアクセスがあるNN4.*に対してですらそんな状態なんだから、
MacIE4.5も切り捨てちゃっていいかも〜?

というのが、今の気分。

‥でもねー。これは、相手の顔が見えないから言えることです。 もしもいままで頻繁に見にきてくれていた人が一人でもMacIE4.5で見ていたら――。
「ゴメンねー、イニシャライズ覚悟でバージョンアップして」とは言えない‥かも。

同じ"1"でも、切り捨てられる"1"と切り捨てられない"1"があります。 うさぎが、音声ブラウザを意識して、 テーブル使いをなるべく避け、画像に必ずalt属性(画像の説明)をつけるのは、 うさぎの文章を読んでくれる人の中に そのブラウザを使用している人がいるのを知っているからです。

もしかしたらたった一人かもしれない。 だけど、顔の見える"1"は、"0"とはえらい違いです。 顔の見える"1"は、切り捨てられない"1"です。

アクセス解析の良いところは、うさぎの文章を読んでくださる方の顔が、 ほんの少しだけど見えるところ。 男性か女性かも分からない、子どもか大人かも分からない。 どんな顔をしているのか、どこに住んでいるのかなんて、もちろん分からない。 だけどページを巡った順番で、興味のありかは多少分かる。 巡ったページの数、読むのにかけた時間の長さで、 気に入ってもらえたのかどうかも分かります。

だけどね、あんまり顔が見えすぎるのも、辛いものがあります。 顔が見えてしまうと切り捨てられなくなるから。 しがらみばかりが増えてゆく。 さっきも、NN4*をお使いの方の軌跡を見つけ、

「くぅ〜っ、やっぱりNN4*も切り捨てられないかぁ‥」

と、一人つぶやいたうさぎであります。