Guam  親孝行の旅

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【 マイクロネシアモール 】

マイクロネシアモールはグアム最大のショッピングスポットである。 「グアムに来た日本人の殆どが立ち寄る」と何かで読んだ記憶のある、メジャーなスポットだ。 2年前にグアムに来た際にはその例外的な存在となってしまったうさぎだが、 今回はご多分に漏れず、立ち寄ることができた。

このモールは×型をしており、4つの端が入口となっている。 そして×の交わった中心が、吹き抜けの明るい広場になっている。 広場には遊園地によくあるような、子供が乗れる「お猿の汽車ぽっぽ」みたいなのが走っており、 その脇に、仕掛けのおもしろいアートがあった。
「あ、おもしろいな、あれ!」と、うさぎがそれにビデオを向けると、ままりんが言った。
「あら、あれ。都内のやっぱりこういうショッピングゾーンで、全く同じのを見たわ」と。
どこの国の物かは知らないが、世界中に売っているのだろう。こうして世界は均一になっていくんだな。
中央広場のインフォメーションでこのモールの地図をもらい、まずはリバティハウスの子供服売り場へ行くことに。 ここは「デパート」という触れ込みだったが、うさぎの感覚からすると「スーパー」に近い。 ユニーとか西友などの衣料品のスーパーに。

売り場に入ると、ままりんの目の色が変わった。
「あらまあ、かわいい服がいっぱいじゃないの! ちょっと、見て。 今バーゲンなのかしら、○○%オフって書いてあるわよ。これって、今の値札から更に引くんだと思う? それとも定価からかしら? それによっても随分違うと思わない?」
「さて、どうかしらねえ‥」とうさぎは気のない返事。うさぎには、この売り場は魅力がない。 それでがっかりしているのだ。日本でも海外でも、どうしてこう「子供服」と言えば、幼児の服ばかりなのだろう。 3〜4歳児までの服ばかりで、ネネやチャアが着られるような大きいサイズはほとんどない。 売り場を一巡すると、うさぎはすっかり白けてしまった。

一方、ままりんは3歳の末孫に可愛いドレスを選んでやるのに大張りきり。 売り場をあっちへ行ったりこっちへ来たり、精力的に動き回っている。 うさぎはままりんを子供服売り場に残し、他の売り場を見て回ることにした。
だが、こちらも収穫なし。 まず足を運んだおもちゃ屋は、店の規模に期待したものの、レゴやデュプロがほんの少し置いてあるのみで、 特に目ぼしいものはなし。 長い時間をかけて揃えていくシリーズ物や緻密なジオラマなど、孫子の代まで大切にしたいようなおもちゃが、 レゴの他には一切見当たらない。ちょっと遊んだらすぐに飽きてしまうような、安っぽいものばかりなのだ。

おもちゃ屋を見ると、その国の消費性向がおおよそ分かる。
このおもちゃ屋で満足している人たちはおよそ「じっくりとモノを選ぶ」ことがなく、使い捨て的な性向だろう。
そこへ行くと、ドイツのおもちゃは恒久的なものが多く、堅実な国民性がかいま見られた。
カナダやオーストラリアで見たおもちゃ屋も、ここよりは幾らかマシだった。
「たかが子供のおもちゃ」だからこそ、消費性向の違いがはっきり出る。 いかなるモノでもしっかり選ぶか、そうでないかが――。

専門店街をぶらぶらしては、時折ブティックやみやげ物屋に入ってみたが、これと言って目ぼしいものはなかった。 しかも価格が、「セール」と盛んに書いてあるワリにはちっとも安くない。 おそらく、このモールは主に、地元の人たちよりも観光客相手の店なのではないだろうか。 実用的な商品が少ないし、お客も観光客らしき人ばかり。 それで年中無休で、イチゲンさん相手の「セール中」なのだろう。
前回のグアム旅行で行ったアガニャSCが懐かしい。 あそこは観光客がほとんどおらず、地元のオバチャンたちばかり。 それで「セール」となったら、とことん安かったもんなー。きっと常連さんのご愛顧にお応えして(?)いたのだ。

そんなわけで。
「いっぱいおみやげを買ってきてね」と子供たちに言われているのに、これでは何にも買って帰れない。 仕方なく、量り売りのキャンディショップに飛び込み、様々なキャンディを取り合わせて買った。

一時間ほどかけてモールを一周して帰ってくると、ままりんはやっと 選んだ子供服をレジに持っていったところだった。こちらは買い物を堪能したらしい。よかった、よかった。

さて。11時を過ぎたので、そろそろホテルに戻らなければ。
うさぎたちは、シャトルバス乗り場でリーフホテル行きのバスを待った。 ツアーに「アイランドパス」というバスの乗車券が付いてきたので、タダでホテルまで帰れるはずだ。

ところが。パスを見せると、運転手は言った。
「そのカードでは、タダにならない」と。 確かに、車内に掲示してある「フリーパス券」10種類ほどの中に、アイランドパスはない。
どうやら、マイクロネシアモールとホテル街を結ぶシャトルバスには何種類かあるらしい。 そしてこれは「アイランドパス」の効かないバスらしく、バス代が一人2ドル掛かるのであった。
「行きはタクシーに随分掛かったけれど、帰りはたった2ドルで安かったわね」とままりん。 だが、うさぎはどうも府に落ちない。

DFSなんてタクシーで乗り付けたって料金を肩代わりしてくれるのに、
あたしってば、一体何だってこんなところでバス代払ってるかなぁ??

前回のグアムの時は、
「マイクロネシアモールには行かなかった」と言ったら友達に呆れられたが、今回は、
「マイクロネシアモールから帰るのにバス代が掛かった」ことで呆れられるに違いない‥。

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