2003年3月20日 視点を変えれば

「ねえママ、これ答えを見てもどうしてそうなるのか分からないんだけど」
そう言ってネネが数学の問題を持ってきた。 どれどれ、と見るとこんな問題。

【問題】

右の図のように、 立体ABCD−EFGHの辺AB、ADの中点をそれぞれM、Nとする。
さらに、点Pを 辺FG上にとるとき、三点M、N、Pを含む平面でこの立体を切断すると、 切り口はどのような図形になりますか。

立体図形の問題

ちょっと頭をひねってから、「‥三角形じゃないの?」とうさぎ。
「と思うでしょ? ところが違うんだ、これが。答えはコレ」 そう言ってネネは解答をうさぎに見せた。
(cf. あっ、みんな、すぐに答えを見ちゃダメよ! 一度は自分で考えてね!)

立体図形の答え
答え:六角形

「えー! なんで〜?!」答えを見てうさぎは叫んだ。
「なんだ、ママも分かんないの? ダメじゃん」とネネ。
「だってママが中学の頃にはこんな問題なかったもん」と言い訳するうさぎ。 ウソじゃない。ホントになかったわよ、こんな問題。

解答の図を矯めつ眇めつし、あちこちに線を引いてもみたけれど、 それでもいまいち納得できない。しょうがないからネネに言った。
「しょうがない、こんど粘土で正四面体を作って、糸か何かで切ってみて、 それ見て何となく納得するしかないわね」

ところが、皆が寝静まったあと、一人で洗濯物をたたんでいたら、 ふと閃いた。
あの問題、さっきは粘土を糸で切るのをイメージしてたけど、むしろ豆腐みたいだよなあ。 豆腐に包丁を斜めに入れると、どうなるんだろ?

なんだかちょっと分かりそうな気がしてきたので、洗濯物をほったらかして紙に書いてみた。 さっきは問題図を見て悩んだけれど、今度は図も自分で書いてみた。 問題図とはちょっと違った図になった。

うさぎが描いた図1

元の問題図とどう違うか分かる?
実はね、見る方向が違うの。向こう側にあった辺AEを、手前にもってきた。
なんでそうしたかって言われると困るんだけど、包丁で切るところを 想像しながら図を描いたら、なんとなくそうなった。
で、自分の描いた図を見ていたら、当然こうなるよな、っていうのが見えてきた。

うさぎが描いた図2
(1) 直線MNから下向き斜めに包丁を入れるんだから、当然こうなるよね。
手前の面が斜めに切れなきゃウソだ。

うさぎが描いた図3
(2)
で、右の切り口が辺BFにぶつかったあとは点Pに向かうんだから、こうなる。

うさぎが描いた図4
(3) 右がこうなるんだったら、
左だって同じように切れるはず。

うさぎが描いた図5
(4) ‥で答えの出来上がり!
 

へへー、分かっちゃった! すごい! カンペキ! うさぎって天才!
早く明日にならないかなあ〜?

◆◆◆

一晩寝て、起きた朝。早速ネネとチャアに昨夜の成果を披露した。
なんか二人とも、寝起きの頭に数学の問題を突きつけられて、迷惑そう‥。

問題を解き終わって、うさぎは言った。
「やっぱり人生、何事も"視点を変えて見る"ってことが大切なわけよ」
そう、うさぎはこれが言いたかった!

‥って、おい、ちょっと二人とも、聞いてる〜?