Essay  きりんの旅ヒント

【 離陸 】

初めて飛行機に乗った時、離陸態勢に入る瞬間、とってもびっくりした。

加速を付けないと飛行機は飛ばないのはわかっていた。
だから、だんだんとスピードを増してスーット飛び立つものと思っていた。
しかし、実際は想像とは少し違っていた。

まず飛行機に搭乗してから、飛行機が動き始めるまでが結構長い。
やっと動いたと思ったら、おお、バックしている。
当たり前なのかも知れないが、飛行機がバックするとは想像もしていなかった。
そりゃ、あの体制からは、バックしないと出られないよね。
でも、自動車と同じようにバックするなんて、ギアチェンジでもあるのだろうか?

機首を前に向けるといったん停止し、今度は前進を始めた。
そこからが又長かった。
そこそこのスピードで滑走路周辺を走っている。
たぶん滑走路に向かっているのだろうが、ずいぶんと遠くにあるものだな。
はて、いつ飛び立つんだろうと思っていると飛行機は止まった。
あれ、何だろうって思っているとぐるりと旋回し、滑走路らしきところに再度停止した。
前方には遥か彼方まで開けた滑走路が広がっている。
窓から景色を眺めていると、 いきなりウィーンという音の後のゴーという音と共に飛行機が加速を始めた。
その加速ぶりは、あまりにも唐突だった。
当初思い描いていた、だんだんと加速して、なんてもんじゃない。
いきなり背中をガーンと押された様な感じ。
うーん、でもこの加速感、気持ちいいな。
そして、そのまま加速を続け体がふわっと浮くと、見る見る滑走路や家屋が小さく、 そして斜めになっていく。

何度飛行機に乗っても、離陸の際は緊張する。無事飛び立つ事ができるだろうかと。
でも、この加速感は何度味わっても爽快だ。

2002年9月28日 きりん

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