うさぎの近所にゆきちゃんとまいちゃんという仲良しの小さな女の子がいます。
同じ年に生まれて、二人はとっても仲良し、いつも一緒なんだけれど、性格は違うの。
ゆきちゃんはおとなしくて、いつもきちんとしているいい子。
まいちゃんもいい子なんだけど、いつもチャカチャカ動き回っていて、
ときどき思いもよらないことをしでかします。
要するにときどきちょっと困ったチャンなんだけど、
さあ次はなにをしでかすんだろう、と思うと目が離せません。
心配だから監視してるというより、見てて面白いから、つい見ちゃうのね。
それはどうもわたしだけでなくて、みんながそうらしい。
それでまいちゃんにはみんなの視線が集まる。
ゆきちゃんとまいちゃんが並んでいても、みんなまいちゃんに話し掛ける。
ゆきちゃんは日の打ち所なくいい子だけど、影が薄い。
まいちゃんの方は、ときどきハメを外すことがあっても人気者なの。
そういうのを見ていると、世の中ってちょっと不公平だな、と思います。
でもこういうのって、持って生まれた性格。
ゆきちゃんがまいちゃんのようになろうと思ってもなれるものではないのよね。
ゆきちゃんはきっと一生ゆきちゃんで、まいちゃんはきっと一生まいちゃんなんでしょうね。
ところで、この間まいちゃんが珍しく一人でいるのに出会いました。
まいちゃんは一人だけだと、普通の女の子でした。
それで分かったの。
なあんだ、まいちゃんが面白かったんじゃなくて、
ゆきちゃんとまいちゃんが一緒にいるから面白かったんだわ、って。
影と日なた、静と動。二人セットだったから、余計まいちゃんの行動が面白かったのね。
まるでピンクレディみたい。
ミーとケイ、二人で歌って踊っていたとき、ミーの方が圧倒的に人気だったわよね。
ケイちゃんは、「あたしなんかいなくてもいいんじゃないか」って思ってたって聞きました。
でも、二人分かれてしまったら、どうだった?
ミーちゃんの力だけで、あの人気は勝ち取れなかった。
二人が一緒だったからあんなにすごい人気だったのよね。
世の中には目につきやすいものと、目につきにくいものがある。 分かりやすい価値と、分かりづらい価値がある。
でもそのうち、大きくなったら、 ゆきちゃんにもまいちゃんにも、その真価を分かってくれる人がきっと現われる。 ――そうだといいね。