「ねえママ、これ答えを見てもどうしてそうなるのか分からないんだけど」
そう言ってネネが数学の問題を持ってきた。
どれどれ、と見るとこんな問題。
【問題】
右の図のように、
立体ABCD−EFGHの辺AB、ADの中点をそれぞれM、Nとする。 |
ちょっと頭をひねってから、「‥三角形じゃないの?」とうさぎ。
「と思うでしょ? ところが違うんだ、これが。答えはコレ」
そう言ってネネは解答をうさぎに見せた。
(cf. あっ、みんな、すぐに答えを見ちゃダメよ! 一度は自分で考えてね!)
答え:六角形
「えー! なんで〜?!」答えを見てうさぎは叫んだ。
「なんだ、ママも分かんないの? ダメじゃん」とネネ。
「だってママが中学の頃にはこんな問題なかったもん」と言い訳するうさぎ。
ウソじゃない。ホントになかったわよ、こんな問題。
解答の図を矯めつ眇めつし、あちこちに線を引いてもみたけれど、
それでもいまいち納得できない。しょうがないからネネに言った。
「しょうがない、こんど粘土で正四面体を作って、糸か何かで切ってみて、
それ見て何となく納得するしかないわね」
ところが、皆が寝静まったあと、一人で洗濯物をたたんでいたら、
ふと閃いた。
あの問題、さっきは粘土を糸で切るのをイメージしてたけど、むしろ豆腐みたいだよなあ。
豆腐に包丁を斜めに入れると、どうなるんだろ?
なんだかちょっと分かりそうな気がしてきたので、洗濯物をほったらかして紙に書いてみた。 さっきは問題図を見て悩んだけれど、今度は図も自分で書いてみた。 問題図とはちょっと違った図になった。
元の問題図とどう違うか分かる?
実はね、見る方向が違うの。向こう側にあった辺AEを、手前にもってきた。
なんでそうしたかって言われると困るんだけど、包丁で切るところを
想像しながら図を描いたら、なんとなくそうなった。
で、自分の描いた図を見ていたら、当然こうなるよな、っていうのが見えてきた。
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へへー、分かっちゃった! すごい! カンペキ! うさぎって天才!
早く明日にならないかなあ〜?
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一晩寝て、起きた朝。早速ネネとチャアに昨夜の成果を披露した。
なんか二人とも、寝起きの頭に数学の問題を突きつけられて、迷惑そう‥。
問題を解き終わって、うさぎは言った。
「やっぱり人生、何事も"視点を変えて見る"ってことが大切なわけよ」
そう、うさぎはこれが言いたかった!
‥って、おい、ちょっと二人とも、聞いてる〜?