昨日の我が家の夕食は「タイのおかしら付き」でした。
ま、我が家ではこんなのぜーんぜん、珍しくないんですけどね。
‥なんてウッソ〜^^;。
国内旅行に全くいかない我が家では、「こんなの食べるの初めて!」という感じでした。
実は、昨日はそれが広告の目玉商品で、 更にそれが閉店間際に売れ残って半額に下がっていたのだそうで、 きりんが会社から帰ってくるときに見つけて買ってきてくれたのです。
まあ、アタマなんかついていたって食べられるわけではないのだから、 どこが普通の刺身と違うかって言われると、どこも変わらないのですけれどね、 きりんが大きな包みを抱えて帰ってきて、それを開いたときには
「おおおおおっ!」
という感じで、なんだか豪華〜な気分になれました。
目玉が怖いとチャアが言うので、アタマはテーブルに出さず、 身だけ皿に盛って食べたので、結局のところ、本当に普通のお刺身だったのですが、 刺身もツマもどっさり入っていたので、4人とも満腹になりました。 これが500円だったなんて、夢のようです。
庶民の幸福って、日々のこういう、ささやか〜な喜びにあるんですよね^^。
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【 ブルネイ旅行記22 カンポンアイール再び2 】
人とすれ違ったのをきっかけに、うさぎは大声で叫ぶのをやめた。 でも、「桟橋を歩く」以外の仕事を何か作って気を紛らわせないと、まだやっぱり怖い。 うさぎは、ずいぶん先に行ってしまったチャアを呼び寄せ、 二人で喋りながら歩くことにした。
「ねえ、この桟橋歩くの、怖くない?」
「別にー」
「でも、こんなに狭いのに」
「狭い? どこが? 全然狭くないじゃん」
「これを狭いと思わないの?」
「うん。思わない」
「さっきなんか、後ろから人がママのこと追い抜いていったのよ!」
「だから何?」
「怖くない?」
「どうして?」
「だってこんなに狭いのに!」
「だから、全然狭くないじゃんよ」
「‥そ、そう? でも川にもし落ちたら‥」
「どうして落ちるの?」
「うっかり足を踏み外したら‥」
「踏み外さないって」
「そうかなー」
「そうだよ」
そうかー、この桟橋って狭くないのかぁ。足って踏み外さないものなのかぁ。
チャアと話していると、ほんの少し気がラクになった。
と、前から板をガッタンガッタン踏み鳴らしながら、自転車がやってきた。
うさぎは脇によけて身を堅くし、
「どうか自転車に接触して跳ね飛ばされたりしませんように」
と祈りつつ、やり過ごした。
やっと自転車がいってしまうと、うさぎはチャアに尋ねた。
「ねえ、この上で自転車にも乗れる?」と。
「いや、自転車に乗るのはちょっと怖いかも」とチャアは答えた。
とくにどこに行こうという当てもなく、チャアはどんどん好きな道を選んで歩いていった。 うさぎはそれについていった。
アザーンが聞こえてきたので、モスクはどこ?と探すと、 スタート地点にあったはずのモスクが、ずっと遠くの方に見えた。
しばらく行くと、行き止まりがあった。
目の前には長い建物があり、門にはカギがかかっている。
川に面してずらっとならぶ窓からは、人っこ一人見えない。
「学校かな?」
「たぶん、学校だよ」
それ以上進めないので、二人は今来た道を引き返した。
歩きながらふと見ると、民家の下の川で子供が二人ばかり遊んでいた。
こっちを指差している。
うさぎたちは彼らに手をふった。
すると向こうも手をふり返した。
三叉路まで引き返し、また別の道を行くと、そこもまた行き止まりだった。 うさぎたちはまた少し引き返して、別の道に入った。
川の上にできた迷路のような桟橋。そこにはいろんな発見があった。
おじいさんがテラスのゆり椅子でうとうとしていたり、
おばあさんがお米に陽をあてて乾かしていたり。
どこの国でもどこの街でも、園芸が好きな人は必ずいるもので、
窓という窓に、花が咲き乱れているお宅もあった。
そういう人々の日常を垣間見ながら歩いているうちに、うさぎはすこしづつ、
桟橋を歩くことに慣れてきた。
それとも、歩くことに慣れてきたから、
周りを見る余裕が出てきたのだろうか。
チャア先導で、なおも歩き続けると、 玄関のポーチで7〜8人の子供が群がって遊んでいる家があった。 うさぎたちがその前を通ると、子どもたちは一斉にこっちを向いた。 ちょっと足を止め、子どもたちに「ハリラヤおめでとう!」とうさぎが言うと、 子どもたちはちょっとビックリして、しーんとなった。 怯えたように目を見開く女の子、 誰かの影に隠れつつ、興味津々な瞳で見つめる小さな坊や‥。
一番大きな男の子が、利発そうな目でにっこりと笑い、 「ハリラヤおめでとう!」と、挨拶を返してよこした。 恐らく彼はリーダーなのだろう、 彼が挨拶をすると、他の皆の表情は急に和らぎ、 後ろに隠れていた子もそうっと前に出てきて、にっこりした。
と、やにわに玄関のドアが開き、
中から赤ん坊を抱いた若い女性とその夫らしき男性が出てきた。
女性の方は、子供たちに二言三言話し掛け、そのうちうさぎに気付いたらしい。
ふっと口をつぐんだ。
うさぎが「こんにちは」と挨拶すると、
彼女は、「二人だけでカンポンアイールを歩いているの?」と尋ね、
「そうです」と答えると、
「家の中にどうぞ」と手招きした。